僕の大事な仲間、リチャード | ファンルーツの "Football + One"

僕の大事な仲間、リチャード

ボーンマスのリチャード。僕にとって忘れられない仲間の1人です。


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リチャードとの出会いは、彼は僕のホームステイ先の1人息子で、半年にわたり、彼と一緒に生活をしました。この彼との出会いこそ、僕の人生の転機となったことは間違いありません。


リチャードはダウン症を煩っており、精神的にも非常に敏感な青年でした。その彼にどう接していいのか・・・正直悩んだこともあります。しかし、ある日、彼がアーセナルの猛烈なサポーターだということを聞き、そこから彼とのコミュニケーションが弾むようになり、距離が近くなったのです。


プレミアリーグの試合があると、毎試合、彼と一緒にアーセナルの旗を持ち、家の中で応援をしたものです。ゴールが入ったとき、リチャードは毎回、でんぐり返しやら、ジャンプやら、喜びを全身で表現をし、パフォーマンスをしていたので、僕も一緒になって騒いだ思い出があります(笑)。


そのときのドンちゃん騒ぎは、けっこう派手なもので、実は今でも内緒にしているのですが、アーセナルがゴールをしたとき、リチャードが喜びのあまり、近くにおいてあるボールを思いっきり蹴り、見事に家の主の陶器でできている灰皿に命中をしてしまったのです。結局、灰皿の一部が欠けてしまったので、2人で接着剤などで必死に直し、2人だけの秘密にしておきました(笑)。


こうしていくうちに、彼との仲が急速に深まり、リチャードのお母さんにも「こんなに仲良くなったのはあなただけよ。ありがとう。」と感謝してくれたのです。


でも、僕の方が感謝したい。僕にとって彼との出会いこそ、人生最大の転機になったのかもしれません。サッカーというスポーツがなかったら、リチャードとの仲もここまで親密になることはなかったと思います。


サッカーというスポーツは、プロ選手になるのもひとつの選択肢ですが、それだけでなく、いろいろな力があることを忘れてはならないですね。