ネットはどこへ向かうのか? | 大村あつしオフィシャルブログ「ボクは不死鳥」Powered by Ameba

ネットはどこへ向かうのか?

ネットが普及し始めた1996年。

僕はちょうど30歳だった。

当時のことを知らない人は信じられないかもしれないが、当時は定額制なんてものはなく、ネットに接続すると、電話の通話同様に課金された時代だ。

だから、通話料が安い夜中にアクセスが集中したりもした。

そう。

インターネットはタダではなかったのだ。

むしろ、「高い娯楽」であった。

だから、学生にはちょっと敷居が高かった。

また、当時の40歳以上の人にとっては、多分、「面白くない娯楽」であっただろう。

なにせ、FLASHなんて技術すらなかったのだから。

すなわち、インターネット黎明期を支えていたのは、1996年当時の25~40歳くらいの人々だと推測している。

そして、この人たちを喜ばせるべく、インターネットはサービスが充実していった。

当初は、面白いホームページなどほとんどなく、男だったら誰もが海外の女性の無修正ヌード写真をひとしきり見て、しかしそれにも飽きて、メールの方が断然、便利で面白いことに気付き、メーリングリストなどが大流行した時代だ。

その後、ニュース、時刻表、地図などのサービスが充実していき、何よりも僕たちが望んでいたのは、もはや死語となりつつあるが「eコマース」、すなわちネット通販であった。

当時は、B to B、B to C、C to Cなんて言葉も大流行した。

ちなみに、B to Bは、企業が企業にネットで物を売る事。
B to Cは、企業が消費者に物を売る事(アマゾンがまさしくこれです)
C to Cは、個人商店などが消費者に物を売る事(これを束ねたのが楽天です)

こうして、僕の世代を満足させるべく成長してきたインターネットが、2005年に大転換期を迎えた。

そう。

ブログとmixiの登場である(厳密にはその前からあったが)

そして、この頃から、インターネットのボリューム層が明らかに変わってきた。

僕たち世代よりも、さらに一つ、いや、さらにもう一つ下の世代が、しかもパソコンではなくケータイで見る物が「インターネット」という時代に突入した。

そして、企業は常にボリューム層を狙ってビジネスをする以上、インターネットのサービスの低年齢化が進んだ。

決して、サービスの質が落ちたわけではない。

ただ、僕たち世代にはその面白さが理解できない世界に変わってしまったのだ。

実際、僕もそうだが、ネットの情報は指数曲線的に増加しているのに、ネットで見る物、ネットに向かう時間は逆に減っている、という人は少なくない。

僕も、iGoogleでニュースを読み、日経ビジネスオンラインを読み、後は観たい映画も読みたい本もなければ、YouTubeで動画を漁るくらいになってしまった。

一日中、ネットに張り付いていた頃が懐かしい限りだ。

そして、最近、この「僕たち世代」は完全に取り残されているな~、という事態に直面した。

僕と同じアメブロで、ある女優さんが、たった3行のブログ。

内容は、「私は朝はパン派」と書いただけのブログに、400件以上のコメントが付いているのを見てかなり驚いた。

どんなコメントだろうと、見てみると

「僕もパン派でーす」
「○○ちゃん、かわいいー」

みたいなコメントが、なんと400件もついているのだ。

恐らく、書いているのは学生。

接触媒体はPCではなくケータイだろう。

そして、僕は思った。

今後、Webはどこへ向かうのだろうか?

くだんのブログに、「○○ちゃん、かわいいー」とコメントを残している人も、3年もすれば、コメントは書かなくなるだろう。

もっとも、その頃には、次の世代が「○○ちゃん、かわいいー」とコメントを残しているわけだが、時代の最先端にいたはずの僕たち世代を満足させるコンテンツは激減し、今のコンテンツに喜んでいる人も、いやでも僕たち同様にすぐに「過去の人」になる。

上述のとおり、ボリューム層、すなわち大きなパイを狙うのがビジネスだ。

しかし、文化的な立ち位置から見た場合、今のインターネットはこれでいいのだろうかと思わずにはいられない。

mixiニュースが顕著だが、最近のポータルサイトのニュースは、申し訳程度に政治経済のニュースがあるだけで、あとは芸能ネタか「釣り記事」だ。

「釣り記事」とは、

・女性が男性に好意を抱く瞬間は?

みたいな、「確かに!」とか「いや、そんなことないでしょ」と思わず反応してしまう、いや、無理やりネットユーザーを反応させてPVを稼ぐ記事だが、ネットにそんな記事が溢れたら、僕たち「過去の人」は確実にネットを見捨てるだろう(すでに、僕の周りでも、「ツールとして職場では使うけど、家では一切ネットをやらない」という人が半数を超えた)

いずれにせよ、タレントブログのコメントの数はすさまじいですね。

番宣や映画宣伝、CDの宣伝とわかっていても、毎日毎日、数百のコメントが付く。

その大元をたどれば、彼らがテレビで有名である事であり、8月の衆院選で明白になったが、やっぱりネットはテレビには勝てないんだな、ということを痛感する今日この頃である。



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