赤ちゃんが流れ出る。 | 溺れるワカメ

溺れるワカメ

普段のこと。
なんとなく思ったこととか、そんな感じだと思います。

 1か月前に初めて妊娠した。

今年30歳。結婚4年目。婦人科に通って1年。 「やっと。いらっしゃい」・・・これが感想。


 妊娠9週目。

そろそろ心音が聞けて、小さい赤ちゃんがドクン・ドクンと動き始めるころ。

・・・・・茶色のおりものと一緒に鮮血の出血。 血の気が引いた。 本当に顔から熱が引くのを感じた。


 急いで婦人科に行くと、

「前の健診から12日経ったのに1㎜も成長していないのは異常なこと。流産の可能性が高い。」

お医者さんの口ぶりは、ほぼ100%流産。というような雰囲気。


 涙がこみ上げてきて止められなかった。

おえつを抑えるのでやっとだった。


 家に帰り、泣いた。1時間くらい。1人で。

でも、その後は頭が冷静になって「母親に連絡しないと。」 とか、

「あと2時間くらいで旦那さんを空港まで迎えにいかないと。」 だとかを考えていた。


 母にメールをすると、電話がかかってきて今まで聞いたことのない深刻な声で 「大丈夫?」

その声を聞いたら泣けてきて声が出なくなって、鼻で「うん」と言うのがやっと。

前向きな言葉と、自分の体を大事にしなさい。と言ってくれた。 やっぱり親の存在は偉大だ。


 旦那さんを空港まで迎えに行く車の中で、どう伝えようか考えたが、頭と心がごちゃごちゃで、

何の整理もつかず、腫れぼったい顔のままで空港に着いてしまった。


 ほろ酔いの旦那さんを乗せて、帰り道。

旦那さんの膝に手を置いて「赤ちゃん、アカンかった。」

・・私は関西出身ではない。旦那さんとふざけて関西弁風に話すことがあるだけだ。

「流産」という言葉が言えなかったから、ごまかした。


 驚いた顔の旦那さんに、今日の事を話した。


「そっか。」





 少し無言が続き、旦那さんはスマホをいじり始めた。

またゲームでもしているかと思いきや、「流産」を検索していたらしい。


 「ごめん」 心からそう思って伝えた。

「ツマが悪いんじゃない。そういうタイミングだっただけ。」 間髪入れずにキッパリ言ってくれた。


 その後は、夕飯をスーパーのお惣菜で済ませ、普段と変わらない光景。

旦那さんは泣きもせず、1回も”残念”とか言わないでくれた。感情を表に出さなかった。

冷たいと思われるかもしれないが、一番の優しさだと私は思う。


 旦那さんに泣きながら「残念だったね」とか言われちゃうと、

その気持ちが重荷になってしまいそうだったから。

自分の気持ちを持つだけ、いっぱいいっぱいだったんだから。


 その夜、普段は別々の布団で寝ているが一緒の布団で寝た。

普段の旦那さんなら絶対やらないが、優しく抱きしめて頭と背中を撫でてくれた。



 次の日のお昼過ぎ、軽い腹痛と大量の出血と共に小さい内臓のようなモノが股から出てきた。

軽いパニックにはなったが、「これが流産か。」と思ったら落ち着いた。

 婦人科に電話をして、出てきたモノも持って受診する。


 やっぱり流産だった。


 出てきたモノは”胎のう”という赤ちゃんが入っていた袋らしい。

お医者さんは悲しげな顔で説明をしてくれた。 この時は涙もなく、受け入れていた。


 その日の夜、テレビで「奥さんの幸せ度」をテーマにやっていた。

「私は幸せだよ~!」と冗談ぽく言うと、「俺もそう思う。」と笑顔で言ってくれた。

はぁ~・・・本当に幸せだ。と思わされました。


 それから3日後、流産手術を受けて無事に終了。

体調もいたって良好。 妊娠できることがわかっただけ良かった。


 最近は流産する人が多いらしいが、何処か他人事に思っていたことを反省。

大好きな人が隣にいることが、本当に心強くて安心できること。


 なんだか色んなことを考えるきっかけになりました。