1987年4月、国鉄が民営化されJR各社の発足後、

大阪駅北側の梅田貨物駅を中心とする「梅田北ヤード24㌶、72600坪)」。

当初、当該地を吹田操車場跡地への移転を提案したものの、

騒音や大気汚染問題に関する地元住民の反対で座礁に乗り上げ長期低迷。

1999年、吹田操車跡地に大阪市内の百済貨物駅も加えることで漸く妥結、

国鉄清算事業団は関係自治体などとの基本協定後、

関係5者との間で移転工事の着手に関する合意協定書を締結し、

2010年度中に貨物機能の全面移転が完了した。

都市再生特別地区の適用可能地域に指定されている梅田北ヤード、

そのうち約7 ㌶を先行して売却した後、

残存する大阪市北区大深町が大部分を占める再開発地域17㌶は

梅田の北側に位置することから「北梅田」と呼ばれる。

因みに開発事業者はオリックス不動産を中心に、NTT都市開発、積水ハウス、

阪急電鉄、三菱地所、住友商事など9社グループとか。

 

かつて西梅田にある旧本社ビルの窓越しから、

ロングランを続ける劇団四季「キャッツ」のテント張りを良く眺めたものだ。

一度構想に掲げられたサッカースタジアムが廃案に追い込まれた後、

視界を閉ざす工事中の高い囲いを見る度に

この空き地に一体何が出来るのだろうと関心を寄せていた。

一方、近畿の産官学で構成される「大阪駅北地区街づくり推進協議会」では、

市民が憩いを楽しめるゾーン、産業活性化のためのゾーン、商業施設のゾーン

などの三つに分け再開発を推進することで合意。

2011年11月、梅田北ヤードに隣接する旧大阪鉄道管理局跡では、

商業複合施設「ヨドバシ梅田」開業を皮切りに再開発事業が進められ、

一般公募の投票により地域全体の新名称を「うめきた」と決定。

2013年4月に開業したうめきた1期の施設名は

ご存知「グランフロント大阪 (GRAND FRONT OSAKA)」

2024年9月6日に先行開業したうめきた2期の名称は

「グラングリーン大阪(GRAND GREEN OSAKA)」

 

酷暑日が記録的に続く9月上旬、

うめきた公園の南区域と周辺施設を紹介する報道に接し、

全体の都市公園が完成するのは3年後の2027年春と知る。

JR大阪駅の西北に位置する当該地は

阪急や阪神梅田駅と隣接するは勿論、

地下街にはメトロ駅が張り巡らされた交通の要衝で

大阪、否、関西最後の一等地とも言われている、

その中核に大勢の人々が集い憩える都市公園が出現するとは――。

ニュースを見ながら直ぐにでも駆け付けたいが、

照り付ける日差しに心折れ、外出する意欲が湧かず、

暫く冷房の効く部屋に籠り、世の中の流れを静観することに。

 

朝夕、漸く秋の気配が感じられる9月末、

自民党総裁選の結末ばかり報道するテレビ番組に嫌気が指し、

気分転換を図るため最寄りの電車駅へ向う。

阪急大阪梅田駅2Fの中央出口の改札を潜りそのまま歩道橋を進み、

ヨドバシ電機ビルを横目にルクアのアナトリウム広場に着き、

JR大阪駅中央改札の反対方向へ右折し、階段を利用して地上へ降りる。

 

テッド・イベールが祝う「UMEKITA is growing!」

フランス現代美術家イベールの緑色の熊の形をした巨大アート作品、

「なにか新しいことが始まる」とのメッセージとか。

 

作成者が分からないオブジェ、「3人で力を合わせて…」

記念撮影をするヤンママたち

 

うめきた公園への方向が分からず、若い警察官2人連れに尋ねる。

彼らは少し離れた北の方向を指さし

「何処からでも行けますが、あの横断歩道を渡れば直ぐです」

 

 

左が梅田スカイビルの空中庭園で右がウィスティンホテル、

その下が先行オープンした「うめきた公園」。

ビルとの間には壁に囲まれた敷地(約9㌶)を見渡すと未だ工事中、

3年後には憩いと安らぎが広がる都市公園が完成する。

 

北から写した全天候型のイベント会場、手前にあるのが浅い噴水池、

酷暑日が続いた頃、子供達が芋の子を洗うように遊んでいたとか。

 

銀傘の下に入ると移動できるテーブルと椅子がある、

1人用のテーブルを見付けてカバンを置いて椅子に座り、暫く辺りを見渡す。

円形公園を取り巻くように設置された石段に家族連れが座り、

弁当を広げ飲食する長閑な光景が見受けられ、ホッと一息。

 

開業当初、芝生広場へ入るのを許可していたが今は立入禁止。

係員が芝生の養生する姿を見て、

彼らは甲子園球場の阪神園芸の従業員かなと思い浮かべ苦笑。

取り敢えずうめきた公園の先行部分を視察しKITTE館へ。

KITTEは郵政Gの大都市ターミナル駅前で展開する商業施設のブランド名で、

運営は日本郵政不動産と完全子会社であるJPビルマネジメント。

丸の内、博多、名古屋、そして今年の7月末に開業した大阪の4施設は、

いずれも都心部の鉄道駅に近接する郵便局の跡地を活用したもの、

KITTE大阪も6階建てB1の建造物で店舗数は107もあるとか。

各都道府県の名産店や飲食店街を見回りながら、ふと窓際に近付き

リッツカールトンなどハービス大阪の西梅田地区を見下ろす。

メマイがする程に変貌する街並みに、隔世の感を覚えながら、

付加価値の高い超一等地に自然豊かなオアシスができるなんて――、

これから街の雰囲気に馴染めば大阪の誇りになるかもと期待。

いずれにせよ、サプライズに依る感動を隠せないまま南下し、

阪神大阪梅田駅で電車に乗り、南回りで帰路に就いた。

 

(撮影日は9月30日月曜日、昼間は未だ未だ続く猛暑日)