「毒親」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

よく書籍などでも紹介されているこの言葉。

 

子供を支配したり、傷つけたりして「毒」になる親

All Aboutより

 

私は過去に、自分の親を「あんたたちは毒親だ!!」と責めたことがあります。

 

その頃の私は、離婚したてで心に余裕がなく、思い通りにならない息子の育児に対して不満を抱えていました。

 

なんでこんなこと(離婚して一人で子供を育てる)になってしまったのか、

これからどうやってこの子をまともな人間に育てていけばいいのか、

 

そんなことがいつも頭の中でぐるぐるしていて、常に何かに追われ、焦っていた時期。

そんなときに「毒になる親」という本を見つけてしまいます。

 

読み進めていくうちに、その時の私が感じたこと。

 

今の私がこんな風になってしまったのは、「毒親」のせいだ。

小さな頃からあんなことも、こんなこともされてきて、それが積もり積もって今の私の現状をつくってしまったんだ・・・!

 

その時は、もう目から鱗がぼろぼろ落ちた感じがして、「人生の謎が解けたぁー!」くらいのブレイクスルーを得たような気がしたものでした。

 

誤解のないように言っておきますが、私の両親は、とても真面目で、愛情深い人たち。

 

過去にはお互い、いろいろな葛藤がありましたが、私の両親が選択してきたこと一つ一つが、彼らなりに悩み抜いた上での選択であり、その源にあるのは、私のことをとても大切に感じ、傷つけたくないという想いがあったのだと、今ならわかります。

 

だがしかーし。

 

当時の私は、目の前の現象に振り回され、今の望まないこの現状は、自分のせいだとは思いたくない。誰かのせいにしたい。

そんなフェーズだったのではないかと思います。

 

そんな思いから、ずいぶんと酷いことを両親に言って、たくさん傷つけてきたなぁ、と今は心から反省しています。

今となっては、私が「毒娘」だったのかもしれません😅

 

そもそも、両親との確執は、とある事件が発端になっていて。

私が18歳の時に経験した大恋愛。

 

相手は13歳年上の医療関係者。

そして初めての恋愛。

しかも、私は交通事故に遭った直後で、入院先の病院で彼と知り合います。

 

もうこの要素だけで、娘を持つ親としては、ソワソワしてしまうかもしれませんね。

そして、娘が交通事故に遭うという事件は、両親にとっても相当ショッキングな出来事だったと思います。

 

自分には知らない世界のことを色々教えてくれる彼のことが、私は大好きでした。

ちょっとアウトサイダーな部分にも、周りにはいないタイプの人で、惹かれていたのだと思います。

そして何より、彼が私を「一人の大人」として扱ってくれたことが、とても嬉しかった。

 

女子高校生でもなく、世間知らずの女の子としてでもなく、「私」という人間を感じ、私を好きになってくれていたのだと、そう思っていました。(両親に言わせると「あんな男にだまされて!おまえは男を見る目がない!」といまだに言われますが😅)

 

さて、初めての恋愛に楽しそうにうつつを抜かしている娘。

その相手は、アウトサイダーな匂いがぷんぷんする、得体の知れない男。

 

心配が頂点に達した両親は、私が想像もしていなかった行動に出ます。

 

私には秘密で、彼と3人で会ったのです。

 

両親としても、色々彼のことを調べた上で、彼が娘の相手として適切であるのか、見定める意味もあって会ったのかも知れません。

彼はそのことを、私に包みに隠さず話してくれました。

そして、彼は、その場で両親に言われた言葉で、とても傷ついていました。

 

おそらく私の両親のことなので、彼を傷つけないように、言葉をオブラートにくるみながら、しかしはっきりと自分たちの意見を伝えたのではないかと思います。

その気遣いが、繊細な彼には逆にこたえたのかも知れません。

 

両親との話を受けて、私に別れを切り出した彼。

当然、私の答えはNO。

そして両親に対する絶望、悲しみ、怒り。

 

なぜ、私に黙ってそんなことをしたのか。

別れて欲しいなら、私に直接言えばいいのに。

どうして私を信じてくれないのだろうか。

 

そして真実を包み隠さず話してくれた彼に対して、増していく信頼と愛情。

 

そこからはもう、悪い循環しか起こりませんでした。

 

両親の前では、涙ながらに「彼と別れた」という演技を見せ。

その裏では彼と隠れて会い、逢瀬を重ねる日々。

 

彼と会っている時間はもちろん楽しかったけれど、いつもどこかで両親を裏切っているような、そんな罪悪感を感じていたような気がします。

 

不自然で無理のあることは、当然長くは続かず。

やがて悲劇の結末を迎えます。

 

嘘をついて彼と会っていたことが、ひょんなことから両親にバレてしまうのです。

 

「あんた、どこにいるの!?すぐに帰ってきなさい!!」

 

電話越しの怒りに震えた母の声に動揺しつつ、まだその時はことの重大さを理解していなかった私。

家に帰ったら修羅場が待っていました😂

 

彼にもこれ以上迷惑をかけたくない。

私が我慢すればそれで全ては解決する。

 

そう信じた私は、泣く泣く彼と数ヶ月間会わない、という約束を了承し、部屋で泣き崩れます。

悲劇のヒロイン感満載ですが😅、当時はまさに、そのもの。

 

そして、両親と約束した会わない期間が過ぎた頃。

私は大学生として新しい生活をスタートさせていました。

 

その数ヶ月、自分ではどうにもできない苦しさから抜け出そうと、ただただ、彼のことを忘れようとしていました。

結果として、私はその後、彼に会いにいくことはなく、彼の消息を調べることもありませんでした。

 

はい、一生に一度の大恋愛の告白、終わり(笑)

 

そして、私が今思うこと。

 

娘が道を間違わないように、娘を傷つけないように、一途な愛情から行動した両親。

彼のことが大好きで、ただ彼と一緒にいることしか考えられなかった自分。

両親の想いと私の想いを知って尚、葛藤の中で、私の選択を受け入れてくれた彼。

 

いったいどこに、悪者がいたのでしょうか。

蓋をあければ、そこには誰も悪者なんていなかったのです。

 

それぞれが、相手のこと想い、ベストだと選んだ選択が、お互いを傷つけてしまった。

決してハッピーエンドではなかったけれど、私は彼と出逢ったことを後悔していないし、その後、この件をきっかけに両親との間で様々な葛藤を経験したことも、今の私には必要なことだったと感じています。

 

両親、特に母との葛藤は、この事件を機に火山の噴火のように噴き出すことになります。

 

今思えば、そもそも私と母には相容れない価値観があり、それがこの事件をきっかけに、露見した、ということだと思っています。

 

ちなみに、母とは今、いろいろなことを経て、とても平和で落ち着いた関係になっていると思います(笑)

 

そこに至るまでの経緯は、またいつか。

 

あなたにとって、一番の悪者は誰ですか?