東日本大震災、復興への道 〜 福島県南相馬・新聞記事より | ふるふワールド

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福島県南相馬市の日帰り温泉「はらまちユッサ」の施設内に入ると、鮮やかな黄色いハンカチが吊るされている。
そこには、東日本大震災からの復興への願いが綴られていた。
「日本人は強い!」
「みんな頑張ろう!」

「はらまちユッサ」の経営に携わるAさん。妻とともに、震災発生から4か月。黄色いハンカチに込めた夫妻の思いを聞いた。

1997年。南相馬市に待望の温泉施設が誕生した。地元住民の喜びは大きかった。
なぜ「はらまちユッサ」と名付けたのか。
Aさんは鹿児島県出身。25年前、この地に来たときに聞いた「湯さ行くべ(風呂に行こう)」の方言。その愛らしい響きを用いたのだった。
ユッサは、市内外から年間10万人が足を運ぶ人気スポットとなった。

そんな中で大震災は起こった。すぐさま、客と従業員の無事を確認した。
さらに、追い打ちをかけるように原発事故が発生。自宅は原発から20キロ圏内の同市小高区にあったため、ユッサに避難した。
しかしユッサは屋内退避区域。避難から約1か月間、夫妻は、風呂・建物の補修など、再開の準備を続けた。

「ユッサを再開できませんか?」
行政から要請があった。住民からも電話が相次いだ。避難生活を続ける人にとって、風呂に入れないのは、このうえないストレスだったからだ。
再開するには、燃料とスタッフの確保、屋内退避の解除が不可欠だった。
Aさんは奔走した。燃料を融通してくれる人。何とか復興に役立ちたいとスタッフから名乗り出る人が、次々と出てきてくれた。


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Aさんは長年、地域の情報が詰まったフリーペーパーも発行していた。そこで培った人のつながりが、大きな力となった。問題が一つ一つ解決へと向かっていった。
そして、4月23日、「ユッサが再開!」というニュースが広がった。避難生活に疲れ切った人、南相馬に来ていたボランティアが次々と訪れた。

「ああ、気持ちよかった」
「ありがとう!ほっとしたよ」
温かな風呂に浸った後は、皆、自然と笑顔になった。震災以来、久しぶりに見る表情だった。
Aさんは再開にあたってひとつのアイディアを出した。それが黄色いハンカチを集めることだ。
「私は古い人間だから。幸せって言えば、黄色いハンカチかなと思った」

と語るAさん。
スタッフの一人が自らのホームページで告知すると、またたく間に1000枚を超えるハンカチが届いた。
そのハンカチに、ボランティアや風呂に訪れた人の手でメッセージを書いてもらうことにした。
そこには、福島に生きる人たちの”負けない心” ”あきらめない心”があふれていた。

Aさん夫妻は、強く心に期した思いをこう語った。
「これほどの大災害の中で、多くの方々を癒やし、安心を与えていくという大きな使命をいただいたと思います。私たちは、苦難を喜びに変えるため、戦いをどこまでも続けていきます」


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