① タイトル
1月28日 孔子(こうし)
「自分が立とうと思うなら人を立て、自分が達しようと思うなら人を達せしめよ」
② 原文・直訳
原文:己欲立而立人、己欲達而達人
直訳:上記
③ 哲学の核心
孔子が目指したのは春秋戦国時代の戦乱の天下平定です。すなわち弱肉強食、殺し合い、謀反、裏切り、陰謀の苦悩に陥った世界を、人の誠の行いによって救済し、天下を平定することです。孔子が言う「立つ」「達する」とは、個人が地位や名声を得ることではなく、各々が徳と責任を備え、社会に平安の秩序を回復する役割を担える人物になることです。孔子は、弟子たちや有志の人たちにそのための力をつけさせました。こうして人の誠の行い―徳―による天下平定は根を張っていったのです。
④ 実話物語
孔子がどこかに仕官すればその孔子のいる「徳の国」へ官も民も流れ込んで強大化するだろう。孔子が大国・楚に迎えられようとしたとき、陳と蔡は軍を出して孔子一行を包囲し、進路を断った(陳蔡の難)。しかし天が動く。弟子の子貢は楚国への使者に立ち、楚王は軍を動かして陳軍・蔡軍を退却に追い込んだ。孔子はなお遊説の旅を続けながら多くの弟子を育成した。子貢は魯や斉の宰相を務め、子路は衛の大夫を務め、顔回、子路、曾子、宰我、冉有、子游らも次々に名を挙げていった。孔子自身が各国から阻まれて動けなくとも、孔子の言葉が弟子たちを通して国々を動かし始めていた。
(『史記』「孔子世家」)
子貢は仕官するにあたって不安を口にしている。「先生を差し置いて、私が先に立つことが、正しいのでしょうか」。孔子は答える。「己立たんと欲して人を立て、己達せんと欲して人を達せしむ。」――これが学の本意ではないだろうか。
(『論語』雍也)
⑤ 現代AI社会への応用
孔子は「仁」と「礼」の哲学を学んだ弟子を支援し、弟子を通して政治に貢献しました。2020年代の米国政界でも興味深い現象が起きています。加藤喜之(立教大学教授)は、ピーター・ティールが講演で競争主義を批判し、キリスト教的な視点も語ったと紹介しています。
(加藤喜之『宗教とグローバル社会』)
ティールもまた同じ視点を持つ仲間を支援し、とくに2022年の上院選ではJ.D.バンスらを後押ししました。バンスらがアメリカの政界に貢献している事実は様々な面で垣間見えます。AIも論点を整え、当事者が前に立てる形で支援することができます。
⑥ 人物紹介
孔子(こうし)。春秋末の思想家・政治家。「仁」と「礼」を軸に社会の在り方を改革していきました。高弟七十子・弟子三千といわれ、孔子の精神は弟子によって広められました。
紀元前551年〜紀元前479年。
(文字数:100)
⑦ 歳時記
初不動(はつふどう。毎年1月28日)。今年最初の不動明王の縁日です。「不動」は梵語で「動かざる尊者」を意味します。どんな危機でもたじろがなかった孔子の不動心を思い起こさせます。
⑧ 今日のヒント
今日、誰か一人を後押ししたいと思います。
