ジェフ・ベック・グループの第二期メンバーによる二枚目が、メンフィスのTMIスタジオで録音されています。
プロデュースが、ブッカーT&MG’sのギターリスト、スティーブ・クロッパー。
このアルバム、私が初めて聴いたのは、多分ワイアードが出た頃だと思います。
ベックの作品の中でも、「ラフ・アンド・レディ」、「ブロー・バイ・ブロー」、「ワイアード」、最近の「ジェフ」などと並び、私の愛聴盤の一枚です。
他のイギリス勢が、こぞって南部詣でを始める73年辺りより、少し前の71年録音です。
第二期メンバーは、下記の通り。
ジェフ・ベック: ギター、ベース
マックス・ミドルトン: ピアノ、キーボード
コージー・パウエル: ドラムス
クライヴ・チャーマン: ベース
ボブ・テンチ: ヴォーカル、ギター
その後、ハミングバードを結成する、ミドルトン、チャーマン、テンチの音楽嗜好が大きく影響されている作品だと思います。
コージーパウエルは、その後ハードロック界の花形ドラマーとして大活躍するのですが、私は、この頃が一番好きです。
この作品の頃は、ベースのチャーマンと一緒に、ドノヴァンのレコーディングにも参加してたりと、意外なところでクレジットを見たりします。
ベックの作品の中では圧倒的に黒人色が強い作品ですが、バンドのメンバーも全てイギリス勢ですし、
プロデューサーとしてのクロッパーは、あまり自分のカラーを押し付けるほうでは無いと思います。
(よく知れた作品には、コールドブラッド、ネッド・ドヒニーなどがあります。)
イギリスにも有能なプロデューサーは沢山いると思うのですが、何でわざわざ南部録音にしたのか、
彼が意図した事はなんだったのか、私の想像による再現ドラマを交えて、この機会に考えて見たいと思います。
「兄貴、俺達のバンドも遂に二作目ですね!しかもアメリカ録音なんて、さすがビッグですぜ!
でも、なんでロスとかNYじゃなくて、メンフィスなんて田舎にしたんですか?」
「おい、コージー。口には気をつけろよ。俺達のバンドじゃねんだよ。俺様のバンドなんだよ。
前作は、イマイチ、アメリカで売れなかったからよ。俺なりに何がまずかったか考えた訳だ。
まず、ジャケデザインが、いけねえな。あれじゃテロリストの手配写真みたいだ。
それで今回は、もっと明るくしてよ、お洒落にアメリカ人が好きなオレンジをあしらってみたんだ。
あと、アメリカ人ってボブ・ディランとかモータウンが好きだろ、だからよ何曲かアメリカの曲もいれつつ、
ソウルの本場で超一流のギターリストのスティーブ・ゲロッパ大先生に来てもらい、俺様流ソウルミュージックを極めようと考えた訳だ!
まー、それによ、これは、ついでの話だがよ、この辺はオールドのアメ車の状態のいいのや、カスタムパーツが安く売ってんだよ。
ロス辺りのは高い割りに、シャーシが塩でやられちまってるから状態が悪いんだ。機材運搬用に申告すれば経費で落ちるしよ、コルベットでも、2~3台買ってくかな。 まあ、これは、ついでの話だがな・・」
「さすが兄貴!なるほど、それでメンフィスですか。結局、本音はやっぱり自動車なんですね。俺も何か欲しいすね。
しかし前作のレコーディングは痛快でしたね~。あの、ボーカルのテンチとかいう野郎が、歌ごときで兄貴より目立とうとするもんだから、兄貴のトリッキーな爆音プレイをガンガンかまして、ねじ伏せるとこなんざ最高でしたぜ。勉強させてもらいました!」
「まあ、こっちも、ついついエキサイトしちまって、せっかく俺様の名曲が、だいぶイビツになっちまったが、それぐらいやんなきゃ示しがつかねえからな。」
「さすが兄貴。歌伴の鏡ですぜ! 今回もあのテンチとか言う野郎を呼んだんですか?」
「おう、ロッドは最近、随分稼いでるみたいで気にいらねえしよ。そこそこ歌えりゃ誰でもいいんだ。」
「そうなんですよね。あいつは誰のお陰で売れたんだか判ってないですよ。俺もねl、兄貴見習って、二周りでかいバスドラ二つ持って来たんですよ! テンチの野郎がでしゃばって来たら、このツインバスドラ攻撃で、ボコボコしてやりますぜ。」
「おいおいコージー、俺は今回グッと渋く迫ろうと思ってるんだ。
ジミーやロッドが、俺様の猿真似みたいなバンドこさえて、しこたま稼いでるだろ、あんなのはもう古臭いんだよ。
大音量でブルースやるなんざ、もう時代遅れ。これからはな、いぶし銀のようなバンドのアンサンブルなんだよ。」
「アンサンブルですか・・そんな事したら、俺なんかドラムは、一番後ろで、全然目立たないじゃないですか。
まさか、兄貴も、最近のエリック先輩みたいに、太陽燦々のマイアミ辺りで、短髪で暢気にギター弾いちゃうんですか・・」
「バカ野郎~!誰があんな、気の抜けたブルースなんか、やるかよ!
あいつ、クスリが抜けたら、気まで抜けやがって、な~にがレイドバックだっつんだよ。
しかし、俺のバンドでキーボード弾いてる、オーバーオール穿いた丸っこい奴、マリオって名前だったかな?
