本題に入る前に大阪市の生立ちに少し触れる。

1889年、市政施行により大阪府下4区(東、西、北、南区)を

大阪市とし、特例で府知事が市長職務を兼務する体制で発足。その後、

大阪市政100周年記念事業として中之島美術館構想を打ち出されたものの、

財政難から着工が遅れ、凡そ40年かけて漸く2022年2月に完成。

当該館は今年の4月9日から7月18日まで、

開館記念特別展「モディリアーニ ―愛と創作に捧げた35年―」

を開催している。

ご存知の通り大阪市は西日本の首位都市で、京都市や神戸市を含めた

世界有数の経済規模を誇る京阪神大都市圏の中枢を果たしている。

24区の行政区で形成されている市庁所在地は北区中之島は、

多数の河川や堀を有し港湾機能や河川交通が発達し

水都と呼ばれ親しまれている。

 

 

五月下旬快晴の下、地元ウォーキングに参加し総勢21人で

阪急電車大阪梅田駅で下車し中之島美術館を目指した。

一行は幹事を先頭にウメチカ(梅田地下街)を通らず、

JR大阪駅構内を横切り、約30年前(1995年)に再開発された

西梅田地区を練り歩く。

「あの高いビルは33階、うちの子供が最上階で働いているの」

メンバーの一人がビルを指差し自慢そうに話し掛けてくる。

JR大阪駅の真向かいなので阪神百貨店だ、以前は経年劣化が著しい

9階建てのビルを恥ずかしげもなく晒していた。

「いやあ、見違えるネ。多分百貨店の上の部分はテナントビルやろ?」

バックボーンがH2Oリテーリング【㈱阪急阪神百貨店】になると、

流石に改装規模のスケールが大きい。

新しく聳え立つ巨大な建物を頼もしく見上げた。

かつて本社所在地が西梅田のときは通勤していたので馴染みがある。

前方に見える中央郵便局の建物が工事中だ、どうなるのだろう?

大阪四季劇場で『マンマミーヤ』や『オペラ座の怪人』のミュージカルを、

またビルボードライブでは色んなアーチストの音楽を鑑賞し楽しんだものだ。

暫く歩いて行くとリッツカールトンホテルが見えてくる。

「このリッツは日本では初めてやねん。当初こんな高級ホテル、誰が利用するのやろうと

心配してたけどネ。我々の中で利用した人、いてるんやろか?」

ラグジュアリーホテルを見上げながら呟くと隣の仲間が反応して言い放つ。

「なにゆうてんの。ここのメンバーは全員利用してるわよ――」

宿泊客の殆どが外国人客だが、近畿圏の女性も良く利用すると聞いたこともある。

「そうですか、大変失礼致しました。私はしがないサラリーマンだったので

食事を何回かしたことあるぐらいで、泊まったことはないね」

彼女の余りの勢いに謙虚に答えるしかない。

開店当初、リッツの営業担当から食事会の開催を頼まれ、

同窓会を三回も実施した頃が懐かしい。

正確に言えばリッツに関心を持ち、自ら企画したのが実態かな。

 

巨大なネコ像の周りで手続きが済むまで暫し休憩、

ネコの立像は何か意味があるのかな?

 

全体的に黒い建物で展示室は4,5階とか。

入場者数が20名以上なので団体割引(1800円→1600円)が効き、

幹事が全額カードで支払いを済ませ、後で徴収するとのこと。

煩わしい手続きが省略できて感謝、感謝。

入り口で担当者からマウスシールドからマスクに替えるよう要請され、

三十三間堂の時と同じく、ローカルルールと割り切り素直に従う。

(絵画鑑賞で会話を交わす人は皆無に等しく、マスク着用は不必要なのにと思いつつ……)

 

モディリアーニ展の入場ゲート辺り

展示場で作品を眺めるなか、写真撮影可能な絵画三点を見つけ、

速攻スマホを取り出し、指示通りフラッシュ無しでシャッターを押す。

 

『髪をほどいた横たわる裸婦』

 

モディリアーニ(1884~1920年)はイタリアの画家で、彫刻家でもある。

主にフランスで活動した、エコール・ド・パリ(パリ派)画家の一人、

上記の絵画は大阪市が19億円で購入したとか。

その他『少女の肖像』など国内外から約40作品が展示されている。

 

当時の応接室の写真なのかな。

 

『少女の肖像』この絵のモデル、少女?

 

一時間半の作品鑑賞を終えてから昼食を摂るため、幹事の案内で近くのビルに入り

4Fの社員食堂で松花堂弁当(780円)を食したあと、コーヒー(250円)を飲む。

マニアックな社員食堂なんて良く知ってるなあと情報通の幹事に感心しつつ、

今後何かの時に来てみようと考えながらビルを出る。

 

大阪市立『こども本、森の図書館』は予約無しでは入れないとか。

「すみません、トイレだけでも使わせて貰えませんか?」

「それも予約がないと入れません。近くにバラ園があります、

そこのトイレを利用してください――」

余りに杓子定規な対応に唖然とする傍ら、側で女性逹の会話を小耳に挟む。

幹事に女性達がバラ園に行きたいのを伝えると快諾してくれ、

そのまま東へ進み隣接する中之島公園にあるバラ園へ。

 

 

ビル群の狭間で水路が南北に流れ、バラ園が東西に延びている。

天神橋から突き出た東端部は、水路を堂島川と土佐堀に分けて

尖っていることから剣先と呼ばれ、

先端には安藤忠雄構想による噴水が設けられている。

 

バラ園を歩く若いカップル

 

公園をそぞろ歩く人々の中、頭に白いカチューシャのヘアーバンドを付けた、

「アルプスの少女ハイジ」みたいな可愛い少女を見付け、

思わずシャッターを押し掛けたがタイミングを逸しすごすご通り過ぎる。

「美しいバラには棘がある」と言われるものの、

笑顔が可愛く、溌剌とした女性がバラ園には良く似合う。

衝動的に写真を撮りたくなるのも肯ける行動なのかも知れない。

これで今年の春薔薇は見納めかと思いつつ帰路に就く。

 

写真撮影日は5月25日水曜日