第二学生演目:ミュージカル
青春の向う脛」

ーーーーーーーーーーーーー
ヒロインは、とても貧乏でとっても夢見がちな少女。
お城で毎夜おこなわれている、すてきな舞踏会にあこがれている。
こっそり舞踏会を覗き見していた少女……そこで知る、衝撃の事実。
ここはお城ではなく処刑馬、紳淑女はみな罪人達。
彼らは踊りたくもないのに、永遠に踊り続けなくてはいけない
『罪』を受けているのだという――。

I憧れの舞踏会
歌:少女、王子(罪人)/メロディ「Swanee」

きんぴかのお城で 夜ごとくりかえす
紳士と淑女つどう あの舞踏会
ひるがえるドレスは 赤いサカナみたい
ホールを泳いでく 尾びれゆらして

「君 ここで何をしているんだい?」
王子様があらわれて わたしにいうのよ
「おや なんて美しいひとなんだ
覗き見なんてやめて 僕と踊りましょう」

……いけない つい妄想モードに
そんなの あるはずない奇跡

あぁ それでもやっぱり踊りたい
薄汚れたボロ靴をガラスのヒールに
ねぇ ターンはちょっと苦手だけど
ステップは得意よ
夢に見ている 目覚めてしょげる
あこがれの舞踏会

ー第2幕ーーーーーーーーーーーーー
舞踏会の真実を知り、動揺する少女。
しかし、家に帰れば身寄りもない寂しい一人暮らし。
孤独の中でじっと耐える生活。
やっぱり、あの舞踏会に参加したい。
たとえそれが、非道で非情な罰だったとしても……

I光のない部屋
歌:少女 コーラス:謎のダンサー/メロディ「Summertime」

くらい なにも見えない 電気とまったの
くらい 人生はくらい つまづくばかりの日々
くらい ならちょっとくらい 夢をみるくらい
くらい まやかしだった いいから踊ってみたい

ー第3幕ーーーーーーーーーーーーー
貧しいながらも真っ当に生きてきた少女は、
どんなことをすれば罪になり、罰を受けるのかがわからない。
そんな少女の周りに、わらわらと集まってくる悪い妖精たち。
「城下町に放火してまたらどうか」と、耳元でささやいた。

ルンルン燃えあがれ
歌:悪い妖精/メロディ「ダローガイ・ドリーンナィユ」

ポケット手をつっこみゃ マッチの箱ひとつ
そんな寒かないのに おまえは火をつけた

ゆれる炎 浮かびあがる 遠く甘い生活
ダンスお喋りドレスのフリル 明け方の恋遊び
燃えあがれよ燃きつくせよ ボボボボーボ ボボボボボー
ボボボボーボボ ボボボボーボボ
ボボボボーボボボボボボー

必要なのは罪 それもでかい罪だ
いっそ着火しちゃえ 怒りおもむくままに

ためらうなよ恐れるなよ その火放ってみろよ
瞳のなか 炎のあか おまえとっくにイカれてる
燃えあがれよ燃きつくせよ ボボボボーボ ボボボボボー
ボボボボーボボ ボボボボーボボ
ボボボボーボボボボボボー

ー第4幕ーーーーーーーーーーーーー
少女は街に火をはなった。
これで捕らえられ、罰を受けることになるはず……ところが。
とつぜんの炎に人々は大騒ぎで、犯人探しはあてずっぽう。
少女は「わたしが犯人だ」と叫びまくるものの、まるで無視される。
誰からも罪に問われずに、絶望する少女。
そこに、謎の玉子がやってきてそそなかす。
この世でもっとも重大な罪は、『言葉で誰かを傷つける』ことだと――。

ルンルンword word word
歌:少女、街の人々/メロディ「アラベスク」

アタマワルイ(うるせぇな)
カオモワルイ(ほっとけよ)
あんたの前世は虫

カネガナイ(ふざけんな)
カチモナイ(ひどすぎる)
母ちゃんはでべそだ

あっちいけこっち見んな
(おいこいつ黙らせろ 好き勝手いいやがる)
空気吸うなもったいない
(憎らしいその口を 永遠にふさぐぞ)

キモスギル(なんてやつ)
ムリスギル(ゆるせない)
えんがちょにバリアー

ダイキライ(こっちもだ)
シンジャエヨ(てめえがな)
ナンマイダ チーン

ー第5幕ーーーーーーーーーーーーー
思いつくありったけの悪口を、いろんな人に言いまくる少女。
しかし、やはり罪には問われることはなかった。
そのかわり、みんなの心を傷つけまくった少女は、
みんなに嫌われて村八分にされてしまう。
あまりのショックに、気づくと少女の声は出なくなってしまった。
あたりには、玉子の邪悪な笑い声が響きわたるのだった……。