最初、なんか、変なトッちゃん坊やみたいなのが来たなと思ってたが、ナカナカ洒落た演奏する奴だな。」
「兄貴、マリオじゃなくて、マックスですぜ。 俺的はあのヒゲ面と髪型は許せないですぜ、やっぱり男はザンバラのセミロングに、ギラついたワルの目つきだと思いますよ。」
「おう、判ってるじゃねえか!今日は、セッションの初っ端だからよ。ちょっと新曲作ってきたんだよ。
タイトルはそうだな~エリックの野郎が、クリームで美味い事やりやがったから、こっちはもっと豪華にアイス・クリーム・ケ-キにでもするかな。」
「お~さすが兄貴やる気満々ですね。凄いですぜ、アイスにケーキまで付いちゃうんですか~。
こりゃ俺もベイカー先輩見習って、ドカスカドカスカのインデアン太鼓みたに叩きまくりますぜ~。」
「あー、ベックさん、お待たせしました。プロデューサーのスティーブ・クロッパーです。わざわざ遠いところ有難うございます。宜しくお願いしますね~」
「おい、そいつは舎弟のコージーだよ。ジェフ・ベックは俺。間違えるなよゲロッパ先生。」
「あれーそうですか、失礼しましました。同じ顔してるから判らなかったよ。ワハハハ・・・
もう、後の三人は中でスタンバっちゃってるから、早速、始めましょうか。あっそれとね、細かい事だけど、クロッパーですからね。」
「は~い、プロデューサーのクロッパーです。じゃあ、一曲目いってみよか~はい、スタート」
ドンドンダン~ドダダダダダ、チー、
ブブンガブブブ~ン~、
ウチャッチャ チャララ~ン
ウ~ン、ア~イス クリーン ケーキ~、ラリパッパだぜ~ベイビ~
ア~ン 君のお口は、とっても新鮮、イチゴ味~
ブブ~!
「チョットチョット、止め、止め、なんか、すっごい歌詞だね。すごいの作っちゃったね。南部育ちのオジサンびっくりしちゃったよ。これでいいの?歌詞これでいいの?なんか曲調と合ってなくない??」
「いいんだよ。アメリカ人は甘いもんが好きなんだろ。だから今回はフルーツ&スィートでせまるからよ。
他にも、シュガーケイン(さとうきび)とか、もろスイーツな詩も作ってる最中だしよ。」
「あ~それなら知ってるよ!、ざわわ~ざわわっ~てのでしょ!ありゃ泣けるよね~」
「ちげーよ、全然チゲーからよ、ザワザワ一切しないからよ。もっとファンキーに行くんだよ今回は!
頼むぜケロンパ先生よ。」
ドドドドド~
ウ~ン、俺は、もうニャンニャンしたくてたまらな~い~
ジャン ジャン ジャン ジャン ジャラ ジャラジャラジャラ
ドカスカドカスカドダダダダダダ~
ギュワ~ンギュルギュルギュルギョ~ヲ~ン、ギャ~ン
俺のハートはムラムラだぜ~!!!、・・
ドカスカドダダダダダダ~
ギュワンギュワギャワッワアw~
ブブ~
「チョットチョット、止め、止め、ギターとドラム、音でかすぎじゃない?テンチ君も、訳の判んない歌詞、青筋立てて叫んじゃってるし気の毒でしょ~。
そんな音出したら機材も壊れちゃうしさ、同じ顔したのが二人で、そんな暴れてたら怖いよね。
ほら、テンチ君も怯えてるしさ・・・
なに、これってイジメ?新手の恥辱プレイか何か?
僕もさ独立したばっかりだしさ、いいレコード作りたい訳よ。みんなも折角メンフィスまで来たんだから、楽しくやろうよ。」
「コージー!お前がドカドカ喧しいから、こっちも音がデカクなるんだよ!今回はアンサンブルなんだよ、わきまえろってんだ。」
「判りました!すみませんです。ついつい熱くなっちまって気をつけます。」
「そう、そう、仲良くやろうよ、いいレコード作ろうよ、ベックちゃんも、ミリオン出したくな?プラチナ出したくない?
古巣の仲間が、み~んな売れちゃって、焦る気持ちもわかるけどさ~。みんなで仲良くやってさ、ヒットチャートで一位取っちゃおうよ。自家用ジェットで世界ツアーしちゃおうよ。ね~
ハイ、じゃもう一回、いきますよ~」
ジャジャジャジャジャ~ン
ドカスカドカスカドドドドッド~
ギョワ~ン!!!!!
バツ!
「あれ、ヒューズ飛んじゃったよ・・・真っ暗だよ・・・」
「やかまし~!てめーの太鼓が、ウルサイから、ヒューズ落ちちまったじゃねえかよ!」
ゴボ!
「痛て~!!!ひで~兄貴!今、暗闇に乗じてギターで、俺の手を叩きつけたでしょ??痛て~よ。痛て~よ。これじゃ片手使えないよ~」
「知らね~よ!階段からでも落ちたんだろ。だいたい、おめーは元気すぎるんだよ!それくらいで、丁度いいんじゃないの?」
「お~やっと電気点いたよ。」
「あれ~コージーちゃんどうしたの?なんか手の指が、何本かプラプラしてるけど・・・・」
「痛て~よ。イギリス帰りたいよ~」
このお話は、管理人による、まったくのフィクションであります。
実際は、お二人は当時、兄弟のように仲が良かったそうです。
最近、第二期ジェフベックグループの、トンでもお宝映像が、YOUTUBEに、沢山アップされています。
ベックファンは、必見ですよ!
http://www.youtube.com/watch?v=vb5GagBpA5s&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=s5ID15mv0gA&feature=related
ビートクラブの収録時の映像だと思いますが、今まで,確か一曲しか発表されていなかったと思いますが、実際は、これほど収録されていたとは知りませんでした。
素晴らしい演奏といい、クリアーな画質といい、かなりの衝撃映像です。
という事は、他のバンドのビートクラブの収録も、まだまだ未発表映像があるのですかね・・・気になります。