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インボイス制度が10/1から施行されるにあたって反対派のパフォーマンスがここ数日は活発だった。
7年前に決まったもので、今更50万票のネット投票を官庁の業務時間終了後に持って行って拒否されて、「国民の意志を拒否したー!」とわめく活動家・野党には呆れるが…
声を上げたクリエイターに対して、「今まで優遇されてた癖に!」「能力無い奴はやめたらいい」「業界を見直せ」「アシスタントを奴隷にするな!」だの厳しい声が飛んでくるのは胸が痛いし、中には「いや、そういう問題じゃないんで…」「そんな簡単に変えられる仕組みじゃないのよ…」と言いたくなるすれ違い意見も散見される。
声を上げた業界が目立っているが、「免税で成り立っていた業界」と言うのは他にもある。
インボイス制度に不安を感じている業界の人に「転職しろ」「そんなギリギリでしか生活できない方に問題がある」と言う批判はちょっとズレがあるように感じる…。
まず第一次産業(漁業)について。。。
自分は実家が自営業で漁師関係が身近にいるので、インボイスに対するリアルの不満の声は聞いていた。
実家は勿論ちゃんと準備していて大きな打撃はおそらく無いだろうけども…。
漁師の人達の生活がどう変わるかはちょっと分からない。
今はガソリン代も高いし(船のガソリン代)、色々と国からの援助はあったとしても、小さな田舎町の漁師にとっては面倒な雑務が増えたり、なかなか適応出来ない年配の方も多いだろう。
年配の方の中には年金をかけてなかったり少ししかかけてなかった人も少なくない。
今更職種も変えられないし、人も雇えないし、年金もろくにないし、貯金もそんなにない。一軒家住まいが殆どだし、家族も少し離れた所に暮らしているとなれば、生活保護受給もそう簡単ではないし…そもそもまだまだ働ける人が生活保護になるのは良いのだろうか。
ギリギリで暮らしている人に対して「転職しろ」と安易に言う事へ疑問を感じるのは、この点に大いに問題があるからだ。
ヤフコメの情報さらっている中で、この点を指摘している人もいた。
失業者が増えれば税収も減るし生活保護も増えて税負担が増えてしまうリスク。
労働者を減らしてしまうのは大きな損失になるのではないか、と。
あとは感情論になるけれど…
やはりこれまでは「貴方達は免税しますから、安心して今の仕事を続けて下さいね」と言われていたのが、それを奪われてしまうと言うのは、体感的に「増税」と感じてしまうのも無理はない。
今まで優遇されていただろう!と考える人はいるかも知れないが、免税されるのを前提に業界に入った人だっている。「優遇されたかったら貴方もリーマン辞めてその職種につけばよかったじゃん」と言われるのと同じ事で、その批判にはあまり意味が無いんだよね。
「取らないよ」と言ってたのが「やっぱり取るよ」と言われたら不満が出るのは当然で、それで生活が崩れてしまうのに、「不満言うな!」は無理があるだろう。
正論もあるけど、それが理解出来なかったり感情が先に出る人や誤った情報をアプデ出来ない人は多い。
そういう人を納得させるのは「正論」ではないんだと、アベガー予備軍の両親を持っていると、そう感じてしまう。
7年猶予があったでしょって言っても、中卒で何十年と漁師やってきたおじいちゃん達はもう生活を変えられないし、田舎は職が無い。漁師が減って第一次産業従事者が減るのは宜しくないのではないかな。
まぁ…そんならどうすりゃええねんと言う話だが…やはりここは丁寧に現場の声を聞いて、第一次産業従事者には必要な経費の助成金か別の控除で保護した方がいいかと思う。
政府もちゃんとその辺は考えていて、水産関連では一応そのまま免税が続く部分もあるので、全くやっていけないと言う人はそんなにいないだろうけど、収入減・業務増にはやはり繋がるね。
野党からはそういう声が欲しいんだけど、ただただ「インボイスやめろ!」は只のパフォーマンスで、現場の人に寄り添う気なんてゼロだよな…。
もともとどうして免税する必要があったのか、どうして免税をやめるのか、その辺のすり合わせが与党にももっと必要だろう。
で
漫画・アニメ業界はまた事情が違ってくる。
こちらも「適正なアシスタント代を払ってないからだろ!」「国じゃなくて会社に値上げを訴えろ!」ってのは色々またすれ違い批判な気がする。
また、漫画業界とアニメ業界も事情が違う(声優業界はもう全然分からん)
まず漫画業界
これは各出版社で雇い方も違う。
