⇒添削例12 院1年男子(金融・製薬化学他志望)L君の自己PR
修士1年男子(金融・製薬化学メーカー
志望)L君の自己PR
私は新規抗癌剤の研究に尽力しました。
主に新規抗癌剤の探索とその作用機構を
他大学と共同で研究してまいりました。
その背景には、癌で苦しむ多くの人々を
救いたいという切実な思いがありました。
私のような生命科学系の研究は、見た目
の華やかさとは裏腹に、辛く地道な作業
の連続でした。多くの失敗をしたり、
時間的・空間的な制約を受けたりするこ
ともありました。しかし、私の研究で苦
しんでいる人々を助けられる可能性が少
しでもあるならば、それらは全く苦には
なりませんでした。
特許案件である本研究は現在、副作用の
少ない抗癌剤としての利用に期待できる
段階に来ています。以上の成果は、作業
の正確さと迅速性を怠らなかったのはも
ちろんのこと、共同研究先との積極的な
討論を重ねて、意思の疎通を欠かさなか
ったことによるものです。(345文字)
⇒まず全般的な感想
まずあなたの場合は、比較的専門性の高い職種に、大学院
での研究成果を生かして進みたいという部分で、大学の学業
が一切生かされることのない、普通の総合職志望の就活生
とは一線を画する必要がある。なぜなら受け入れる企業側も
あなたの専門性を期待しているわけだし、実際に面接官を務
めるであろう人物も、あなたの駆使する専門的なテクニカル
タームを理解する可能性が高いからだ。そういう意味で、あな
たが研究テーマを自己PRの材料に選んだことは間違いでは
ない。
しかし、昨今の研究職は営業的でビジネス的な視野を要求さ
れる傾向が強まっている。ただの「研究馬鹿」では数多くの
志望者の中から選んでもらえないだろう。そこであなたに
求められるのは理系的でない幅の広さ。上記の文章では
まったくそういう部分が見えてこない。研究テーマについては
わざわざ自己PRで語らないでも、エントリーシートで書き込
むチャンスはたくさんある。だからむしろあなたは研究とは別
の姿を自己PRで語るほうが上手な作戦だと言える。
上記の文章はざっくり言ってしまえば、あなたのPRではなく、
研究テーマの説明に終始している。手抜きしないで頑張った
けど苦じゃなかった・・・そういうことしか書かれていない。消化
不良のままだと敢えて申し上げておこう。
もうお気づきだとは思うが、研究以外のテーマで自己PRの
文章をあと3つは作っておかないと、必ず壁にぶち当たる。
あなたは研究以外の時間をどう過ごしたのか、人間関係を
どのように構築したのか、もう少し青臭い観点から再分析を
すべきだろう。
以下、挿入しながら各部分の感想を述べる。
>主に新規抗癌剤の探索とその作用機構を
>他大学と共同で研究してまいりました。
限られた字数なのに、似たようなことを重ねて言い直す
必要はない。もったいない。上記文とまとめよ。
>その背景には、癌で苦しむ多くの人々を
>救いたいという切実な思いがありました。
>私のような生命科学系の研究は、見た目
>の華やかさとは裏腹に、辛く地道な作業
>の連続でした。
>多くの失敗をしたり、
>時間的・空間的な制約を受けたりするこ
>ともありました。
>しんでいる人々を助けられる可能性が少
>しでもあるならば、それらは全く苦には
>なりませんでした。
>特許案件である本研究は現在、副作用の
>少ない抗癌剤としての利用に期待できる
>段階に来ています。
>の正確さと迅速性を怠らなかったのはも
>ちろんのこと、共同研究先との積極的な
>討論を重ねて、意思の疎通を欠かさなか
>ったことによるものです。
まずあなたは研究を続けてきた中でもっとも
ドラマチックだった場面や喜怒哀楽がはっきり
出た場面を思い出そう。だらだら研究の説明を
してもあなたの自身のアピールにはなり得ない。
もちろんだが研究以外でのあなたの姿も語る
準備は怠りなく。
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