地主さんとは仲よく、すべて半分こになりました(笑)。

 

 道路拡幅工事を進める市による土地買収。いきなり交代となったシン・代理人不動産が来たのは今月11日でした。前代理人から概略は聞かされていたものの、この日が地主さんの正式回答になります。到着前には仏壇の前で正座し、両親と祖父母、ご先祖様に挨拶と感謝。これはいつものことですけど、この日はお願いも少々加えました(笑)。

 

 道路際2軒分の借地の取り分は考えていたとおり、折半の提案を受けました。

 問題は残地分です。市は今後の土地の価値目減りを鑑み、相応の価格を提示しています。私たちが立ち退く場合、家を取り壊せば取得権は地主さんのみになると考えられます。市の職員さんもその点は指摘してくれて、心配はその1点に尽きる感じでした。

 こちらも市場に近い高値で計算がなされ、取り分は双方50%ずつと申し受けたのです。

 

 文句ありません。納得です。

 地主さんに感謝の念が湧きました。

 

 不動産屋さんとの話し合いは和やかに終わりました。

 借りたものはいつか必ず返す。人の道理だと思います。今回の件は地主さんではなく、市が執行しているものです。そう頭で理解できても僕にはやはりこの土地と家への心残りのような感情があります。

 悲しみ・ほんのちょっとの不安や憤り……。ここに生まれ、育まれ、幸せな時間を重ねた土地と家から、悪く言えば追い出されるのです。妻や子どもにこの感情はないようです。この話が持ち上がって以来、ずっと感じてきた感情がさらに強まったと言えばいいのでしょうか。

 もちろん、だれにもどこに対しても悪感情はありません。

 でも、それでも……です。現代社会を生きる大人にとって、こんなときの解決法はシンプルにお金しかないようでした(笑)。

 

 僕は推敲に推敲を重ね1週間かけて気持ちを文章にまとめ、不動産屋さんにメールを送りました。

 すぐに再訪したいと返事が届き、初めて妻抜きで話し合いの席に着きました。不動産屋さんはやや当惑しているようでした。まずは面倒な仕事を増やしてしまったことをお詫びすると、相手の口から出てきたのは過去・現在のメチャクチャ込み入った案件の数々でした(苦笑)。男2人の話し合いはざっくばらんに進み、僕の提案は、

 「地主さんに話してみましょう。楽しみにしていてください」

 と笑顔で受け入れられました。

 

 必ずもらえるものとも、いくら欲しいとも考えていません。

 わがまま、理不尽を言っているのは承知していますし、伝える前は心苦しさもかなりありました。ただ去っていく人間の気持ちを少しだけ含んでほしい、その気持ちをカタチにしてほしい。

 もっとぶっちゃけて言えば、もらえるものはもらいたい! ですかね(笑)。

 お互い角を立てることなく、さらに気持ち良くこの件を終わらせましょうという願いだけが僕にあります。

 何事も相手に言わなければ伝わりません。地主さんへの感謝と、この土地と家が大好きで想い出がたっぷりあることをメインに、心をふんだんに込めた文章で伝えました。

 

 気持ちをストレートに吐き出し、今は悔いも残っていません。

 スッキリした心持ちで来年のNEXTへ!

 

 ふんわり静かに・・・。