「やたらに其処らに唾を吐きちらす。」
「物一つ片付けない。」
「細工物や足袋
作りを始めると話しかけても返事もしない。」
「外から帰へっても手も洗わず食事をする。」
母に聞いてはいたけど聞くのは初めて、始め身を入れて聞いていたけど、何時の間にかそらできいてきき流している私。愛らしい口元の動きばかり見ている。
悪口なのに少しも悪どく聞こえない。
心に悪意がなくて可愛い口元で喋舌っているからか知ら。
愛らしい口元のことはシノブ姉もミサオ姉もそう云っているのです。
何と可愛いお婆ちゃん。
形を揃えてお団子は今セイロ(蒸器)の中、蒸上がると一個宛竹の皮に丁寧に包む。その間も、お婆ちゃんは喋舌つづける。
その夜炉端で伯父はいろいろの話をしてくれました。
話題は広く、戦争の話から政治の話まで、口調は呑んびりどっしりと、私は何だか大木に話しかけられているような気持ち、何と安らかな大らかな気分。
私の根はこの農家そのものなのだと思うことしきり。
セッダイオの煮たのの味のよさ。
芋の煮っころがしのうまさ。
味噌
汁又うまし、三年味噌のこく、よそ行きでない普段の味のうまみ。
私は伯父と伯母の間に寝かされた。
まるで家の娘のよう。
翌日紫ボンタンや桃色のボンタン、黄色のボンタン、緑がかったボンタン、そしてお団子をリュック
に詰めて、ピッポッピーと汽車に乗りました。