映画レビュー 〜 ヘルタースケルター | ふるふワールド

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独特の手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞した岡崎京子の同名コミックを、実写化
した、異色にして衝撃のドラマ。
全身整形によって誰もがうらやむ美しさとスタイルを手にしてトップモデルへと上り詰めた女性が、欲望と背徳に満ちあふれた芸能界でさまざまな事件を引き起こしていく。
メガホンを取るのは、『さくらん』でビジュアルセンスを見せつけた、写真家の
蜷川実花。





ヘルター・スケルターというとモトリークルーの曲を思い出します、、ビートルズのカヴァーですが、、。
ヘルター・スケルターの意味は「狼狽」や「 混乱」なのだそうです。
スターダストプロモーションを辞めて、仕事がなくなってしまった沢尻エリカの復帰作ですが、
女の武器を使ってヌードにも挑戦。
ヌードは別にしても情緒不安定な主人公の難しい役を体当たりの演技で好演していますね。
彼女の転機になる作品でこれからはどんな役でもできそうな気がします。

事務所の女社長に桃井かおり、検事に大森南朋、悪徳整形クリニックの医院長に原田貴和子、りりこ(沢尻エリカ)のマネージャーに寺島しのぶ、恋人役に窪塚洋介、とキャストの配置もなかなか巧みだと思いました。
特に「華」のある「りりこ」とは対照的に地味な存在ながら寺島しのぶはうまいなーと改めて思いました。
それとりりこのメイク担当のオカマ役に新井浩文。
新井浩文って何をしでかすか分からない雰囲気をいつも醸し出していますが、真逆のオカマ役というのが面白かったです。

赤を基調とした映像は印象的で「りりこ」がテレビ番組出演中のクスリによる幻覚シーンも面白いし、浴槽に色とりどりのドラッグが浮かぶ幻覚シーンもカメラマンである蜷川監督のセンスなんでしょうね。

テンポもいいし、カリスマモデルの「光と陰」「栄光と挫折」不安や焦りなどを描いていて見ごたえはありました。
ただ、「りりこ」の心情描写をもう少し掘り下げると、深みのある作品になったかもしれません。
78点。