経済格差は開くばかりである。

 

賃上げが行われたのは、ほんの一握りの大企業のみで、

多くのサラリーマンは、値上げが続く昨今にあって、

実質値下げとなっているのが実情だろう。

 

非正規社員が増加していることも大きな要因。

賃金が上がらないばかりか、社内教育さえなされず、

ほぼ単調な作業を強いられている。

非正規社員は、低賃金に加えて昇進もなく、雇用が保証されていないという

厳しい立場に置かれている。

 

少子化対策が叫ばれて久しいが、久しいというより40年くらいたっているが、

非正規社員という、現代の身分制度、奴隷制度がしかれていることも

大きな原因であると見える。

 

結婚をして子どもが2人おり、自己所有のマンションがあるというのは、

今や限られた勝ち組である。

子を持つどころではない、結婚なんて別世界のできごと、将来に絶望さえ感じ、

どこへも苦しい想いをぶつけられないでいる若年層も多いのだ。

 

少子化問題というと、国民の「あたま数」ばかりに焦点が当たるが、

本来社会のなかで活躍すべき、多く若年層のスキルアップを図るべきである。

それに見合った昇給もしかりである。

今の労働システムが、若年層が社会貢献する機会を奪っているとすると

国家の経済的損失は計り知れないだろう。

(実際、専門家に分析をしてもらって、損失額を算定してはどうか)

 

また、教育の平等性から考えると、望む人には大学教育まで無償化することも

検討してしかるべきである。

奨学金の返済を抱えて一生を送る若年層を補って余りある国益になるはずである。

 

異次元の少子化対策、異次元の金融緩和など、

「異次元」が流行のように使われるが、異次元とは当たり前であるが、

次元が異なるということであり、これまでの世界観から超越するということである。

 

「子ども手当を増やします」これを良い対策だと思う人はいても、

異次元だと思う人は何人いるだろうか。

 

企業の成長には、低賃金で、使い捨てできる非正規社員は欠かせない、と考える

経営者も多いかとは思うが、それが「持続可能な社会」をなすだろうか。

 

SDGsを掲げる企業は多い。

多様性を方針とする企業は増え続けている。

 

そんな企業の目には見えない片隅で、非正規社員は苦しんでいるのである。

 

先日ある牛丼屋で、ワンオペで働いている女性を見た。

笑顔を見せて働くどころではなく、悲壮感が漂っていた。

きっとこの会社は、優秀な人材が集まらないという、しっべ返しを喰らうだろう。

社会の人はこんな場面をシビアにみているものであり、

その企業に対するイメージを心に植え付けているものである。

 

そして、少子化の本質の一つはここにあるのではと思った。