ベテラン勢が息長く連載しているサンデー(小学館)と、粗削りでも若い人を採用して専属契約させるジャンプ(集英社)とか、後はグラビア写真やコラボも多いマガジンや、4コマ雑誌…、月刊誌と週刊誌でも違う。
おそらく1Pの稿料と単行本の印税が漫画家の主な収入となっていて、漫画家によって描き込み具合や原稿の仕上がるスピードは全く違う。
こち亀の秋元先生のようにきっちり作業分担・計画進行している先生もいれば、冨樫先生のように自分一人でやる代わりに休載多かったり(ネームが雑誌に載るなんて無茶が出来るのは冨樫先生クラスだけだが…出版社も正気じゃねぇ…これぞエンタメの極致)
こういうのを均一化はまず無理。
漫画家もベテランになればある程度は生活は安定してくるけど、新人デビュー漫画家もジャンプなら10週打ち切りも珍しくなかった。セカンドチャンスがある人もいれば無い人もいて、セカンドチャンスがあってもダメだった人は山ほどいる。
芸能界に似て、実力と運の世界だから、そんなリスクのある職業に就いんたんだから覚悟しておけと言うのも簡単だけど、そうやって色々揉まれて揉まれて名作が生まれてきた世界でもあるから、体制が簡単に変えられないのもあるだろう。
アシスタントにしても、色んな作家の所に行ったりするプロのアシもいれば、一人の先生に雇われて弟子入りしてる人もいれば、プロダクション制の作家の所でチームの一員として働いている人もいて様々。
今活躍している多くの漫画家はアシスタント時代に技術を学んだ人も多い。
アシスタントはただ雇われただけの従業員でなく、技術を学びに行っている人も多いので、低賃金でも不満はそんなに出ないのだろう。
今はデジタル化して「素材」があるから、「素材」を売るイラストレイターも増えている。
同人作家デビューももう珍しくなくて、プロとアマチュアの垣根がいっそう低くなって曖昧になっているので、多様化が進んでいる。
なので、「漫画家の賃金を上げろ」「アシスタントの賃金を上げろ」とざっくりした意見はちょっとズレがある。
インボイス制度を導入するなら、出版社が抱える漫画家に対してはある程度の改善は必要で、それ以外のフリーの人達は、批判で出てきた「能力が無いなら転職しろ」と言われても仕方ないと思うし、まぁ趣味や兼業で続ければいいと思う。
なので、「能力が無いなら転職しろ」を十把一絡げに使うのは違うんだよね。
そのプロにしても、値上げと言うのはどうなるのか難しい。
そもそも日本の漫画雑誌は週刊誌なら300円程度、月刊誌なら500円程度で気楽に読めると言うのは、原稿料の安さがあってのもの。
原稿料を上げるなら価格も上がり、子供がお小遣いで買えなくなるのは宜しくない。
たとえば日本の漫画と同じく歴史の古いアメコミは完全分業制となっている。
給与体制も普通の会社に近いだろう。(その分、ヘタクソでも載る・まだ荒削りの新人が載ると言うのや、全く新しい作品の連載はあまり無い)
バットマンを例に出すと、バットマンの1話分はフルカラーで30P前後のリーフと呼ばれる小冊子が月に二度ほど出るが、その1冊が5ドルぐらいする。リーフがまとまった単行本(TPBと呼ばれるもの)も後々に出るが、それは15ドル~30ドルと割と高い。バットマンだけの値段でだ。他にスーパーマンを買ったり、別会社のスパイダーマンやアイアンマンまで集めるとなると、子供では買えない値段。
アメコミに比べると日本の漫画雑誌は色んな漫画家の作品が安価で楽しめる。
それを支えているのは一人一人の漫画家で、それら全ての値段を上げろと言うのは厳しい出版社も多いんではなかろうか。
自分の意見としては、もうプロとアマをある程度は分けて、国が漫画事業に関わるなら変なアピールばっかりしてないで、こういう所に助成金なりを出してあげてほしいと思うし、アマチュアは潔くセミプロに甘んじて免税措置を期待するな頑張って専業プロ目指せとは思う。
あと、海外での翻訳版漫画の取り扱いが増えてきているので(欧州の話)、そこにもっと力を入れて海賊版撲滅と日本漫画の翻訳家・海外販売を増やしたり海外の会社とタッグを組む仲介役が出来るのではないかな。
中韓の漫画家がデジタルでシェアを伸ばしてきてるので、対立するのでなく、こここそアメコミ式にしてアジア版の大きな漫画出版元を作って切磋琢磨するのは良さそう。
色々チャンスはあると思う。
さらに
アニメ業界はまた事情が違ってくる。
こちらは完全に会社が管理できる体制でありながらの薄給はもちろん見直すべきだし、ある程度の実績を持つ企業には文化的財産を守るとして助成金も多少入れて賃金値上げはした方が良い。
