晴れた休日の朝のJRの中でのこと
一羽のちょうちょが車内に迷い込んできた
パタパタと座席に座っている人たちのまわりを舞っている
何人かの人たちに止まっては
人々は払う事もできずに、困惑している
自由そうに飛んでいるちょうちょも
うっかり迷い込んだこの状況に
困っているようにも見える
向かいの若い男に止まった時
払おうと動揺して落とした携帯の音が
大きく車内に響く
見えなくなったちょうちょを
探していると
向かいの若い男の座席の下にそっと止まっているのが目に入る
見つけたその時
私の左隣3人目の若い女性がフワっと立ちあがり
座席下に止まっているちょうちょを
右手で覆い被せるようにつかみ
すぐさま左手に持ち替えた
女性は何事も無かったように座席に戻り
足を組み、iPadを叩いている
今、彼女の左手の中にはちょうちょが潜んでいる
その光景にちょうちょを見ていたみんなが見入る
私と私の左隣の婦人2人も彼女を見ている
何十分たっただろうか…
新宿駅で女性が降りた
まだ左手の中にはちょうちょがいる
私と私の左隣の婦人2人が目で追う
彼女は向かい側のホームに向かい
胸元で手を広げて、ちょうちょを逃がす
パタパタと弱々しくちょうちょが飛び立つ
彼女は何事も無かったように歩き出した
私と私の隣の婦人2人はその光景をずっと見ていた