独り言
あり得ない度:★☆☆☆☆
ベタ度:★★★★★
=====例解=====
○主人公Aが、朝起きて、窓の外に降る雨を見て独り言を言う
A「朝から雨か~」
A「そう言えば、B子のやつ、今日は大学の入試だったなぁ」
A「あいつ、ドジだからなぁ。遅刻しそうになって、この雨の中を急いで走って、途中で転んだりしてないといいけど・・・」
=====役割=====
登場人物の思っている事を、視聴者に分からせる。
=====解説=====
実生活において、独り言を言う事は滅多に無い(少なくとも私は滅多にない)。
人が独り言を言うのは、よほど腹が立っている時か、自分の声を耳で確認したくなった時くらいではなかろうか。
無論、独り言を言う癖がある人もいる。そういう人はしょっちゅう独り言を言っているのかも知れないし、時として、喋る相手がいなくて、寂しさの余り、知らず知らずのうちに、独り言が多くなるという場合もあるだろう。しかしながら得てして、一回の独り言は量として少ないものであるし、また他人が聞けば意味不明だったりするのでないだろうか。
登場人物が殆ど全員、何かしら独り言を言い、しかも明朗な台詞を延々と述べるのは独り言としては不自然である。例解のような独り言を現実に言う人は殆どいないのではないだろうか。
だからこそ、独り言は不自然ドラマにはなくてはならない、基本技法と言える。
不自然ドラマを作る上での、基礎中の基礎。この技を使いこなせないようでは、この先不自然ドラマを作るのは困難を極めるだろう。
小説と違って、ドラマの登場人物の心の声は、視聴者には届かない。
登場人物がいくら悩んでいても、それを口にしなければ、視聴者は登場人物が何を考えているのか分からない。
そこで最もてっとり早い解決策が、登場人物に独り言を言わせる技法である。
登場人物が思っている事をペラペラ喋ってくれれば、視聴者は容易く登場人物の心の内を理解することができる。
独り言ではなく、代わりにナレーションとして、心の声を喋れば良いでは無いかと思うかも知れないが、それでは不自然さは半減してしまう。
独り言を言う利点はもう一つある。それは登場人物が独り言では絶対嘘を付かないということである。
絶対というのは大げさかもしれないが、登場人物が独り言で嘘を言うのは稀である。
時として登場人物が、例えば「あんなヤツ大ッ嫌い!」と言うかも知れない。だがそれは「本当は好き」の裏返しだという事を視聴者も認識しているわけで、私が言う嘘とは違う。
私が言う嘘とは、第三者を騙そうと言葉を偽るという意味であり、当然ながら一人の時に独り言を言うわけなので、その状況において、嘘を付く必要は無い。
気をつけなくてはならないのは、他人が聞いてしまうのではないかというシチュエーションは不自然ドラマであっても、なるべく避けること。満員の電車内やエレベーター内で独り言を言う主人公というのは、まず滅多にお目にかかれないし、いたとしても、次の展開は目に見えている。ハッと我に返り、赤面しながら、電車/エレベーターを降りるのである。
ただし、本人が周りには人がいないと思っていて独り言を言うのは可である。このような場合、木陰に隠れている第三者が独白した相手の秘密を知ってしまうという用途にも使える。
独り言は不自然ドラマかそうでないかを見分ける指標にもなる。性格的あるいは環境的理由も無く独り言を言う登場人物が出てきたら、そのドラマは不自然ドラマだと見てまず間違いない。
それだけ独り言は、不自然ドラマには欠かせない、無くてはならない、大事なエッセンスなのである。