今回のよきよきな1コマ。
ドジっ娘、紗和子母によるラッキースケベ。
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紗和子と理珠がルームシェアしているマンションのキッチン。『じゅーじゅーコトコト』と調理に勤しむ紗和子母。
紗和子、成幸、理珠に気づくと「あっ。さ、昨晩は泊めていただいてすみません・・・。す、すぐ昼食にするから座っていてくださいね!」と声をかける。
「いいわよお母さん、自分たちのことは自分やるから。これ持ってっちゃっていいかしら」「て、手伝います!」と紗和子と理珠が皿を運び始めると「あっ・・・。い、いいの!いいのよ紗和子さん!紗和子さんはやりたいことだけ自由に・・・ッ!」と言って慌てて止めにくる紗和子母。ガッと思い切り何かにつまずきすっ転んだ母は、勢いで紗和子のズボンと理珠のスカートをずり下げながら転倒。露わになる紗和子のパンティと理珠の黒パンティストッキング。
突然の絶景に、思わずブフっと噴き出す成幸。「ごごごめんなさい紗和子さん、緒方さん!!」と平謝りする紗和子母。
「ちょっとお母さん、料理運んでるのに危ないじゃない」と、ラッキースケベに全く動じない紗和子に対し「あ”-っ!!あ”-っ!!」「キャーッ、キャーッ」と大慌てな理珠と成幸。

続いて洗濯物干しに取りかかる紗和子母。
手料理をいただきながら「お・・・俺の分まですみません・・・」「び・・・美味です」と成幸と理珠は感謝を伝えるが「・・・・・・」と紗和子は黙ったまま。
むしろ「悪いわね、緒方理珠・・・うちの母が面倒をかけてしまって・・・唯我成幸にも・・・」と謝ってくる紗和子。
「な、何言ってんだ、俺は全然!」「わ、私もむしろ助かっていますし、ありがたいくらい・・・ですが」とフォローするも、「・・・・・・」とそれ以上言葉が続かず、昨夜の出来事を思い出してしまう。

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「あ・・・あのお母さん、ルームシェアやめて帰ってこいって」「な、納得いきません!一体どういうことなのですか!?」と紗和子母に問う成幸と理珠。
「あっ、す、すみません・・・!紗和子さんが嫌ならもちろん無理にとは・・・」と返す紗和子母。
それを聞き、ほー・・・と胸を撫で下ろす2人だったが「実は私家出をしてきたので・・・紗和子さんがよければ2人で一緒に暮らせたらと・・・」と、すぐさま爆弾発言を被せてくる紗和子母。
「成程、家出を・・・」とオウム返ししたのち固まる成幸と理珠。まだ事態を飲み込めず「家出・・・?」と再び口にする2人に紗和子母は
「あっ、は、はい、実はこの度・・・夫と・・・別居しようと思っていまして・・・」ともじもじしながら伝える。
『お・・・重ーーーいっ!!!』と、心の中で絶叫してしまう成幸と理珠なのだった。
◇◇◇◇◇◇◇

ここで回想終了。あからさまに沈んでいる2人を見て「・・・・・・なーに神妙な顔しているのよ、2人とも。別居くらい今の時代珍しくないじゃない。昔から好きに生きるのがウチのルールだし、私も好きにやらせてもらうわ。母の手前帰るとは言ったけど、家賃払って毎日ここに来ればいいだけの話だしね」と、ぱくぱく昼食を取りながら、けろっとした様子の紗和子。
「で、でも関城・・・」と何か言いかけた成幸を「そうと決まれば」と遮り「母が新しい部屋見つけてくる前に、完成させないとよね!緒方理珠の爆売れゲーム!!昨日まとめたアイデアノート、コンビニでコピーしてくるわ!」と、ウインクしてみせた紗和子は「アデュー!」とだけ言い残し、ドドドドっと家を飛び出して行ってしまう。「い・・・意外とあっさりしていますね・・・そんなものでしょうか・・・?」と理珠もやや驚いた様子。そして成幸は、『あれ・・・みさおちゃん?』と、その場にみさお(幽霊)の姿がないことに気付くのだった。

ところ変わって、某ゲームセンター。何食わぬ顔でもくもくとクレーンゲームのぬいぐるみを取り続ける紗和子。チラッとスマホの画面を見ると、メールの相手は紗和子父。
紗和子『お母さんが家出してきたわ。いいの?』
お父さん『そうか。彼女がそう決めたなら、僕にできることはないよ。』
というやりとりが表示されている。
ふいに紗和子のうしろから「ねー、おねえちゃん、ゲームやらないなら代わっ・・・」と声をかけてくる女児2人。しかし紗和子のカオを見るや「・・・えっ」と驚き「クレーンゲームでそんなにしょげなくても・・・」「オトナなのに・・・あっちのやろうかお姉ちゃん」とそそくさとその場を離れていってしまう。

その場に立ち尽くしたまま時間だけが過ぎ「・・・こんなところで、なにしてるのかしら私・・・」と、ため息をつきポツリと呟く紗和子。
「だから・・・それこっちのセリフだからね?」という声とともに現れたのは、息の上がった成幸と理珠。「おぎゃーっ!!唯我成幸、緒方理珠!!!なんでここに!?」と凄まじく驚く紗和子だが「なんでって・・・全然帰ってこないし心配もするわ」と当然と言わんばかりの成幸。「でも成幸さん・・・本当に、どうしてわかったのですか?紗和子がここにいると・・・」と不思議がる理珠。「あー・・・それは・・・その・・・なんだ、ちょっとした居場所のリークがあったというか・・・」とごにょごにょ言ってチラッと見た先には
『えっへん!さわこのスマホ、ちょいとはいしゃく!ってね!ちゃんとでんわできてえらい?ナリリン!?』と、クレーンゲームの台に腰かけVサインを決め込むみさおの姿が。そしてその手には紗和子のスマホ。
成幸は『えらいえらい。』と言うものの『でも(スマホ)早く戻して・・・』とはらはら中。とはいえ、「アデュー」と言い残し飛び出していった紗和子に咄嗟に付いていってくれたみさおに、感謝もしていた。

