運命って信じる?ってか! | ファンキー・中村の“おっかねえかも知んない”話

運命って信じる?ってか!

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信じたくないな。

ハッキリ言って。

ハナから敷かれた線路の上を歩いてるなんて、

考えただけでも鳥肌がスタンダップだ。

第一、それって“誰が敷いたんだよ!”って話だ。

神様?仏様??それとも隣のおっさん??

いずれにせよ、自分の歩くべき道はあくまでも“自分で”開いていきたい!

そう感じているのは中村だけではないだろう。





しかしだ。

実際には、そういうモノを感じずにはいられない!って場面に遭遇する事があるんだな。





今から8年ほど前。

中村は一人渡米し、ルート66をシカゴ目指して車を走らせていた。

ロスのロングビーチを出発して暫く走り、アリゾナ州のクロンクトンロード(旧道)に入った時だった。

友人から借りていた車(’99 Chevy Tahoe)がプスプス言い出したんだ。

「おいおいおい~!こんなとこでなんだよ!」

結果的に車は路肩で止まってしまい、ニッチモサッチモいかない状況。

ボンネットを開けてみるが、なんだかふにゃけたこんぴーたーが一杯詰まっていて、

何が何やらわかりゃしねえ。

「だぁから車はソリッドが一番なんだよ!!バカやロー!」

わけのわからんことを口走りながら、路肩に座り込んでビールを飲んでいた。

滅多に車も通らない場所でのエンコは、実際には命にかかわる場合も少なくは無い。

そんな時だった。

ふと右手を見ると、反対のシカゴ方面から一台のバンが近づいてくるのが見えた。

手でも振って停まってもらおうかとも考えたが、ついでに『Holdup!』じゃ洒落にならん。

それとなく行き過ごそうと思っていたら、向こうの方からこちらの異常に気付いた様子。

What was wrong? What car breakdown?

変に訛りのある英語に振り返ると、なんと日本人ではないか!

「おお!日本の方・・・ですよね?」

「そうです。こんな所で・・・なんとも奇遇ですね。」

「いえ・・・実を言うと道に迷ってまして(笑)。はじめまして!河西と申します。」

「ああ、私は中村です。なんだか・・・ホッとしましたよ(笑)」

「まったくです。」

そういうと、真っ黒に日焼けした顔をくしゃくしゃにして笑った。

なんでもこの河西さん、昔から憧れだったルート66の旧道を走るためだけに、渡米してきたのだと言う。

「どうしたんです?故障ですか?」

「いやそれが、全く持って原因不明なんです。コーションランプも何も点かずに、
イキナリエンジンがストールしましてね。何なんだろう?」

「どのくらいの時間こうしてます?」

「いや、今さっきのことです。経ってるといっても・・・10分くらいでしょうか。」

「ちょっといいですか。」

そういうなり中村の車のドアを開け、スターターを回す。

キュルルルルルルルルッ!・・・ガオンッ!

「うわっ!掛かったよぉ!」

「わはは!良かったですね!掛かった掛かった!」

まるで昔からの友達同士のように喜び合い、近くにあった小さなDinerで一緒に昼食をとることになった。

「河西さんはこの後どちらまで行かれるんです?」

「実は、ロスに入ったらロングビーチで一泊して、もう一度シカゴへ戻ります。」

「おお、凄いですね!この道を往復するわけですね!」

「そうです。私の・・・子供の頃からの夢でした。家には家族が待っててくれるんですが、
『酒もタバコもギャンブルもやらない俺の我侭を聞いてくれ!』ってすがり付いて頼みました(笑)」

「そりゃ逆に男らしい!」

「あはは、そ、そうですか?なんか嬉しいなぁ。あ・・・そうだ。」

「なんです?」

「一つお願いしてもいいですかね?」

「ええ、何でもおっしゃってください。」

「中村さんは確か、二日後にシカゴから飛行機で帰国されるんですよね?」

「ええ、そのつもりです。車はシカゴのパーキングに入れて、後日友人が取りに行ってくれると。」

「実は、僕は〇〇県のT市に住んでるんですが・・・」

「ええっ!!本当ですか!?僕はその隣町ですよ!」

これはもはや神懸り的な巡合わせとしか考えられない!・・・そう思った。

「いやあ、じゃあかえってお願いし安いかな。これを・・・現地のコンビニかなんかから、
宅配便で僕の家へ送って欲しいんです。お互い帰国は数日しか違わないのですが・・・」

そういって河西さんは、自分の車の中から15㎝四方の包みを持ってきた。

「なんですこれ?」

「あはは、妖しい物なんか入ってません。こちらで買った、ただの駄菓子です。子供に・・・」

「それならば、こっちの消印があった方がお子さんも喜ぶんじゃないですか?」

「初対面の方にこんな話は恥ずかしいのですが、実は・・・予算がギリギリなんです。
当初こんなに掛かるとは思っても見なくて。食べ物さえ削ってる有様でして・・・すんません。」

『少しお貸ししましょうか?』というのが、喉元まで出掛かっていたがそこはぐっと堪えた。

「わかりました。じゃあ、いっその事僕が直接お宅まで届けますよ。」

「いやあ、それは願ってもないです!本当にいいんですか?」

「もちろんです。これもご縁ですから、ここで約束しますよ。」

そう言って荷物を預かり、硬い握手を交わした後、お互いに行くべき方角目指して旅路に着いた。


三日後。

帰国した中村は、河西さんに教えてもらった住所のメモを片手に、T市に来ていた。

「ええ・・・と。東〇〇町2の・・・と、この辺だな。」

ナビ付きの国産車で来ればよかった。

「ああ、多分あの辺の新しい家だな。」

表札を見ると、そこには[河西]の文字が。

その下に据え付けられたインターホンを鳴らす。

「は~い!」

「中村と申しますが、先日旦那様より荷物を・・・」

「ああ!はいはいはい!伺っておりますぅ。」

屋内をパタパタと駆ける音がして、すぐに玄関のドアが開いた。

「すみません!うちの人がご迷惑をお掛け・・・え!!・・・中村くん??」

「うはっ!!もしかして!絵里ちゃんか!?」


心臓が止まるかと・・・とはこの事だ。

愛想よく出てきたこの奥さん、なんと実は中村のモトカノ。

それも、中学1年生の頃付き合ってた女性だ。

「旦那に会ったんでしょ!?あの人も何で言ってくれないかな!」

「そんな事判るわけ無いだろ(笑)」

「な~に言ってんのよ!もしかしてお互い気付かなかったの!?嘘でしょ?」

「嘘も何も・・・な、なに??気付かなかったってなんだよ?」

「か~さ~い~よ!あの河西!!あんたH中学乗り込んでいって乱闘事件起こしたじゃないの!
その時の相手の河西だってば!」

「うわーーーーーーーーーーーーーっ!!」




これを“運命”と言わずして、何と言おう。