【あらすじ】

昭和37年。瀬戸内海に面した広島県備後市、運送業で働くヤス(阿部寛)は、自分には勿体ないと思う程の愛妻・美佐子(麻生久美子)がおり、夫婦で過ごすことを何よりの喜びと考えていた。

そんな愛妻との間に、ついにお子が…。その妊娠に喜ぶヤス。幼いころに両親と離別したヤスにとって息子・アキラの誕生や、自分の家庭を築くことはこの上ない幸せだった。周囲は「とんびが鷹を生んだ」と騒ぎ立てるが、ある出来事で美佐子は事故死してしまう。

悲しみのどん底の中、姉貴分のたえ子(薬師丸ひろ子)や幼なじみの照雲(安田顕)、和尚の海雲(麿赤兒)などの協力もあり、アキラを男手一つで育てるヤス。父子2人の生活が始まるものの、親の愛を知らぬまま父になったヤスは不器用にも息子を愛し育て続ける。

そんな中、少年になったアキラが母の死の真相を知りたがっていることを知り、悩み抜いた末、ヤスは大きな嘘をついてしまう。

 

【見どころ】

舞台は、昭和の真っ只中、日本経済が活気に満ち溢れていたシーンも多々あることで、名作、オールウェイズ三丁目の夕日、を思い出す人も多いかも…。しかし本作は、昭和という時代を象徴した話ではなく、妻を亡くした武骨な男が、不器用ながらも愛情いっぱいに息子を育てていく姿や、それを取り巻く周囲のご近所さんの武骨男との関わり方に注目してみて欲しい。又、息子のアキラの父への接し方や考え方も推移も是非頭に置いてみて欲しい。

 

【評価】★★★☆☆星3.8

ご近所さん協力の元、男手一つで子供を育てていく物語は数多く存在し、ストーリーに目新しさはないものの、父と息子という、独特の空気感や男同志だからこそわかる親子愛には、唯一無二のものを感じた。アキラの成長後の父への接し方には特に注視してほしい。

泣き所も数か所あったものの、結果的に、涙は零れなかった。(あなたはどうかわかりませんが…)その理由を考えながら見て欲しい作品。涙が零れなかったので、辛口評価で星3.8(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

【あらすじ】

ベルファストに暮らす9歳の少年バディ(ジュード・ヒル)は、父が大工で、月に何週間も家を空ける中、家族と友人たちに囲まれ、映画や音楽を楽しむ日々を過ごしていた。しかし、1969年8月15日、プロテスタントの武装集団がカトリック住民への攻撃を開始し、彼の穏やかな日常は一変、悪夢へと変わってしまう。住民すべてが顔なじみで、(子供も)家族のように見守ってくれるベルファストは、これをきっかけに分断されてしまい、暴力の続く不安定な日々の中、バディと家族たちも故郷を離れ、父の元へ行くか否かの決断を迫られる。

 

 

【見どころ】

俳優・監督・演出家としても世界的に活躍するケネス・ブラナーの、自身の幼少期の体験を描いた自伝的作品。ブラナーの出身地である北アイルランド・ベルファストを舞台に、激動の時代を迎えたベルファストの様子や、その中で大人に成長していく少年の成長などを、モノクロの映像でつづった作品。

第46回トロント国際映画祭で最高賞の観客賞を受賞。第94回アカデミー賞でも作品賞、監督賞ほか計7部門にノミネートされ、脚本賞を受賞。

 

【評価】★★★☆☆星3.6

見どころでも書いた通り、アカデミーの前哨戦とも言えるトロント国際映画祭で最高賞の観客賞を受賞し、本番でもあったカデミー賞でも作品賞、監督賞ほか計7部門にノミネートされ、脚本賞を受賞したことで、鑑賞したが、正直、実体験であることを踏まえても、日本人には、なかなか馴染めない内容かもしれない。今まさに、ロシアとウクライナの戦争が話題となっているが、あそこほど、争点が明確でないのと、なぜ同じ町の人間同士が…というところに、歴史的背景がしっかり頭に入っていないと理解しずらいかも。

ただ、賞を狙うには必至の、国際問題には取り組んでいることで、数々の賞を受賞したことには頷ける。個人的には辛口評価の3.6でご容赦ください。