今回一番好きなコマ
下からのアングルもいいですね。
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海の家から帰ってきて数日後、マンションにて紗和子の誕生日会開催。
「紗和子!お誕生日おめでとうございます!」「8月3日、今日誕生日だろ?おめでとうな関城!」「あははっ、よかったね、さわこ!」っと、各々祝いの言葉を述べる3人(うち1人は幽霊)。
そんなサプライズに対し紗和子は『カクンッ』と、立ったまま気絶。
「あ・・・あまりの衝撃に気絶しとる!?」「帰ってきてください、紗和子ーッ!!!」と、意識を呼び戻そうと必死な成幸と理珠。
「え、ええと・・・。つ・・・つい取り乱してしまったわね・・・。私・・・誕生日、夏休み真っ只中だし・・・今まで友人に祝ってもらう経験なんてなかったから・・・」と、やや照れながら弁解する紗和子。成幸と理珠は共感を示すが「・・・というか、夏休みじゃなくっても・・・祝ってくれる友人なんていなかったのだけどね・・・」と自嘲する紗和子。
「いよぉーっし、関城!!」「お待ちかねのプレゼントタイムですよーっ!!」と慌ててフォローする2人。
まずは成幸の手作りフォトフレーム。「悪いわね唯我成幸、気を使わせて・・・」と言いつつも嬉しそうな紗和子。続いて「私からはこれです!」と言って理珠が取り出したのは《さわこのうどん人生〈ライフ〉》と書かれた手作りボドゲ。「て・・・手作りボドゲ!!!」「マジ!?これ緒方ひとりで作ったの!?」と驚く成幸と紗和子。
「フフフ、この日のためにコツコツ作った自信作です。早速みんなでやりましょう!」と嬉しそうに話す理珠。
「感・激ッッ!!」と言って鼻血を大量に噴出し、ザーッと後ろにふっ飛んでいき、家の中はドガシャーンと大惨事。
「関城ーーっ!!?」と驚きと心配が同時に押し寄せて忙しい成幸と「ナリリンのプレゼントとの反応の差がスゴイね・・・」と完全に引いているみさお。
理珠はというと「・・・実は・・・少々・・・個人的な練習も兼ねていると言いますか・・・」と切り出す。「今度・・・ボードゲームの即売会なるイベントがあるのですが・・・。それに合わせて何か一本・・・ゲームを出品してみようと思っているのです。」と心の内を明かす。
それを聞いた成幸と紗和子は
「・・・す、すごいじゃないか、緒方!!!」
「爆売れ伝説間違いなしね、緒方理珠ッッ!!!」と、イベント出品と聞き興奮がおさまらない。「フフフ、そういうのはプレイしてからですよ!さぁ、1ピコメートルも忌憚ない意見を是非!!」と、理珠も気合い十分でゲームスタート。

そして30分後。息切れし顔色も真っ青かつ無言の成幸と紗和子。対照的に「あっ、成幸さん、サイコロが5なので・・・うどん5杯ゲットで1272杯目です!」と1人盛り上がる理珠。
成幸と紗和子は目をギラギラさせ互いにアイコンタクトを取る。『何も・・・何も口にしてはダメよ、唯我成幸』『もちろんだ、関城・・・たとえどれほどこのゲームが・・・』
『なんかこのゲームつまんなーい、ただうどんが増えてくだけだし』とズバっと感想を述べるみさお。それを聞いて「つまんないとか言っちゃダメーーっ!!!」と慌てて止める成幸。
そこに食ってかかる紗和子。
「ちょ、オゥゴルァ唯我成幸ーー!緒方理珠の最高傑作のどこがつまんないってのよ!?ちょっぴり面白くないだけじゃない!!」と言い放つ。
「ち、違っ!!今つまんないって言ったのは俺じゃなくて・・・いや、つまんないって言ったのは事実なんだけど」
「「はっ!!!」」
焦って本音がダダ漏れてしまった2人。
理珠はというと、座ったまま気絶していた。「あぁぁ、あまりのショックに気絶してるわ!!」「今度はこっち!?しっかりしろ緒方ーッ!!」と、理珠の意識を呼び戻そうと奮闘する紗和子と成幸。

「・・・はぁ。ゲーム作りもうどんと同じ・・・。長く険しいものですね・・・」と肩を落とす理珠。「・・・」と暫く考え込む紗和子だが、
「このイベント発生のシステム・・・もう少し振り幅やランダム性を持たせた方がいいんじゃないかしら・・・」と口を開く。
「たしかに!ただコマに止まってうどんが増えてくだけじゃなくて、減らすイベントを作ったりペナルティがあった方が緊張感出るよな」と、成幸も同意。「空腹ステータスを作って、行動ごとに所持してるうどんを消費させたらどう?食べ物なんだし」と、更に提案する紗和子。
「な、なるほど、それですッ!!!そういうの、もっとくださいっ!!」と、目からウロコ状態の理珠。
「多人数でやる際に邪魔し合えた方が面白くないかしら?」「いいな!あとはゴールと勝敗をもっと明確に・・・」「ワンダホーです!!早速作り直しますッ!!」と、出てきたアイデアを元に、ボードゲームを改良していく紗和子、成幸、理珠の3人。床に広げたボードに、夢中で書き込んでいく。
暫くしてふと冷静になった成幸だが、超真剣な理珠の表情にドキっとしてしまう。「あ、あれ、てゆーか関城の誕生日会・・・」と切り出して関城の方を見るが、当の主役も「フンフーン♪」と鼻歌を歌いながら、イキイキとボードゲーム作りにいそしんでいる。『・・・ま、いっか。楽しんでるなら』と、優しく見守る成幸。
だが『キュッキュッキュッ』と音がする方を振り返ると『きゃははっ、お花、お花ー♪」と、マジックでおえかきするみさおの姿が。
『ギャーッ!!!イタズラ描きダメーーっつ!!みさおちゃーん!!!』と慌てる成幸。
すると紗和子が「あら?いつの間にか盤面に模様が・・・」と気付く。「すっ、すまん、これは俺が間違ってその・・・っ!!」と、成幸が慌ててフォローすると「いいわねッ!!!水素結合によって自己組織化したラジカル分子を思わせる美しさだわッッ!!」とめっちゃ気に入る紗和子。『なんか化学的に納得してくれた!!』と、戸惑いながらもほっとする成幸。楽しそうに作業に戻る紗和子を見て「・・・関城って・・・昔から化学好きだったのか?」と尋ねる成幸。
「なによ、藪から棒に」と応える紗和子。「あ、いや・・・。そういやお前のこと全然知らないなーと思ってさ」と成幸。

