ふるさとを愛する気持ちは党派を超える 

 横浜市民はカジノ反対の市長を選びました。8人の候補者中、カジノ推進は2名であり、得票率は17%でした。ところが衆院選でカジノ推進の自公等の比例得票率は63%でした。つまり横浜市民は、日頃支持する政党から自由に考え行動したのです。なぜでしょうか?それは本当にギャンブル(賭博)を行うカジノに、ふるさと横浜市の未来を委ねて良いのかを真剣に考え模索したからです。

横浜人の誇りを大切にする保守だからこそ

 「横浜のドン」と呼ばれる藤木幸夫氏も最初は悩みました。統合型リゾート(IR)は横浜市の発展に役立つのではないかと、しかし、「カジノ推進法」が成立し、IRが収益エンジンとしてカジノに依存する構想だと明らかになる中で、「ギャンブル依存の街づくりはダメだ!」と反対に転じました。横浜港の荷下ろしを担う労働者がどんなにギャンブルで苦しんできたかを肌身で知っているからです。横浜港運協会水上専務は、「ギャンブルの怖さを一番知っている我々だから反対するのだ!」と訴えてきました。皆さんの周りで、ギャンブルで豊かになった親戚・知人はいますか?その逆ではありませんか?ギャンブルはダメだ!というのは日本の伝統であり、保守の価値観ではないですか。

 

みんなで考え、みんなで故郷の未来を選択する機会が住民投票

 横浜市では本当にたくさんの方が住民投票請願署名に協力してくれました。法廷必要数を大きく超える約20万筆が集まりました。それでも横浜市会は簡単な審議で否決し市民の意思を問う機会を奪いました。しかし、決して無駄ではなかったことが市長選で明らかになりました。署名活動の中でIRとは何かを学び、議論の輪を広げたことが、カジノ推進を掲げて立候補することが困難な世論を築き上げたからです。横浜市は、市の広報活動として大量の宣伝紙を繰り返し配布し、著名人を動員してのシンポやビデオ配信等を行いました。市長は、市民がカジノに反対なのは理解不足と言いましたが、市民が学ぶほど反対世論が高まっていったのです。

 

カジノ依存の街づくりの危険性を直視しましょう

 横浜市長はIRが横浜市財政や観光業に大きく貢献するとアピールして来ましたが、それは事実に基づかないデータを操作した不誠実な内容でした。例えばカジノ面積は3%以下であり、IRはカジノではなく家族みんなで楽しめるリゾート施設だと言いますが、カジノ事業者の計画では収益の約8割をカジノで稼ぐカジノ中心の施設に他なりませんでした。

 カジノはギャンブル施設です。ギャンブルで客を大負けさせるほど儲かる商売です。お客を貧乏にし、家族を不幸にし、地域社会を荒廃させる商売です。何よりも浮き沈みの激しい、マネロンなど犯罪行為と切っても切れない商売です。和歌山IRで有力視されていたサンシティはオーストラリアでマネロン摘発を受け、裁判で中国マフィアとの密接な関係が暴露されました。次に選ばれたクレアベストは自ら事業を営まない小規模カジノの投資経験しかないファンドでした。それを補うために組んだ米国カジノ企業シーザーズは2015年に経営破綻し、経営再建もうまくいかず20年に別カジノ企業に買収されました。ブランド名は継承していますが、今でも巨額債務と赤字決算に苦しんでおり、格付けはシングルBという文句なしの投機的格付けで和歌山IRには資金提供をしない参加です。事業計画の資金調達の裏付けとなる資料も出せない状況です。こんなギャンブルそのものの計画に和歌山の未来を委ねていいのでしょうか?

 今、持続可能な社会を求めてSDGsが大きな流れになっています。それを推進するESG投資では社会にとって有害なビジネスを投資対象から外す動きが拡がっています。世界経済フォーラムの持続可能な企業ランキングではギャンブル企業は対象外です。そもそもデジタル化で巨大なハコモノ依存のIRカジノのビジネスモデルは持続性を失いつつあります。持続可能な和歌山県の未来を構築するために、目先の利益ではなく、20年、30年先の未来を考えながら、カジノ依存のIRの是非について考える機会を、住民投票を機会に作りませんか?