オーナー経営者の役員報酬の決め方にはポイントがあります。

特に、新たに会社を設立した方からの照会のある確率は、ほぼ100%です。

しかし、会社設立して10年以上経過していても、その決め方に無頓着な方

もいてとても残念な(経営的にはもったいない)ことです。

1.定期同額給与(役員報酬)の金額

 原則は、年に1回しか変更できません。

 それは、役員報酬が利益調整に使われないよう一定額と決められていて、

 金額を変更して支払うこと自体はできますが、その場合には損金経理が

 できなくなってしまいます。

 

2.事前確定届出給与(役員賞与)

 役員には賞与は出せないと勘違いしている方もいますが、事前に税務署に届出を

 したうえで、その金額、支払日通りに支払った場合は損金経理が可能です。

 

3.役員賞与の活用

 役員賞与を活用した社会保険料削減スキームが一部横行?しています。

 これは、社会保険料の上限規定という仕組みを逆手にとった削減スキームです。

 毎月の役員報酬を極端に少なくしたうえで、役員賞与で年間の報酬のつじつまを

 あわせます。そうすると社会保険料の削減ができて、年間100万円以上も節約?

 することが合法的に可能です。

 ただし、デメリットもいくつかありますが、そこの説明をしていない税理士も

 いるのでやっかいです。たとえば、以下のようなデメリットもあります。

・社会保険料の支払いが少ないので将来の厚生年金の受取額が当然に少なくなる。

・毎月の月額報酬が少ないので、万が一の際の傷病給付金の受取額が少なくなる。

・税法上の大きなメリットを期待できる役員退職金の支給限度額が少なくなってしまう。

(役員退職金は、役員報酬月額に連動した税法上の限度額が決められているためです)

・生活費に余裕がないと役員貸付金が増加して決算書の見栄えが悪くなり融資に影響する。

・予測通りの事前届出額が支給できないと逆効果となってしまう可能性がある。

いずれにしても、オーナー経営者は、売上予測、法人税、所得税、社会保険料、退職金

相続税などを勘案して決定する必要がありますので、しっかり税理士と直接相談しながら

決める必要があります。