市町村のアニメPRなんて似た絵柄の萌え絵とゆるキャラが増えるだけで文化育成に役立つとは思えないので、その分をアニメ業界に回せよと思う。
ただ値上げだけを指示すると、企業は海外への外注が増えてしまう。(中韓)
そうすると日本のクリエイターが育たないし、中韓の会社が制度を整えて賃金を上げて日本人を引き抜けば、技術の流失に繋がる。
その為にも賃金値上げに国の援助も必要かなと考える。
それに加えて
こういう所にこそ【投資】を促すチャンスじゃなかろうか。
ぶっちゃけ助成金よりもこっちをもっと大々的にやってほしいかな。
岸田首相は「もっと日本企業に投資を!日本人も投資しよう」と呼び掛けているが、私からすると博打みたいな投資になんて手を出す気にはならない。そんな余裕ない。
でも、自分の好きな会社や分野を支える為なら多少の投資や寄付はしたいと常々考えている。
アニメ会社の収入増につながるのはDVDとグッズ販売で、DVDは一回買ったら終わりで、グッズもよほどのファンでないと買わない。ファンでも、いらないグッズはいらない。
もっと安い値段から株主になれたり投資してアニメ会社を支えれるようになったらいいのにと思うし、国はそういうPRや仕組みづくりをしてほしい。
こういうのはアニメのみならず、日本のドラマや映画にも言える事で、昨今は中韓・他国のドラマが盛り上がってるのも値段が安いからで、日本のシェアや良品作りが負けてきている気がする。
ドラマやアニメはタダで観れるものだと思っている人が多い。
そこの国民の意識改革を政府は促した方がいいんじゃないかな。
(日本の映画・ドラマ系はあまり詳しくない分野なので特に口出しする気もないけど…もう観てないし)
ただ自分は長年漫画アニメ業界の片隅に居て、今までオタクだ何だと蔑んできたくせに、海外で評価された途端に擦り寄ってくる芸能界や政府を心情的に良く思ってないし、アングラも多い業界なのであまり深入りされたくないとも思っている。。。。
創作界は著作権等の問題がね…まぁ色々とね…。
とまぁ色々あったけど、結論とすれば…
インボイス制度を導入するメリット・デメリットはもっとハッキリさせるべきだし、これまで免税だったものが課税されるのは増税されたと感じる人がいるのは仕方がない
この制度の問題点について現場の声をこれからも拾い上げて改善していかないと、文化の育成の阻害や一次産業従事者の減少につながると考える
漫画家の赤松先生は漫画業界の改善を目指して自民党に入り、実際にヒアリングや意見交換を活発にされている。
インボイス制度が止められなかったと批判する人もいるが、簡単に止められるものでもないし、国も必要があって導入したのだから、止められなかったらそれで終わりでなくて、実際に導入されて出てくる問題点の整理や改善するには与党にいて、門外漢の議員先生達に丁寧に説明・理解・協力を促してほしいと思うので、これについては赤松先生を応援したいと思っている。
今になって直前にインボイス制度で声を上げる人がいるのは、野党・活動家のパフォーマンスだけでなく、「今」生活が苦しい時に予定通り導入する事への苛立ちだろうね。
まぁ先延ばし出来ないのもあるだろうが、コロナ前から増税の影響で苦しんできた人たちが、コロナ中も苦しみ、ようやくコロナ明けても戦争やら何やらでまだまだ苦しい時に、「決まっていた事だから始めますね」と言われて、心情的に「待ってくれよ…」と感じるのはそんな変な話じゃあないんだよね。
だから「正論」だけじゃなくて「寄り添う意見」で説得や納得させる方法が必要だろうな。
別に「説得も納得もいらない。そういう人は切り捨てればいい」と考える人もいるかも知れないが、そこを丁寧に説明・対応しておかないと、ゆくゆくの選挙に結果が出てくるんじゃないかな。
変に敵を増やさない方が良い。
私は自民党を支持していても、自民党は好きでないし(好きな議員は沢山いる)、政府の政策に不満や愚痴も沢山あるが、全体的に見て、現実的に考えて、自民党を支持している。
だからいつでも賛成・反対でもない。
インボイス問題を眺めていて感じたのは、生産的でないパヨやウヨへの訂正・デマインフルエンサー・デマサイト撲滅と同じく、自民党支持者同士の有意義な意見の交換もあっても良いんじゃないかなと思った。
そういう支持者の声を議員の皆様には吸い上げてもらいたい。
自分はあまり政治の知識もないし(元々は興味なかったけど、たまたま第一次安倍政権の頃に政治問題を見るようになった)、出来れば幅広い意見を読んで自分なりに結論出してまとめたい方なので、議論するタイプではないけど、議論を見たいなとは思った。
おわり