続き


私はトモダチイナイと訴える浅黒い裸の大将ファッションの男の話に耳を傾けていた。


気を良くしてくれた様子の大将は背負ってたリュックを膝に乗せ、抱えるようにしてチャックを開けた。

何をするのかと横目で見ていたら、ペットボトルのキャップが見えたので『喉が渇いたんだなぁ』と思い、ノンストップサビシイから解放され暫しの静寂に私は安堵の溜息を吐こうとした。

その時、視界の端でキャップが出、ボトル部分が出てきたところで何かがおかしい事に気付いた。


隣で得意気に取り出されようとしたペットボトルがデカかった・・・勝手に500mlだと決め付けていた私は度肝を抜かれた。

中身が7割位になっている2リットルのボトルを笑顔で取り出し、生茶をジャボンジャボンと音を立てて飲む大将。

『大将、デケーよ!』私は心で呟くしかなかった。

静かな車両に響くジャボングォオック音は疲れきった乗客も一度顔を上げコチラを見るほどだった。

激しい喉越しに波打つ生茶、私も釘付けだ。

我に返ってちょっとつーか、かなり恥ずかしくなってきたので素知らぬ振りをした・・・しかし大将はそれを許してくれなかった。


「ノミマスカ?」

目の前に未だ荒波の名残を見せるボトルが差し出された。


「いや、今喉渇いてないんで・・・。」

私はやんわり断った。


「アゲマス!」

どうやら持って帰れという事らしい・・・ずいずいとにじり寄るボトルを押し問答の末、何とか元の鞘に納めてもらった。


何だか凄く疲れてしまった、『後何駅だろう?大将は何処で降りるんだろう?』そんなことを考え始めていた。