古里物語第四部5−1 | ryobeのブログ

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農夫清吉伯父

「清吉伯父さんの処のボンタンが甘くなった頃ぢゃな、彼処んとは台湾種ぢゃから特別うんまかでお前もろけ行たつきやい。」

台湾種の文旦だから特別うまいのでお前貰いに行っておいで。

戦争中の冬のことです。

「序手に伯母さんにダゴ(団子)を作って貰ろてな、伯母さんのダゴは天下一品ぢゃからどっさい(たくさん)貰ろてきやい(きなさい)。」

一人娘であった母は我がままな処があるのです。それに清吉伯父もおさよ伯母も従兄妹同士で伯母は従姉に当たるので何の遠慮も入らないと云うわけです。

狭い村の中の暮らしです。イトコ同士と云っても姉妹のような育ち方をしているので、他の郡の他の所の村に移住している私共とはイトコの関係はずっと近いものであったのです。

私は帆木綿(ホモメン)で自分で縫ったリュクサックを肩に汽車に乗りました。伊集院で乗り換えると例のピッポーピーの南薩線です。

お土産 は洋裁の残り切れ(生地)

「伯父さんなまこて(もことに)器用な人ぢゃから生地を持っていけば足袋 でん帽子 でん(足袋でも帽子でも)何でも作るのが楽しみな人ぢゃ、何よつかかいよつか(何よりかれより)喜びやっでなあ(喜ぶからね)と。

此処は、姉の家よりずっと手前の駅、日置駅「おお来たか」、二十年振りに訪れた私を昨日も来た人のように伯父は迎へてくれました。母の次兄である伯父は大きな人でくまのように逞しい。