田舎に帰ってきて1年少し。
そこで私は気づいたことがある。
うちの地元の男性の貞操観念が少し低いことである。
結婚していて彼女が複数いるという男性も知っている。
隣りに座るイケメンも、もしかしたら彼女がいるかもしれない。
でも、結婚していなければなんとかできるかもしれない。
いや、なんとかしたい。
いないよね?彼女。
でも、ここを確認しておかないと話が進まない。
なんといっても35才独身である。
安心してことを進めたい。
「一つ聞いてもいい?」
「いいよー、何?」
「あのさ、結婚してる?」
少し沈黙の後
彼はくったくのない笑顔で
「してるよ。そんなにパパ感でてたかな?」
と言い放ったのである。
もとい、
言い放ちやがったのである。
※これから「イケメン」→「クソ男」に名前が変わります。
このクソ男、子供までいやがったのかあああああああああああ
ぎゃあああああああああああああああ
きゃーーーーーーーーーーーーーーーーー
車内に脳内の声が響き渡る。
もちろん私の脳内だけではあるが。
鐘を持った天使のリンゴーンリンゴーン
から
小坊主のチーーーンポクポクポク
に脳内BGMが切り替わる。
「でも、本当にタイプなんだ。」
何が「でも」だああああああああああ
何が「本当に」だあああああああああ
何が「タイプ」だああああああああああ
タイプは嬉しいーーーーーーーー
は、ダメだ。
さっきまでのドキドキしていた心臓が
急激に冷え込む。
寒いぐらいだ。
「あんた、悪い男だね。」
急に切り替わった私の態度に
全く動揺しない彼。
「もーーーーー、本当に期待したんだよ?
もう、久しぶりにドキドキしたし。
2日間本当に高校生の時みたいな気持ちになったんだよ?」
心の声が駄々漏れしていた。
でも気にしない。
だって相手は既婚者である。
その辺の壁とか
野に咲く花とか
飼ってる犬とか
相手に話すのと同じぐらい
恥ずかしいことは何もない。
「えー?そうなん?
自信持ってよ!本当にオレのタイプだし、
オレみたいなタイプの独身だってきっといるよ。」
おーーまーーーえーーーがーーいーーうーーーなああああああああ
「既婚者で良かったら、○しない?
や、もちろん無理矢理とかじゃなくて、
同意があったらだけど。」
※○には、アルファベット1文字が入ります
おまえはなにいうとんじゃああああああああああああ
うわああああああああああああああああああああああ
「しない。何いってんの?
不倫ってね、本当に悪いんだよ。
それに既婚者には全く興味ないよ。
しかも不倫がばれて離婚ってなったら
慰謝料は300万円ぐらいかかるんだよ。」←ネットで知った知識
すると見事な答えが返ってきた。
「うん、弁護士の友達に聞いたよ!
だから300万円は用意してる!」
あほか?
お前はあほなのかい?
可哀想に。
イケメンなのにアホなんだね。
おくさーーーーーん
お宅の旦那さん
こんなこと言うてはりますよーーーーーーーー
私はもう、
何も言うことはなかった。
まさか
日本語が通じないとは。
ワーンナーイトーラブ、バーーッド
ベリーベリーバーッド
「どうしたの?」
そこから冒頭に戻る。
「ねえ、キスしてもいい?」
私は恥ずかしそうにうつむいて
それでも決心したかのように顔を上げ
こう答えた。
「ええわけないやろがい!!!!!」
どのようにしてドライブから帰ってきたかは覚えていない。
それぐらい心が擦り切れたのである。
なぜか気に入られた私に
彼からこうLINEが入っていた。
➖これからも、何かあったら言ってね!
恋愛アドバイスするからさ!
おーーまーーーえーーーがーーいーーうーーーなああああああああ
~fin~