京都会館
改札を出て指示どおり銀行が見える方の出口階段を降りた 正面に背の高い今で言うイケ面の青年が 此方を見て手を上げた 「怖そう」と感じた そばで見るとチョット強面の人だった 「お疲れ様」優しく言ってくれた その一声でホットしたのを今でも印象強く覚えている 道々佐倉の事を聞かせてくれた と言っても二三分で到着したのだが・・・
驚いた 着いたのはパチンコ屋だった 真黄色の建物で キラキラネオン 中からは呼び込みがガンガン聞こえてくる 店の名は『京都会館』多分夜七時頃だったと思ったけれど 300台の店がほ満台だった 恐ろしく活気のある店だった 面接は2階の事務所 そこには事務長さんと部長さんが居た 二人とも人の良さそうな年配の方だった 面接は迎えに来てくれた若い人『常務』だった 自分はパチンコは好きだが働いた事は無かった 面接で何を聞かれ 何を言われたのかは全く覚えていない ただ 宿と食事が保証された事だけが嬉しくて上の空だったのだ
仕事は翌日から 今夜はゆっくり風呂に入って 食事をして休むように言われた 部屋は・・・・なんと10畳位の部屋に布団が何組か並んでいた 「えっ??此処で寝るの」 頭の中で「これが蛸部屋かぁ」と思った 部屋の片隅に小さな共同テレビ 風呂もトイレも冷蔵庫も何もかも共同 宿と食事は安心したけれど 何故か身体の芯から 得体の分からない不安感が入道雲のように湧き出てきている なんとも言えぬ落ち着かない気持ちだった その不安は的中した 仕事を終え上がって来たのは どう見ても普通の人?とは思えない風体の ひょっとして此処は何処かの組?って感じに思えるような男達が戻ってきたのである 明日からこの人達を先輩として働くのかと思うと 逃げ出したくなってきたのを覚えている
勿論この時 狸寝中!!!!! 心の中で「朝にならないでくれ」と祈っていた そして業界一日目の爽やかな?朝を迎えるのである
京都から東京
京都での二ヶ月間 神社仏閣めぐりの日々を過ごして 気が付けば持ち金50000円弱 此処で慌ててもしょうがないし 悟りを?開いた身だから・・・・????
とりあえず大坂に出 てたこ焼きとお好み焼きを食べてみた 当時流行っていた吉本の漫才を見に難波花月にも足を運んだ 関西でこのまま根付いてと考えて見たのだが 言葉や余りにも違う生活環境に 東京に戻る事を即断した 帰りの新幹線これが最後の贅沢と グリーン車に乗って 多少の不安の中(残金数千円)東京に向かった 本当はこの二ヶ月の体験も書きたかったのだけれど それは機会があったらと言う事で
東京駅に着いたのは午後だったと記憶している 車中で読んでチェックしていたスポーツ新聞の就職欄から 『京都商会』と言う呉服屋に電話をしてみた ほんの洒落心だった 場所を聞き華やかな飾りの店先にたどり着き 中に入って驚いた 呉服屋?の筈が チマチョゴリ専門の朝鮮民族服屋さんだったのだ 場違いな自分の前に出てきたのは 今まで見たことの無い様な 美人だった オーナーの娘で当時はまだ25歳くらいだったと思う 面接に来たと伝えると 天子のような(菩薩様の様なかな)笑顔で 働くのは此処ではなく 千葉県なのと言われた どんな仕事かとも聞かず・・・と言うか自分では民族服屋だと思い込んでいたから その女性は京成電車に乗って 佐倉と言う駅まで行きなさい 駅を出たら私の弟が待っているからと言い 確か旧5000円札を交通費と言ってくれた 当時佐倉まで300円で釣りが来たのだから 驚きだった
京成上野駅から成田行きの電車に乗り 降りる駅を確かめ不安では有ったが車窓から下町の風景や夕焼けを見ながら 駅にどんな人が迎えに来ているのか ドキドキしながら不安を紛らわすように遠くを見ていた 電車は「京成臼井」次は佐倉・・・・ 景色は民家の窓明かりや看板の蛍光灯にいつの間にか変わっていた
「間もなく佐倉」車掌さんのアナウンス 病院が過ぎ銀行の看板 踏み切りコンビ二 そしてパチンコの明るいネオン まだ自分はその風景の意味は分かっていない 電車は京成佐倉駅に滑り込んだ・・・・
きっかけ
この業界に入るきっかけと成ったのは 19の夏だった・・・
札幌の高校を出てから 華の都・東京銀座のMデパートに 今で言う派遣社員として働いていた
人間関係やら仕事上のトラブルやらで デパートを辞めてしまった 確かその時の手持ち20万円程
今の価値なら40万位だろうか その金を持って千葉・船橋競馬場へ・・・子供の頃から競走馬の身近で
暮らしてきたので 競馬は好きだった
朝の1レースから最終の12レース迄 確か9レース程的中させたと記憶している 最終の手持ちが250万円
30年前のその金額は自分にとって超が付く大金だった それを僅か19歳の若造が持ったんだから大変 ただ
俺は変わり者なんだねぇ それまで散々風俗だのギャンブルだの遊びほうけていたのに その金を持って京都に向かったんだ 生まれて初めて新幹線のグリーン席で 京都には寺社仏閣をゆっくり見たくて思い立った足で向かったんだ 京都では八坂神社に下にある祇園ホテル(今のアパH)を二月前払いをして そこを中心に200以上の神社仏閣をゆっくり見て聞いて廻った 何を思ったのか その二ヶ月間俗に言う『飲む・打つ・買う』を全くせずに ただひたすら心を清めて?
二ヶ月で残金僅か5万円に成っていた 何に使ったのか? 食べ物・衣服で殆ど使ったんだ 交通費は最初に自転車を購入したから 後は掛からないし でも大金を使ってた京都の二ヶ月間は今でも その一つ一つが鮮明に脳裏に浮かんできます
何で 大金散財の京都の旅が 銀玉人生に成るのか? それが成るんだよねぇ~
次は 業界への第一歩