「あー・・・えっ・・・と」と最初こそバツが悪そうにするも「もー、変な心配しすぎよ二人とも!つい帰り道でゲームに夢中になっちゃっただけじゃない!ちょうど今帰ろうと思ってたところで!」と超絶笑顔を見せる紗和子。
それを聞いて「あーダウト!さわこぜったいしょんぼりしてたもん!うそつきー!」とプンプンなみさお。「お、おい関・・・っ」と成幸が言いかけたところで、理珠が紗和子の左手を両手でそっと包む。そして「紗和子、ゲームはもっと楽しそうにやるものです。私は人の心に疎いので、紗和子が違うというのなら全面的に信じます。ですが、仮に今紗和子が『つらくない』フリをしているなら、私の存在はそれを打ち明けるに値しないものとなり、私は悲しんで泣きますが、それでもいいですか?」と言い切る。
面と向かってそう言われ心を動かされた紗和子は、意を決して両親と自分の関係を話し始める。

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母「誕生日おめでとうね、紗和子さん」
父「ほらプレゼントだ、賢い子になるんだぞ」
紗和子「わあっありがとう!お父さん、お母さん!」
幼い頃の紗和子がそう言って受け取ったのは【かがく入門セット】。

『勉強をがんばるようになったのは、あの時のプレゼントがきっかけだったと思う。私の成績が伸びると、両親が仲良く誇らしそうに喜んでくれるのが嬉しかった。だけど』

小学校に上がり、クラスで孤立し教室に居づらくなってしまった紗和子。
父「保健室登校だって!?君がついていながらどうしてもっと早く気づいてやれなかったんだ!可哀想に!」
母「わ・・・私だけが悪いんですか!?働いているのはあなただけじゃないんですよ!?」
父「家事も育児も休みには手伝っているじゃないか!」
母「手伝う?ほ・・・ほら、本心では自分の仕事じゃないと・・・」

『その頃から・・・何かがズレ始めた。』

紗和子「お父さん、お母さん・・・」
父「さ、紗和子!ど、どうした!?何か欲しいものでもあるのか!?」
母「そ、そうねっ!お誕生日も近いものね!紗和子さんはなぁんにも悪くないんだから!自由にやりたいことだけやってていいのよ!」

『自由にやりたいことだけ』・・・その一見優しく聞こえる両親の言葉は、腫れ物に触れるような心の距離の裏返しに思えた。』

「・・・お金だけ、くれたら自分で買うわ」

『皆私から離れていく。家族さえ私のせいで、壊れてしまった。私のせいで』

幼い日の紗和子は精一杯の笑顔で
「私は自由にやるから、二人も二人のやりたいように生きてね」と両親に告げるのだった。
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ここで回想は終わり。
そして、昨日「夫と別居しようと・・・」と話していた母を思い出す。
「だから仕方ないの、仕方ないじゃない。『寂しくないフリ』して生きていく方が・・・楽じゃない」と、寂しそうな笑顔で言う紗和子。
そんな紗和子を見て、何も言えなくなってしまった成幸、理珠、みさお。
だがみさおは、そんな紗和子を見て生前の自分を思い出していた。

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『コホコホコホ』と咳をしながら、病室の窓から外を見つめるみさお。元気に遊ぶ同年代の子供たちを羨ましそうに見ているところへ
父「操、なにか欲しいものはないか?」
母「そ・・・そうよ!?ゲームでもおもちゃでも・・・何でも買ってあげるわよ?」と声をかける両親。

操「・・・ともだちがほしい」
両親「えっ・・・」
操「なんてうそうそ、お人形、お人形がいいな」
病弱なみさおは、笑顔でそう答えるのだった。
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そして夜も更けた頃「はー、なんか色々ぶっちゃけたら、けっこうスッキリしたわね!さっ、早く帰りましょ!お腹ペコペコ!」と、伸びをしながら軽快な足取りで進んで行く紗和子。
「あ、あぁ・・・」と言う成幸の背後から、みさおが「ナリリン・・・。私・・・さわこをたすけたい!!」と宣言。
続いて理珠も「・・・他人の家の事情に口を出すのは、ナンセンスと言わざるを得ません。が!!他人でなければアリフンスですッ!!!何をもって『助け』となすかはともかく、私も紗和子を助けます!!」と、フンスっしながら高らかに宣言。「何、アリフンスって!?ナンセンスとかけてるの!?」とすかさずツッコむ成幸。

この場にいる3人の気持ちは同じ。

成幸「他人でなければ・・・まぁ・・・アレか。あいつは俺らの・・・」
理珠「・・・フフ、そうですね。本人曰く、紗和子は私たちの・・・」
成&理「「【親友】」」「・・・だしな/・・・ですからね」

気持ちを確認しあったところで
「あれ?そういえば・・・なぜ先程私は、私【も】紗和子を助ける、と?」と、辺りをキョロキョロしながら不思議がる理珠。
みさおの存在に気付くのでは!?と、ヒィィィと慌てる成幸なのでした。

今回も面白かったです。