いろいろあって、ようやく更新ができるようになりました。

 やっと、ネット環境が整ったので、再スタートができます。

 

 この本は、2017年の本屋大賞と直木賞のW受賞をした恩田陸さんの本です。

 

   僕は道を歩いている。
   一人で道を歩いている。細い道だ。他には誰も歩いていない。
   辺りはとても静かだ、不吉な感じがするほどに。
   田舎の、だだっぴろい田んぼの中の道だ。(P,6 1行目)

 

 最初の言葉選びで、手に取りました。

 とても詩的な表現。とても好きな表現です。

 

  ドアを閉めた瞬間、自分がそれまで所有していた生活空間はよそよそしいものとなり、主を失った部屋は遺跡となって 埃が積もり始める。(P,10 10行目)

 

  思い出したようにぱらぱらと雨が降ってくる。
  世界は薄暗く、不穏な気配に満ちていた。(p,82 13行目)

 

前半は、とても響きのいい言葉が地の文にちりばめられています。

情景描写も細かくされていて、まるで自分も奈良にいるような気分になります。

 

しかし、物語の後半は人の思いがちりばめられていて、とても共感するところが多くなってきます。

 

  田舎暮らしに憧れる人は多いが、失敗した人の話もよく聞く。結局は、「今の日常」から逃げ出したいだけなのだ。田舎に行っても、新たな日常があるに過ぎない。居場所を変えただけで自分を変えられると思うほど、我々は楽観的な人間ではないらしい。(p,185 7行目)

 

ほんとうに、私たちは現金なもので、日常から脱出すれば新しい生活があるのではないかと錯覚します。確かに場所が変わることで、行動が変わるきっかけはあるかもしれませんが、

結局、自分は自分。変わろうとしなければ、場所が変わっても何も変わらないですね。

まして、人が人と関わらないで生きていくことは、ほぼ不可能だと思います。

 

 最後まで読んで、本当に奈良に行きたくなりました。

 この本をもって、ゆっくり寺社巡りができたらとても素敵でしょう。

 そう思ったところで、この本を以前読んだことがあることを思い出しました。

 

 たしか、10年以上前のこと。

 そのときも、同じことを思ったことをはっきりと覚えています。

 

けれど、その時はもっとこの本との出会いがわくわくしたものだったと思います。

 

今度は、奈良に行った後に読み返してみようかな。