神宮球場が立て直しされるらしい。

というより、神宮外苑が再開発されるらしい。

 

球場の位置が変わるだけではなく、エリアには高層ビルが立ち並び、

商業施設が併設されるというのだ。

また、多くの人に親しまれてきた草野球のできる広場はなくなり、

銀杏並木も一部伐採されるとか。

 

神宮球場で感じられる、あの青空、気持ちのよいそよ風、心地よい時間の流れ、

そうした中での野球観戦という、贅沢な時間が奪われる。

 

建物や環境は、時や人の思い入れを含んで、一つの文化となる。

甲子園球場の周りに高層ビルを建てる、ドームにする、建て替えるとなれば、

どうだろう。

反対の声も多く上がるのではないか。

文化となった甲子園球場は、改装を行って、その「ご本尊」は守られている。

 

日本にはもとより「手入れ」という発想があった。

少しづつ改良を加えて、新しいものを取り入れつつも、よりよいものにする。

それは環境への負荷を減らし、そこに集う人びとの想いも内包し続けるという、

人びとの知恵ではなかったのか。

 

近年の都市部の開発はいかがだろうか。

根こそぎ、建物を破壊し、高層ビルや商業施設を建てる。

儲けと効率が中心となった「欲望都市」となり、生活を破壊尽くす。

 

昨今生活の上では、レジ袋を削減するなど、リサイクルの意識が高くなり、

環境への負荷を減らす意識が根付きつつあるが、

ときに街づくりはその流れと逆行してないか。

 

経済成長を続けるには、壊してでも作りつづけるしかない。

欲望を煽らななければならない。

 

人間の本来の豊かさを犠牲にしてでも、すべき成長とは何だろう。