雪が降ったり、雨が降ったり
とにかく寒いですね。
皆さんお風邪などひかれてませんか?
我が家は先週から、主人と娘がノロウィルスにやられ、ちょっと大変でした。
私もヤバかったですが、乳酸菌飲料のおかげか?胃痛胸焼けだけで治りました。
先日、大好きな甘楽さん💕にリクエストしてもらって嬉しかったので、日にちは過ぎましたがお雛様の話を書いてみました。
読んでもらえたらうれしいです♪😊
『 お雛様の落し物 』
ひな祭りが終わって、私達お雛様は押し入れに仕舞われた。
でも、私は焦っていた。
いつも肌身離さず持っていた、着物の袂に入れていた「あれ」が見つからなかったからだ。
家の人が寝静まるのを待って、こっそり箱から抜け出す。
それに気づいた三人官女達が慌てる。
「姫様!どこに行かれるのですか!?」
「ごめんなさい。直ぐに戻ってくるから」
私達が飾られていた和室に急ぐ。
この間は脇にあった炬燵が部屋の真ん中に置いてあった。とりあえず、雛壇のあった辺りを探す。
「無いわ・・・」私達が仕舞われる時、本体と小道具以外は気に止めてもらえないと思う。
あれは、掃除の時に捨てられたのかもしれない。
「この中には無いかしら」炬燵の中を覗いた時だった。
いきなり部屋の明かりがつき、誰かが入って来る。
慌てて炬燵に潜ると同時に足が入ってきた。
「はぁ〜」このため息は、お嬢さんの弟さん、カズさんだ。
「どうしょっかなー」と何かに悩んでいる。
私は炬燵の熱で段々暑くなり、我慢できずに中からそっと出た。
「あれ?お雛様?」
しまった!見事にカズさんに見つかった。
カズさんは私を両手で持ち上げ、天板の上に置く。
「なんだよーまた誰かが出したのか?」
ちょいちょいと指先で乱れた髪を直してくれる。
そして、頬杖をつき二度目のため息をついた。
「バレンタインにチョコレートもらえなかったんだよ」
私に話しかけるように独り言を言うカズさん。
「でも、他の奴にもあげてないらしい。まだチャンスはあるのかな」
これは恋のお話だわ。
人形の私でもいいから、誰かに聞いて欲しいのかもしれない。
「でもなぁ〜もらってもないのに、ホワイトデーにお菓子あげるなんて変だろ?」
その後もブツブツ「軽く義理チョコみたいにあげればいいのか?」とか「気持ちをわかって欲しいような欲しくないような」とか言ってる。
そして肘を伸ばして突っ伏した。
しばらくそうした後「あれ?」と何かを見つけ、畳の縁をカリカリほじっている。
「うん?おみくじか?」
カズさんは、そのおみくじに見える白い紙をピラッと開く。
それ!それなの!私が探していたのは!
「墨でなんか書いてあるな。ダメだ、読めねぇ」私の前にひょいと置いた。
私は嬉しくて思わず拾い上げそうになったが、自分を抑える。
と、カズさんはまたそれをつまみ
「なんか和歌っぽい?手紙かな?はぁ〜今どき手紙なんて書かねえしなぁ。そうだな〜鉛筆画でも描いて渡そうかな〜」
そういえば、お嬢さんが言ってた『カズは、勉強はダメだけど絵は上手いよね』って。
文を再び私の前に置いて
「なぁ、絵とかもらっても引かないかな?」
と聞いてくる。
私は返事しないけど、何となく応援したくなった。その念が通じた訳ではないだろうけど、カズさんは急に握りこぶしを作った。
「よし!絵を渡してデートに誘うぞ!」
ふふっ、上手くいくといいね。頑張れ!
しばらくしてから、カズさんは炬燵を出る。
ゆっくり私を見て「誰かが片付けてくれるよな」と言った後部屋を出て行った。
部屋の明かりが消えてから、私は文を手に掴んだまま、急いで押し入れに戻る。
と、そこにふたつの目がキランと光っていた。
「きゃっ」と驚いたが落ち着くと、目の前にいたのは殿様だった。
「どこに行ってたんですか?心配しましたよ」
怒りながらも心配そうに言う彼に素直に謝る。「すみません」
「今、探しに行く所でした。何かありましたか?困り事があるのなら話してみなさい」
「いえ、もう解決しました」
私は文を袂に入れようとする。
「それは何ですか?」殿様にヒョイと文を取り上げられてしまった。
「あっ!」
「うん?これは・・・」
これは、殿様が初めて私にくれた文だ。
和歌が書いてある今でいうラブレターだ。
こうして、ずっと大切に持っていた事がバレて、なんだか恥ずかしくて顔が熱い。
「殿からいただいたこの文を落としてしまって・・・探していました」
殿様をそっと見ると彼も顔を赤くしていた。
「こんな物を大切にしてくれてたんですか。いや、なんと言うか恥ずかしい」
彼は照れくさそうにしてから、
「とにかく、今後危ない事はしないように。
姫が無事でよかった」と私をぎゅっと抱きしめた。
そして目元に唇をそっと寄せて「何十年経ってもそなたの事が好きですよ」と囁く。
私は胸をきゅんとさせながら
「では、ホワイトデーとやらに文をいただけますか?」と聞いた。
「そんな行事など関係なく、直ぐにでも和歌を差し上げます。文も毎日書きますよ」どこか色っぽい笑みを浮かべる彼の顔が近づいてきた時、
「殿様、姫様、もうすぐ朝でございます」
「家の者達が気づく前にお休みくださいませ」
と三人官女達のキツめの声がした。
「ひな祭りは過ぎたって言うのに、これだからリア充は・・・」
「けっ、やってられん」と誰かが言ってる。
私達は顔を見合わせて、クスッと笑い、静かに褥につくのだった。
︎💖💗🌸🌸🎎🌸🌸🍬🍭🎁💖💘
ひな祭りの次は、ホワイトデーという事で・・・。
無理くりな気はしますが、多少は甘く書けたでしょうか?( ̄∇ ̄*)ゞ
甘楽さん〜今度「端午の節句」も書いてみたいです( *´艸`)
最後まで読んで下さってありがとうございます
❣️💕✨