今回一番好きなコマ

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ふくまるを保護してくれた家庭から、おじさまとふくまるはタクシーで帰宅中。
『夢じゃにゃいよね?夢じゃにゃいよね?パパさんが側にいるにゃ』と、涙を流しながら、現状を何度も確認するふくまる。おじさまの膝の上でタオルケットにくるまれ、大切に大切に抱きかかえられている。声は聞こえずとも、ふくまるの気持ちは痛いほどわかるであろうおじさまは「ふくまる。大丈夫、大丈夫だよ」と優しい眼差しでふくまるに声をかける。
そして「着いたよ、ふくまる」とおじさまに言われ『おうちにゃー』と喜んだのも束の間、窓の外を見て『病院にゃああああ』と絶望するふくまる。

診察中先生から「ひとまず安心していいでしょう。大きな傷もないしワクチンも打っていますし身体もしっかりしている」と言われている間、ずっと「ヴ~」と警戒心剥き出しだったが「強い子だね、ふくまるくん」と言われるや否や『当たり前にゃー』ととびきりの笑顔を見せるふくまる。『ふくまる強い子にゃ、へこたれにゃいにゃ』と言いながら、診察が終わった途端おじさまによじよじのぼりはじめる。

そして再びタクシーへ。『もうすぐ、もうすぐ帰れるにゃ。どんどん心が緩んでくるにゃ』というふくまるの気持ちに応えるかのように「よかったね、ふくまる。もう安心していいんだよ」と声をかけながら、ふくまるに顔をすり寄せるおじさま。
「ほら、帰ってきたよ」と言われ窓の外を見ると、『今度こそおうちにゃあああ」』と大喜びのふくまる。

玄関に入ってすぐおじさまにおろしてもらい、とたとたと家の中を進んでいくふくまる。きょろきょろと家の中を眺めながら、懐かしいようなほっとするような気持ちに。
そして、いつもの場所にお気に入りのねずみのおもちゃを見つけ、目を輝かせるふくまる。早速遊び始めるが・・・息も切れ切れに本物のネズミを必死に追いかけていた日々を思い出してしまう。ネズミも捕まえられず、徐々に体力が失われ立ち上がることも出来なくなり、どれだけ求めてもおじさまに会えない。その時の感情が溢れ出し『パパしゃああああん』と泣き出すふくまる。そんなふくまるを「大丈夫だよ、ここにいるよ」と言っておじさまは何度でも抱きかかえてくれる。

そうしていっぱいいっぱいご飯を食べ、いっぱいいっぱいお腹いっぱいになり、おじさまの布団で一緒に眠り『おうちに帰ってきたにゃ』と実感し、心が満たされていくふくまる。

翌日「ふくまるごめんね、お留守番できるかい?」と申し訳なさそうに布団から出るおじさま。『えええええ!?』とショックを隠しきれないふくまるだが、『本当はイヤだけど、パパさんが必ず戻ってくるって知ってるから、ふくまる今度こそ絶対絶対大丈夫にゃ』と気合いを入れ『パパさんいってらっしゃい』と笑顔で送り出すのだった。

今回も面白かったです。