大人エレベーター -15ページ目

大人エレベーター

~目指せ! win☆winな関係~
育児とたまにホカノコト トコトコ

「未来を拓く 桜台小学校三年一組学級通信 1983年」 井出良一

 

日本語を豊かに、しみこむようにとらえ、

その美しさと力強さを自分のものにしたい。

ほこらかに、はちきれるように、

すばらしい文学を読みたい。読みこみたい。

事実をしっかりと見すえ文を綴る。     -----国語

 

「モーツァルトは太陽だ」とドヴォルザークは語った。

太陽のような歌は、きみたちを燃やし、

きみたちに豊かさを教え、

心ふくらませ、

きみたちを芯から明るく強くしてくれるだろう。

しあわせでたのしく、心わきたつ歌の時をつくりたい。

そのとき、きみたちは、音楽の世界の戸をたたくのだ。   -----音楽

 

ふみきり台をポンとけって、空中にうきあがるとき、

世界はひろがり、

とび箱をこえたときの何ともいえないさわやかな気持ちは、

きみたちを育ててくれる。

マットをうつくしくまわる心地よさをおぼえ、

マズルカステップのリズミカルな音楽は、

きみたちの体と心を踊らせる。

水の中を魚のように泳ぐとき、

サッカーボールをけんめいに追いかけるとき、

きみたちの筋力と骨と心は、たくましく育つ。   -----体育

 

えんぴつをしっかりにぎり、

まっ白な画用紙に絵をかく。

それはきみたちの冒険だ。

一筆一筆がきみたちの自信と確信を高め、

心を集めるように絵をかくとき、

きみたちの集中力と持続力が育つのだ。

けっしてとちゅうで投げ出してはいけない。

一筆一筆、一ほり一ほりが

きみたちの未来をかたちづくっていくのだから。

そして、きみたちの力をつくした三十八まいの絵は、教室を、

はなやかに、さわやかにかざるだろう。   -----図工

 

きっちりと筋道を立てて考え、計算する。

たしかに計算する。それもすばやくだ。

こうだから、こうなって、こうなるんだと、

しっかりと語りながら問題を解きおこしていく。

「かける」とはどういうことだろう。

「わる」ってことは、なんだろう。

「重さ」ってなんだろう。

木は、水にうくことによって軽くなるのだろうか。

砂糖は、水にとけると、重さはなくなるのだろうか。   -----算数

 

花が咲くとかならず実がなるのだろうか。

これがこの一年間の三組の理科のテーマだ。

小さな花の世界のなかにお話がある。

いつもルーペをポケットに入れて学校へこよう。

イヌノフグリやスズメノカタビラの雑草の花をのぞいてみたい。

小さな花のなかには、息をのむ美しさがある。

自然のなかの美しさを見つけ出す仕事、それが理科の勉強。

 

私はどこに住んでいるのだろう。

しっかりと、自分の住んでいるところ、生きているところ、

それをささえる人びとの力や心をとらえていくことはたいせつだ。

どうすれば私たちは住みよい町をつくれるのだろうか。

それを考えることは、

どうすれば戦争のない

しあわせな世界をつくれるのかを考えることにつながる。

自分が生まれ、育った町の歴史を学ぶことは、

明日を生きる力になるだろう。

人間と自然のしあわせを考える勉強   -----社会

 

家庭科が五年や六年になるまで勉強されないのはまちがいだ。

三年生のきみたちにこそ家庭科を学ばしてやりたいと思う。

まだ十分つかいきれないであろうその手で、

つたなくてもいろんな作物をつくり、

ほうちょうを持って料理し、

針を持ってぬっていきたい。

自分の力で自分の食べるものをつくり、着るものをぬう。

生きる力を勉強するのが家庭科だ。

 

国語で、音楽で、体育で、図工で、算数で、理科で、

社会で、家庭科できみたちは学ぶ。

それらの勉強が、きっときみたちをかしこく

たくましくするにちがいない。

先生もそのなかで、たくさんのことを学ぶだろう。

未来を拓く力がきみたちのなかに育つのが先生の願いだ。

 

 

著書「イーハトーボ小学校の春」より