ルンルンわたしの声
歌:少女(心の声)/メロディ「グリーンスリーブス」

わたしの声 さようなら あの山の先の
深くねむる湖に 行ってしまった

ひとのこころ傷つける 悲しい言葉を
口にしたくないと泣き 行ってしまった

おはよう こんにちは ごきげんはいかが
ありふれたやりとりが いまは恋しい

わたしの声 消えたこと みんな喜んだ
みんなわたしの言葉を 嫌ってるから

おいおいと泣きながら 去って行った声
残されたわたしは もぅ 泣くことできず

ー第6幕ーーーーーーーーーーーーー
声を失った少女は一人森をさまよい、
絶望のなかでバッタリ倒れてしまう。
そこに、ちょうど森での狩りを楽しんでいた王子様が現れて、
少女を助けてくれるのだった。
王子様は、少女が「言いたいことがあるのに言えないのだ」と解釈して、
彼女の心をとかすように優しい言葉をかけてくれる。

ルンルン玉子の中にはなにがある
歌:王子/メロディ「Around The World」

玉子にささげよう
beautiful words 言葉をささげよう

玉子のなかには しらけた白身と ぶきみな黄身
ダメダメそうじゃない 割ってしまったらすべてがおじゃん
手のひらにのせて そっと語りかけてごらんよ
胸のなかひめていた 気持ちを言葉に

楽しい嬉しい可笑しい愛おしいちょい恥ずかしい
悲しい憎らしいねたましい狂おしい苦々しい
すべての言葉が 響きあい求めあいまざりあって
産声をあげるから 君だけの世界

ー第7幕ーーーーーーーーーーーーー
王子様と出会って、王子様を好きになって。
少女のなかに『愛の言葉』がどんどん生まれていく。
喋ることのできない少女は、それを伝えられなくはがゆく思う。

そんなある時、事件がおこった。
王子様が暗殺されそうになり、
玉子の策略により犯人が少女とされてしまったのだ。
声がでないため、みんなの誤解をとくことができなかった少女は、
今まで自分が傷つけてきた人々に捕まり、処刑されることとなる。
王子様は必死に少女をかばおうとするが、それもかなわず。
処刑台に連行されながら、少女は心のなかで歌う……。

ルンルン心は叫ばない
歌:少女(心の声)/メロディ「ピアノソナタ第8番~悲愴~」

心は叫ばない
伝えたいことあった気がするの
だけどもぅ届かない
ならば 別れの言葉もいらない

少女は処刑台の上で、首をはねられることになる。
絶叫する王子様、涙する少女……すると。
その涙が大地にしみわたり、それが芽吹き、花が咲き、
鳥が飛んできて、少女が心の殻に閉じこめていた
『王子様を愛する思い』を歌いだした。

ルンルン心は叫んでる
歌:花や鳥たち/メロディ「Over The Rainbow」

心を叫んでごらん
こわがらずに大きな声で
あなただけの言葉が
この世界を輝かせるよ

最終幕ーーーーーーーーーーーーー
王子様も人々も、少女のほんとうの気持ちを理解した。
そして、少女がおかした『罪』を許してくれた。
みんなの優しさに、みんなのこころに感謝する少女。
この思いを、ありのままに伝えたい……と強く願ったそのとき。
少女に、失ったはずの『言葉』が戻ってきたのだった――。

ルンルン心が叫びだす
歌:少女(心の声)、王子、世界の人々
メロディ「ピアノソナタ第8番~悲愴~」
ルンルンあなたの名前呼ぶよ
歌:少女、王子、世界の人々
メロディ「Over The Rainbow」
心が叫びだす
あなたの名前呼ぶよ
あなたのとなりでみる世界は
優しいあなたの名前呼ぶよ

すべてが美しい
あなたに教えられた
悲しい過去も涙のあとも
とても美しいこの世界
わたしは叫ぶから
この世界を抱きしめるよ
あなたに出会い生まれた気持ち
ぜんぶまるごと抱きしめるよ
すべてを愛してる
あなたを愛している
あなたがくれたこの世界を
あなたをこんなに愛してる

CAST
少女:成瀬
玉子:田崎 大樹
王子:坂上 拓実

STAFF
音 楽
相沢基紀 岩木寿則 坂上拓実

振り付け
仁藤菜月 宇野陽子 江田明日香

衣 装
渡辺美美沙 鈴木章子
岡田愛美 三上聖名子

メ イ ク
小田桐芭那 栃倉千穂

証 明
斎藤五郎 田中陸 三嶋樹

大 道 具
清水亮 岩田晋一 錦織拓哉
福島竜二 田崎大樹 渋谷昭久
明田川慎二郎

小 道 具
賀部成美 高村佳織 北村よし子

ポスター
田中陸 石川朱美