学校から帰ってきた高校生の娘が、
おじいちゃんに会いにいく、
と言うので、
娘と2人で、夜施設を訪れました。

父の部屋に入って、驚きました。
この日の昼に来た時とは、
父の呼吸が、
変わってしまっていたのです。

一生懸命に全力で呼吸する父…。

私は、もう、
その時なんだと、悟りました。

あぁ、もう逝ってしまうんだね…。

私は、父の手を握りました。

この手は…

私の知ってるお父さんの手じゃない。
これがお父さんの手なの?

私の知ってる父の手は、
もっともっと肉づきがよくて、
ぷくぷくしてあったかい手。
今私が握ってる手は…
ガリガリしていてゴツゴツで…
冷たい…

倒れて4年。
こんな手になるまで戦って、
やっと、死を勝ち得ようとしている父。

もうすぐだからね。
やっと、やっと、やっと…
望みがかなうよ。

もう、安心して逝っていいよ。
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娘と施設についてからわずか15分…。

父、享年76歳

私を、待っていてくれたんだね。

最期、渾身の力で
何かを言ったけど…
なんと言ったかわからなかったな…。

最期に私に何を伝えたかったのだろう…。

私が来るのを待っていて、
伝えたかったのは何だったのだろう…。

最期まで、
しっかりと意識があった父。
一生懸命に全力で呼吸をして、
とうとう力尽きて、
静かに息を引き取りました…。

意思のある立派な死でした…。

私は、隣で娘に支えられて、
父をしっかり、
見送ることができました…
その瞬間、私を支えてくれた娘に、
心から感謝…