珍しく外れました(^^ゞ | 大村あつしオフィシャルブログ「ボクは不死鳥」Powered by Ameba

珍しく外れました(^^ゞ

最近、読む本は「当たり」が多かったのですが・・・

珍しく外れました。

先々週くらいから、舞台『エブリ リトル シング』を観るために上京する新幹線の車中や、ホテルなどで読んでいたのですが・・・。

便宜上、この小説を「A」とします。

この「A」は、叙述トリックを使った作品です。

この叙述トリックを簡単に説明します。


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盲目の老人が、ベンチで日向ぼっこを楽しんでいる青年に問い掛けました。

「隣、よろしいですか?」

「あ、はい、どうぞ」

「ありがとうございます。見てお分かりのとおり、私は目が見えませんが、あなたはもちろん男性。年齢は20代後半で、屈強な体をしていらっしゃいますね」

そのものずばりを言い当てられた青年は、驚嘆の声をあげます。

「あ、当たりです。水泳で鍛えてるんですよ。でも、目が見えないのに、どうして年齢はおろか体型までわかってしまうんですか?」

「ハハハ。視覚を失うと、その分、ほかの感覚が研ぎ澄まされるんですよ。特に、聴覚。ですから、声からある程度、相手の肉体のことがわかるんですよ」

「へぇ、それは、驚きました。では、ボクは水泳の時間なので、これで失礼します」

そう言うと、青年は腰を浮かし、足を進める前に杖で足元の安全を確認した。

そして、自らの命綱とも言うべき杖で障害物がないかを確かめながら、また、音で周囲の状況を確かめながら、慎重に一歩、一歩、歩を進め、スイミング施設に向かって行った。
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今、即興で作った話ですが、これが「叙述トリック」です。

小説というのは文字なので、逆にそれを利用することで、読者をミスリードする手法。
それが叙述トリックです。

この即興の話では、老人が盲目であることを掲示し、「屈強で水泳をしている青年=当然、健常者」と読者をミスリードするわけです。

これは、映像ではなかなかできないことです。

絵にした瞬間に、青年も盲目であることがわかってしまうからです。

中学生の頃からミステリーを読んで育ったボクは、まず、叙述トリックには引っかからないですね。

「見事にやられた!」という作品は、最近では、伊坂幸太郎の○○と、面識はありませんがボクの大学の先輩が書いて大ベストセラーになった○○くらいでしょうか。

「A」という小説は、冒頭20ページで、叙述トリックであることがわかったので、必然的に、犯人もわかってしまいました(^_^;)

ちなみに、『無限ループ』は叙述トリックは一切使わずに読者に知恵比べを挑んだミステリーです。

ご興味のある方はぜひ(*^_^*)♪

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