紗和子は昔を思い出す。
母「誕生日・・・おめでとうね、紗和子さん」
父「ほらプレゼントだ、賢い子になるんだぞ」

短い回想は終わり「昔誕生日に両親が、おもちゃの化学器具セットを買ってくれて・・・それが・・・嬉しかったのよね」と話す紗和子。
その表情は見えない。
「へぇ、いいご両親なんだな」と成幸が言ったのに対し「・・・・・・」と、紗和子は黙ったまま。

が、「そんなことよりゲームよ、ゲーム!!超大作に仕上げてみせるわよ!!燃え盛る友情パワーで!!」と切り替えようとする紗和子。
「え!?お、おう!?」「フンス!です!」と、その勢いに乗っかる成幸と紗和子。そしてゲーム作りは再び白熱。
『・・・・・・やっぱりいいなぁ・・・。こういうの』と、見守りながらポツリと呟くみさお。
そんなみさおの視界の端には、チカチカ光るケータイと、その画面には【不在着信12件 お母さん】という表示が出ていて。『さわこのでんわ・・・いいのかな?』と思うみさお。

そして、惰眠から目覚める成幸。『あれ・・・いつの間にか寝ちゃって・・・』と思いながらふと見ると、成幸の服の胸元をぎゅっと握ったまま涎を垂らして眠る、無防備な紗和子が。
「おわーッ!!!こ、こら関城、何寝ボケてんだ、離れ・・・ッ」と焦る成幸。良からぬ気配を感じ振り向くと、オモシロくない、と言わんばかりの理珠とみさおが。
「人がちょっと、シャワーで汗を流している間に・・・なにをデレデレしているのですか!!やはり成幸さんは、ムッツリの変態さんですっ!!」『デレリン、えっちーー!!』
と、理珠とみさおからそれぞれ罵られる成幸。「ち、違っ!!デレデレなんてしてないだろ!!!」『デレリンって何だ!?』
と、必死で弁明するが
「ムニャ・・・。・・・がとう。いつも・・・いてくれて、離れないでいてくれて、あり・・・とう」という紗和子の寝言を聞いて、驚いたような、少し胸があったかくなるような気持ちになった2人。

が、突然背後から「・・・あ、あの・・・」という声が。
声の方を見ると「ご・・・っ、ごめんくだ、さい・・・」と、リビングのドアを開け、もじもじしながら立っている女性が。
「あ"ーーッ!!おばけーッ!!!」と言ってズザザザっと後ずさる成幸、理珠、みさおの3人。
「ちっ、ちが・・・おばけじゃ・・・。インターホンも何度も・・・その・・・」と弁明する女性。
すると「もう・・・人が寝てるのに騒がしいわね・・・」と言ってムクっと起きた紗和子。
「何か用?お母さん」と、冷静な紗和子に「紗和子さん~!」と涙目で訴える母。
それを聞いて「え・・・・・・、ええええぇぇ!!?」と慌てる3人。
「さっ、紗和子のお母さんとは気付かず・・・い、い、今お茶を・・・」とわたわたする理珠に「おおおおかまいなくっ!!ささ紗和子さんとお話にきただけですので・・・っ!!」とこちらもわたわたしながら返す紗和子母。
そして「お、お誕生日おめでとう紗和子さん!急に押しかけてごめんなさいね、何度か電話したんだけど」と言って渡したのは封筒。「あ、ありがとう・・・」と言って受け取った中身はお金。
「それで・・・、今日はこのためにわざわざ・・・?」と紗和子が切り出すと「あ、ううん。えっと・・・えっとね。さ、紗和子さん、その・・・
ルームシェアやめて、帰ってくる気ないかなって」と答える母。
突然の展開に「えええええ!?ちょっ・・・急に何を言っているのですか!?そ、そんなのダメですっ!大学だってありますし・・・!」と慌てて止める理珠。「そ、それにですね、紗和子だって急にそんな話・・・っ!」と必死に止める理珠の隣で紗和子の表情は沈んでいて。
「・・・・・・」と少しの沈黙の後「わかったわ」と応えた紗和子。
予想外の紗和子のリアクションに「え・・・ええええええええっ!!?」と大絶叫の成幸と理珠なのでした。

今回も面白かったです。