アイリッシュトラッドの傑作 ドロレス・ケーン&ジョン・フォークナー | ♡お気楽ブログのロックとソウルと歌謡曲♡

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久しぶりに、アイルランド関係です。


アイリッシュトラッドの代表的女性歌手の、ドロレス・ケーンと夫 のジョン・フォークナーの1979年の作品「Broken Hearted I'll Wander」は、歌物アイリッシュトラッドの中でも、特に好きな作品です。
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デ・ダナンのシンガーとして、10代でデビューしたドロレス・ケーンは、子供の頃より、トラッドの世界を身近に育ってってきた女性で、このアルバムでも、まだ20代だったと思いますが、その歌はすでに風格と気品に溢れています。
彼女の歌は、よく「大地の歌声」のような形容がされますが、音域は、どちらかというとメゾソプラノの暗めで落ち着いた感じです。
この音域の歌で、最も魅力を左右するのは、技巧ではなく持って生まれた声質だといわれています。


彼女は、その声質が素晴らしく、トラッドソングにより深い魅力を与えていて、多くのアイリッシュトラッド・ファンから、今だ彼女を越える、歌手は存在しないとまで言われる所以です。

夫のジョン・フォークナーは、イングランドの出身で、以前よりブリティッシュトラッドを研究してきた、どちらかというと学者肌のシンガーです。この作品のプロデュースも彼自身です。

彼の歌は、ドロレスと比較してしまうと、ごくごく平凡な出来ではありますが素朴な味わいがあります。
しかし、それ以上に、アイルランドの伝統に拘らない選曲や編曲がすばらしく、
フルートやフィドル、彼の弾くブズーキなどドロレスの歌を最大限生かすような演奏も含め、
単調になりがちなトラッドのレコードですが、まったく飽きさせる事無く聴けてしまいます。

安価なUS盤が出ているようなので、入手は問題ないと思いますが、
日本盤のCDには、このアルバムの選曲について茂木健氏が素晴らしい解説をされているので、それを読んでもらえると、このアルバムのジャケの写真の古びたアンティーク人形の意味が見えてきます。
しかし、現在この日本盤の入手は難しいかもしれません。

簡単に解説から、無断引用してしまうと、このアルバムの選曲は、戦争にまつわるバラッドが中心になっていて、それ以外にも男に裏切られる女性の歌など、「不実な愛と戦争」がテーマの歌物語になっています。ジョンは、その物語の語り部となり、ドロレスは男を奪われていく悲痛な悲しみを歌にのせていきます。

アルバムはジョンの「打ちひしがれた心のまま私はさまよう・・・打ちひしがれた心のまま私は取り残される・・」という悲しいリフレインの曲で幕を閉じます。



歌物のアイリッシュトラッドを、まずは一枚というのでしたら、真っ先にお勧めしたい作品です。



本来は、一曲目から曲順にそって聴いてほしい作品です。
曲の流れが素晴らしいです。