島民５人の青島。１０人くらいの時はギリギリ１０年くらい猫島を維持できるのかと思っていましたが、一気に無人島化が現実味を帯びてきました。ここまで島民が減ったのは亡くなった人、病気で入院したり、高齢で島暮らしが困難になり息子や娘と同居で島を離れたり、身体が不自由になって老人ホームに入ったりそれぞれの事情があったのだと思います
２０１４年頃に大洲市の臨時職員として地域協力隊として、３０代前後の男性２人が島に移住しましたが、船の欠航も多く不便すぎる島暮らしに耐え切れなかったのかすぐにやめてしまったようです。５年後には居住している人もその分高齢化が進む。島民ゼロになっている可能性もある。
島猫たちは２０１８年秋に全頭手術済みで
２０２１年の現在は推定１００匹弱（最盛期は２１１匹）
２０２２年 ６０～７０（※2月現在70～80）
２０２３年 ２０～３０
２０２４年には１０匹以下またはほぼ０匹？？になるのではと推察しています
（北九州市の藍島の場合、全頭手術で２００匹が５年後には５０匹となっている）
最終的には残った猫たちは愛護団体が保護して島外での里親募集になると思います
船が着く島の東側はともかく西側にはもう誰も住んでいません。西側のエサ場や青島神社の階段下からさらに西側へ向かう道は竹林が倒れて通ることができません。つまり島の半分はすでに無人島化しています。猫の島の消滅に向かってカウントダウンは確実に始まっています。猫の島としての青島はあと３，４年か？
青島は江戸時代初期に忠臣蔵、赤穂浪士で有名な播州赤穂（今の兵庫県赤穂市）から移住してきた人とネズミ対策で連れてきた猫たちが暮らしてきた４００年の歴史がありますが、島民がいなくなれば猫もいなくなる。自然の摂理といえばそうだし、もちろん猫島消滅は悲しいですが世話する人がいなくなった島に猫だけ取り残されるのはもっと悲惨です。
宮城県・田代島に次いで有名な青島。全国の愛猫家たちがキャットフードを送っていますが、世話をする者が誰もいなくなった場合、キャットフードに依存してきた猫たちが自力で生きていくのは困難。一部の猫は野性化して虫を食べたり浅瀬の魚を採ったりはできるかもしれませんが、少ないエサの奪い合い、下手すれば猫同士の共食いが起きるかもしれません。
２０１８年秋の全頭手術には賛否両論ありましたが、近い将来のこの島と猫たちのことを考えて島民同士の話し合いで手術する結論を出したのだから部外者が口をはさむことではないと思います。手術前はメス猫を巡ってオス猫同士のケンカが激しく、負けたオス猫がメス猫の産んだ子猫を噛み殺すケースもあり、その無残な死体の片づけが辛かったと猫のお母さんも語っていました
もともと青島は観光地ではなく、ただ猫が多い離島にすぎず、誰かの口コミが一気に広がって猫好きの観光客が大挙して押し寄せてきたにすぎません。キャットフードを上げてエサ事情が格段によくなり、５０～６０匹くらいから数年で一気に２００匹以上に膨れ上がった経緯があります。しかも島には民宿どころか店もジュースの自販機すらなく、観光客が来ても島にお金は落ちません。対岸の長浜港からの定期船も島民がいなくなると自動的になくなります。
今は所定のエサ場が決まっていますが、以前は観光客がゴミを捨てたり、猫の食べ残しもゴミとなって島民の後始末が大変になる。猫を目当てに観光客が住民の居住敷地内に勝手に入る。
（観光客との諸問題が起こって）「そんなに猫が好きならもう島猫を持って帰って！こんなことになるならもう猫なんかいらない！」という島民の声もありました
現在も青島は決して観光地ではなく、東西５００Mの小さい島なので住人の居住スペースが多く、観光客は島民の生活圏にお邪魔させてもらう形です。１月２月は猛烈な冷たい季節風が島に吹きつけ、船の欠航も多い。3日4日連続欠航することもあります。猫たちも猫団子で温め合いますが、それでも冬を越せず老猫を中心に２０匹以上が死ぬといいます。
島民の生活も水道水を供給する浄水ポンプが壊れ、島の飲料水は定期船が運んでいる限界集落です。青島だけでなく、離島、寒村やへき地などこれから限界集落に、そして廃町廃村になる地域も出てくると思います
青島もそのひとつということで複雑な気持ちにはなりますが、元の無人島に戻っていくのを見守るしかないと思っています
最初で最後と思い、２０２０年６月に見納めに行きました。猫のお母さんはあと３年は頑張ると言っていました。「猫の楽園」。マスコミの口当たりのいいだけの無責任な言葉に翻弄された島、ただ猫が多いだけの限界集落。それが青島なのではないでしょうか。できることならもうそっとしてあげてほしい。
