今朝の朝刊から

新聞に連載されている「銀座の仕立て屋さん」の文章を、毎日曜日楽しみに読んでいます。

仕立て屋さんにとっては、仮縫いの時がもっとも緊張する場面だそうです。私たちの、振付が

終わって、舞台も間近に迫った時期に、先生方お揃いのリハーサル、と言ったところでしょうか。

銀座のオーダー紳士服のお客様となれば、かなりセレブな方なわけで、こだわりや注文も超一流と

なるのでしょう。ある日のお客様は、一ミリ単位でクレームを付け、仮縫いが夜まで長引いたそうです。

「どこまでやったら終わるのだろう」と思ったそうです。心でそう思うと、必ず顔に出るものです。

その紳士は、（建築家さんです）「一階で一ミリ違ったら高層ビルの最上階でどの位の誤差になると

思う？」と言われてしまったそうです。

他人から厳しい言葉や、その一瞬はイヤなヤツと思うようなことを言われた時、どう受け止めるかが

その人の器でしょうか。もちろんその仕立て屋さんは今現在も銀座で商売をされています。その建築家

さんの言葉に反省をして、さらに仕立て屋のプロとして道を究めていったのだと思います。

私たちにとっても、なかなかこちらの思いどおりに動いてくれない生徒、集中できない生徒、振りを

覚えられない生徒、言ってみれば優等生じゃない生徒が、私たちを育ててくれます。伝える努力や

工夫をするからです。バレエが好きという気持ちを持って集まってくれた生徒たちのために、銀座の

仕立て屋さんに負けないよう、全身全霊で力を尽くしたいと思ってます。