11月初旬に設定された自治会主催の美術展、

関係者から出展を要請され「枯れ木も森の賑わい」を前提に承諾し、

お気に入りのブログの写真2枚を額に入れて掲出した。

受付の女性から花の写真が欲しいと言われ

誤注文したサイズの違う写真を思い出し事務所に持参する。

 

釧路川下流のヤマブキショウマ

 

彼女は写真を受け取り満足そうに眺めながら問い掛ける。

「ところで今度の紅葉ウォーキングには行かないの?」

自治会の元ウォーキング担当として参加したいのは山々だが、

その前後にバレーボールのプラザが入っている。

「この歳になると三日連続の運動はキツイね。

この間も無理して半月板が陥没して酷い目に遭ったからな……」

何回かやりとりをして「やっぱり止めとくわ」と返答した。

数日後、2年間一緒に担当した女性スタッフMさんが

早朝ラジオ体操に来て紅葉ウォーキングの下見の様子を伝えてくれた。

「甲山の頂上付近にある公園までの行程だけど、

急坂で石ころも多く歩くのが怖いぐらい、気乗りしないな

「獣道みたいなところね。ご高齢の参加者が多いので

舗装道路を選ぶ方が良いかもネ。例えばバス道を歩くとか」

助言したものの参加者が少ないのも気掛かりで、

最終的にウォーキングぐらい何とかなるだろうと腹を括る。

「受付表に私の名前を書いといて、絶対行くから――」

前言を翻し紅葉ウォーキングに参加することに。

 

晴天に恵まれた11月下旬、総勢12人で阪急電車に乗り

夙川駅を北上し終点甲陽園駅で下車する。凜とした冷たい空気の中、

リーダーのNさんを先頭に歩き始め銀水橋に差し掛かり、

そのまま県道を進むと思いきや右折して川沿いの道に逸れる。

Mさんの言葉を思い出し少し不安に駆られたがリーダーに付いて行く。

「ここの石段は我々の歩幅と合うから歩き易いネ」

和やかな雰囲気で落葉を踏みしめながら坂道を登ると、

徐々に道幅が狭くなり大きな石も増え歩き辛い。

行先が二手に分かれる場所に差し掛かる、

取り敢えず男性数人で車が往来する道路に近い山道を確かめてみた。

獣道はあるが藪蔓が顔にかかり、小川を渡らねばならず危険だ。

皆で引き返すのも時間が掛かるなど戸惑い逡巡するなか、

行先提案者の女性Fさんを含んだ幹事3人で協議し、

目前の急勾配の石崖を登り強行突破することに。

若者なら無難にこなすだろうが、特に高齢者には注意を促す必要がある。

「前傾姿勢で重心を低くして、足下を良く確かめて登って下さい。

それから適当な間隔をとって決して立ち上がらないこと、

誰かが倒れると雪崩式に後ろへ転がり大惨事になりますからネ」

石崖のハードルを越えても未だ未だ坂道が続くなか、

三宮方面が一望できる見晴らしの良い場所を見付け一息吐く。

 

六甲アイランドを跨ぐ湾岸の向こうが三宮、

流石に明石大橋は視界に入らない。

 

歩き疲れ池の畔にあるベンチに座り休憩していると、

先程道順を尋ねたご夫妻が目の前を横切ろうとしている。

「この先は行き止まりですか?」

我々が目指す方向の逆なので問い掛けてみた。

「いやあ、猪の子供を見付けましてネ、いずれ親が出て来ますよ。

危険なので遠回りすることにしました」

幹事と相談して「大勢なので大丈夫だろう」と判断し

案内役Fさんと二人で先頭に立ち予定通り池の西側を歩くことに。

池を渡る橋を横目に険しい山道を進んでいくと

Fさんが猪の進入を避ける針金網のゲートに近付き微笑む。

「漸く着きました。ここから目的地の公園に入れます」

西宮市立北山緑地植物園は市民ガーデンセンターや緑の相談所、

北山山荘などの施設が配備され憩いの場として親しまれている。

(因みに甲陽園からバス道を辿れば所要時分は凡そ30分とか。

今回は敢えて川沿いを選択したので60分要した)

ここから入れるのか驚きながらゲートを潜り歩いて行くと

中国風の屋根の形をした建物が見えてくる。

 

1992年に建設した北山墨華亭

中国の友好都市紹興の庭園内にある墨華亭をイメージした建物。

公園の回廊施設に位置付けられる傍ら、

書道展など文化事業の施設としても利用されているとか。

 

正門付近にある緑の相談室&市民ガーデンセンター

管理事務所や休憩場所の他、苗木などの販売コーナーもある。

 

彼方此方にベンチが配置されている緑の広場

三々五々に別れ早めの昼食タイム(10時50分~11時30分)

 

昼食後珍しい十月桜の下に集合し園内を散策。

 

見頃の紅葉が晩秋の趣を醸し出している。

 

市政60周年を記念し故人木村氏の寄付を受け

建設された数寄屋造りの北山山荘

 

自治会より拝観料替わりに抹茶などが振る舞われ

去り行く秋を惜しみ静かな一時を過ごす。

北山緑地公園を離れ再度坂道を登り甲山の頂上(標高309.4㎞)

覚しき北山貯水池に着く。少し休憩してから

バス道を歩いて下山し神呪寺の長い石段を横目に眺めながら

県立甲山森林公園の遊歩道に入る。

 

 

管理施設で休憩した後、紅葉した山々に囲まれ

水鳥が遊ぶ「みくるま池」に差し掛かる。

 

一行のみならず他のハイカー逹も見とれる美しい光景。

 

 

最後に関西学院大学の構内から甲山を背景とした時計台を眺める、

今回の一行は何カ所かスリリングな場面に遭遇しつつ

一人の離脱者もなく全員踏破できた。

胸を撫で下ろしながら終着駅門戸厄神を目指した。

 

(写真撮影は11月25日金曜日)