草津市は近畿地方の北東で滋賀県南西部に位置し、
人口は大津市に次ぐ県下第2位で凡そ147千人を有する都市である。
新快速で大阪駅から51分、京都駅から21分と交通環境に恵まれ、
大都市のベッドタウン乃至は衛生都市として位置付けられ、ている。
とりわけ立命館大学「びわこ・くさつキャンパス」が開設されたのが大きく
南草津駅周辺にはマンションが立ち並ぶ西口付近には
新興住宅「プリムタウン」が造成されつつあり、
近年、通勤通学を含む夜間人口は増加傾向を辿り、
当該駅の乗降客数は県内一位に迫る勢いだとか。
琵琶湖南方にある烏丸半島の先端に広がる、
豊かな自然に囲まれた「草津市立みずの森・水生植物公園」。
「植物と人、水と人のふれあい」をテーマに造成された公園で、
四季を通じ年中花を楽しめるのが特色。
県外からの来訪者も多く、市民や県民の憩の場所として親しまれている。
「梅雨明け宣言」間近を感じさせる、七月中旬の爽やかな早朝、
阪急烏丸駅で地下鉄に乗り換えて南下し、
京都駅で一旦降りてJR京都駅のホームに辿り着いたものの、
ダイヤの乱れで駅員から普通電車「米原行き」に乗車するよう勧められる。
車内を大半占めていた立命館の学生逹が降りた南草津駅を経て、
漸く目的地「草津駅」に着いてバス乗場へ。
定刻通りに配車しない待機バス3両を苛立ちながら眺めていると
先程ダイヤを確かめていた高齢女性がベンチに近づいて来て、
「今日は『海の日』なのでバスは日祝ダイヤで9時半出発なの」
と苦笑しながら親切に教えてくれた。
「ああ、そうですか。ということはあと30分待ちになりますね」
彼女もベンチの隣席に座ったので何処から来たのか尋ねると、
彦根からで、「みずの森」のハスの花を見に来たと教えてくれ、
「私の趣味は水彩画で体力のある頃は現地でスケッチしていましたが、
今は写真を撮って自宅で描いていますの。
やはり現地へ行かないと臨場感が湧かなくてネ」
二人で雑談を交わしていると乗客が集まり始めたので早々に話を切り上げ、
最後尾に並び終点駅「琵琶湖博物館」で下車。
「県立琵琶湖博物館」はかつて琵琶湖文化館と呼ばれ、
仏教美術を中心に滋賀の文化財の保護や展示会などを実施していた。
現在の施設はリニューアルされ、従前の機能に加え、
「地域文化財のサポート」や「拠点となるビジターセンター」
の中核となるミッションを有しているとか。
展示物巡回中にハスの花が午後には閉じることに気付き、
急いで館外に出て「みずの森」公園へ。
近道を歩いて本来の目的地に辿り着き、
入口で共通チケットを提示するだけで入園すると、
いきなり目の前で大輪のダリアが迎え入れてくれた。
(入園チケット:博物館800円、公園300円→共通券では890円)
ダリアは夏だけでなく秋にも開花し二度楽しませてくれる。
近くの棚に大きな花の雪洞(ぼんぼり)が釣り下がり並んでいる、
余りに可愛らしく見映えするので近付いて接写を試みる。
南米原産のナス科ペチュニア属にある草木の総称、ぺチュニア。
観賞用の園芸植物で花名はブラジル言語で「たばこ」を意味するとか。
ハスは東南アジア原産の草本性水生植物。
花は茎が丈夫なため水面より高い位置に咲き、
地下茎は蓮根(レンコン)と呼ばれて水中で繋がっており、
正月に「見通しの良くなる縁起物」として食卓を飾る。
観賞用は勿論、食用にも使われるので世界中で育成されているとか。
ハスもスイレン同様、午前は大輪の花を咲かせるが、
午後になると残念ながら小さく萎んでしまう。
浮葉植物でタライのような葉の裏面中央付近に
地下茎から生えた葉柄が付くパラグアイオニバスと
水面辺りに浮かぶように咲くスイレンの花。
因みにスイレンとハスの分かり易い違いは、
先ず花期でスイレンは5月から10月までと長いのに対し、
ハスは7月から8月の夏だけと短い。
次に花の色、ピンク、白、黄色は両者の共通であるものの、
スイレンはこれら三色以外に紫や青色などの花も咲く。
また花弁の中心にシャワーヘッドのような花床があればハスの花。
水生植物のテーマ施設「ロータス館」を背景した蓮池、
館内はアトリウム(温室)なので冬でも花を楽しめる。
アガバンサスの花、南アフリカ原産の単子葉植物。
立ち姿は優雅で美しく、猛暑日の中で爽やかさを感じさせてくれる。
水辺で咲いていた花の名前は、多分カンナ。
日本最大の規模を誇る琵琶湖の遠景、
400万年という気が遠くなる長い歴史を有する古代湖の一つ。
園内を歩いていると遠く正面に赤い花の集団を見付けた。
何の花か近付いて確かめると百日紅(サルスベリ)の花、
いよいよ本格的な夏に突入する季節到来やね。
ロータス館内で見付けた、水面に咲いている紫色のスイレンの花。
園内のあちらこちらを歩き疲れた、
園芸緑化相談コーナーのレストラン&ショップに入り、
ハス葉色のソフトクリームを舐めながら暑さを凌ぐ。
容赦なくギラギラ照り付ける太陽の下、
トイレで汗ばんだポロシャツを脱いでティーシャツに着替え、
帰路に就くため博物館まで徒歩で戻り、草津行きのバスに乗り込む。
車内で次のバス停が「水生植物園、みずの森」と分かり驚く。
と言うのは草津駅と植物園との巡回バスと気付いたからだ。
何故、往路バスの終点を植物園ではなく博物館と設定したのか。
恐らく見物客の大部分が植物園目的で、
博物館をスルーするからだろう。
一人勝手に想像しながら町並みを眺め草津駅に着く。
途中で祇園祭の山鉾巡行を見物しようかと考えたものの、
うだるような猛暑に耐えきれず、
這々の体で冷房の効いた車内に乗り込み、
空席を見付けてグッタリ座り込む。
漸く足腰を使わなくて済むとホッと一息吐く。
やれやれ、夏場の遠征はかなり疲れるネ。
(写真撮影日は7月17日月曜日、歩数は凡そ15000歩)