「愛のむきだし」、凄い映画だ、これ! | 大村あつしオフィシャルブログ「ボクは不死鳥」Powered by Ameba

「愛のむきだし」、凄い映画だ、これ!

年明け早々に「愛のむきだし」を観ました。

しかし、ブログに書こうかどうか迷っている間に、先日もなにかの賞を受賞したようなので書きます。

ちなみに、映画の賞にはまったく興味がなくてすみません(^_^;)

そもそも、受賞した、しないで映画や小説の評価はしない性質なので。

これは、最後に評価を下すのは個人であり、その声がどう集積されるかで、後々、名作か駄作かが決まる、がボクのポリシーなのです。

で、なぜブログに書こうかどうか迷ったかというと、これは相当好き嫌いが分かれる映画であるからです。

ちなみに、ボクは大好きです。

この数年の邦画で確実にベスト3に入ります。

邦画史に残る大傑作だと思っています。

だけど、映画って当たり前ですが、趣味で作るわけではありません。

芸術かどうかを決めるのは「歴史」であって、少なくとも制作時、そして公開時には、「どれだけ稼げるか」というのが、ビジネスである以上「成功」と「失敗」の線引きをするわけです。

「成功=名作」とは限りませんし、「失敗=駄作」とも限らないことは、みなさんもよくご存じだと思います。

話題作を観に行って後悔した経験は誰にでもあるはずです。

ただ、逆に、マイナーな映画を観て、「うわ、こんな名作を観られてラッキー」という経験は、誰にでもあるわけではりません。

なぜなら、流行ばかりを追っていたら、こうした経験はできないからです。

話を戻しますが、この映画は、なんと4時間もあります(正確には237分)

まず、この時点で、この映画が興行的に成功を収めることは難しいことがわかります。

4時間もある映画を観ようという人はなかなかいませんし、一日の回転数も減ります(通常の映画の半分の回数しか上映できないわけです)

すなわち、最初から興行収入は眼中にないと言わんばかりのこの上演時間の長さが、個人的にはあまり評価できるものではありませんでした。

上述のとおり、映画は「芸術」ではなく「ビジネス」だからです。

「芸術」かどうかは、歴史の積み重ねが判断することです。

4時間を、せめて3時間にまでカットする努力を怠った映画。

はい。ボクはそう思っていました。

ただし、映画を観るまでは。

この映画には4時間が必要だったのです。

むしろ、もう1時間あってもいいくらいです(だから、後半はちょっと飛ばし過ぎの感が否めませんでした。これについては後述します)

じゃあ、そもそも、この映画なんなの? なんのジャンル?

当然、そういう話になるのですが、これも観た人それぞれジャンル分けは異なってくると思います。

ボクは、「愛のむきだし」のタイトルどおり、「ラブストーリー」だと思いました。

それも、「究極の愛」が詰まった「ラブストーリー」です。

とにかく、神がかったシナリオ、演出には溜息しか出ませんが、さらに神がかっているのが、満島ひかりの演技です。

「神がかっている」というよりも、もはや彼女はこの映画で、ボクの中では「神」になりました。

こんな凄い演技を見たのは、「虹の女神」の上野樹里以来です。

もう、映画界が彼女を放っておかないのは目に見えていますね。

今年中には、他の追従を許さないスーパースターになっている予感がします

一方で、一時期の上野樹里のように、低予算映画で丹念に演技力を磨いていき、大ブレークするのは数年後になるかもしれませんが、これは本人の希望しだいでしょう。

いずれにせよ、満島ひかりはなんにでもなれるのです。

だって、「神」ですから(笑)

映画の中では、彼女のパンチラやらレズシーン、さらには自慰の場面もありますが、これが決して下品でなく、本当に神々しいものを見ている気持ちになります。

映画と役者の演技の力で、観ているこちらも「純愛モード」に入っているので、猥雑な気持ちなどこれっぽちも湧かないのです。

さて、先ほど、「後半は飛ばし過ぎ」と書きましたが、この映画、元々は6時間の構想だったらしいのですが、それを4時間に削る過程でのとばっちりを受けてしまったのが後半部分なのかな、と感じました。

「ゼロ」という新興宗教について、その異常性をもう少し丹念に描けば、主人公とヒロインの「純愛」もより際立ったかな、と思います。

それに、「ゼロ」に洗脳されてしまったヒロインの洗脳を解くために、彼女を砂浜のバスに数日、閉じ込めるシーンがあるのですが、彼女は決して心を開こうとはしません。

だから、用意されたパンにも手を付けないのですが、せっかく丁寧に、リアルに描いているのに、

「あの・・・。食事は我慢できても、トイレは我慢できないでしょう」

と思ってしまいました。

あの数日間で、主人公とヒロインはどのようにトイレをしていたのでしょう。

これは、あえて描かなかったというより、そこにまで考えが及ばなかった可能性があるように思いました。

究極の純愛エンターテイメントでありながらも、神への冒涜とも解釈できる問題作でもありますので、万人にお勧めできる映画ではありませんが、もう一度繰り返します。

ボクの中では、この数年でベスト3に入る、邦画史に残る大傑作映画です。

きっと何回も見直すことになるでしょう。

こんな素晴らしい映画を作ってくれた園子温監督、そして、人間はここまで神々しくなれる事をその存在感と演技で証明してくれた満島ひかりに、心から敬意を表します。


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