■中国艦4隻が津軽海峡通過で示威行動 | FUNGIEREN SIE MEHR !!

■中国艦4隻が津軽海峡通過で示威行動

【中国の軍艦が津軽海峡通過 防衛省確認】  (日本経済新聞 10月20日)


 防衛省は20日、中国海軍の駆逐艦や最新鋭フリゲート艦など4隻が青森県北端の竜飛崎から西南西約37キロメートルの日本海公海上を北東に向けて航行しているのを確認したと発表した。海上自衛隊の哨戒機P3Cが19日午後5時ごろ発見。4隻はその後、津軽海峡を通って太平洋方面に抜けた。中国戦闘艦による津軽海峡通過の確認は初めてという。
 4隻は公海上を通っており、領海侵犯はしていない。統合幕僚監部は「中国海軍は潜水艦を含め動きを活発化させ、大陸周辺だけでなく太平洋側にまで活動範囲を広げつつある」と動向を注視している。
 4隻のうち最新鋭フリゲート艦「ジャンカイ2級」と補給艦の2隻は対馬沖を航行しているのを海自が17日に発見。駆逐艦「ソブレメンヌイ級」とフリゲート艦「ジャンカイ1級」の2隻はロシアを親善訪問した後に合流したとみられる。



 先日の当ブログのエントリ で取り上げた、中国艦の対馬遊弋に関連する、日経新聞の記事です。


 中国海軍の艦艇4隻が、日本の津軽海峡を日本海側から太平洋側へ通過し、示威行動を行ったというものです。


 ・四国新聞社(防衛省提供)による中国艦艇の様子

 津軽海峡を通過する中国艦艇

 当該艦艇の陣容は、以下の通り。


 ・「ソブレメンヌイ(/現代)」級ミサイル駆逐艦 1隻(艦名不明) (満載排水量7940t)

 ・「江凱(ジャンカイ)Ⅱ」級フリゲート 1隻(「周山」) (満載排水量4000t前後)

 ・「江凱(ジャンカイ)Ⅰ」級フリゲート 1隻(艦名不明) (満載排水量3900t)

 ・艦種不明補給艦 1隻


 以上の4隻です。



 ■中国戦闘艦の津軽海峡通過の意味


 津軽海峡の最狭部は、18.7kmです。日本における「特定海域」に指定されています。


  国連海洋法条約(1994年)では、同条約で定義された重要海峡での船舶・航空機への「通過通行権」が認められています。
 「通過通行権」とは、特定海域に指定された海峡での“迅速な通過を行う場合のみ”航行および上空通過を認める性質のものです。


 日本には国際海峡は5つ(宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡東水道(対馬海峡)、対馬海峡西水道(朝鮮海峡)、大隅海峡)存在しますが、それらは1977年の領海法によって定められたものであり、1994年の国連海洋法条約とは規定の経過が直接的に関係がありません。


 これらの海峡では領海が3海里(5.5km)に大幅に縮小されており、海峡の中央部は事実上公海となります。


 ・津軽海峡

 津軽海峡の領海状況


 しかし、これらの海峡は、海上交通の要衝にあたることから、外国船舶にはこれらの海峡における通過通行権が認められ、外国艦艇には無害通航権が認められています。


 しかし、中国海軍は、近年、これらの海峡を通過する際に、無害通航、或いは迅速な通過を行っているとは言いがたいのが現状です。



【中国の海洋活動】  (海洋政策研究財団 2001年12月20日)


 ここ数年、日本近海における中国軍艦の反復活動、漁船による領海侵犯は後を絶たない。中国が戦略的立場に立って海洋大国を目指していることは明らかだが、この海洋大国化の過程が国際ルールに従って行われることを、日本は強く求めるべきだ。

 ◇日本近海に出没する中国艦
 国際テロとはまったく性質は異なるが、日本政府として十分対応策がつめられていない分野の一例として、中国の海洋政策がある。周知のように、この両三年間日本近海における中国の軍艦乃至公船の活動が多くなっている。津軽海峡、対島海峡の東・西両水道等については、日本は領海の幅を3カイリに留めているから公海部分の外国の艦船の通過は自由である。とは言え海峡の領海以外の水域は日本の排他的経済水域(EEZ)である。これらの海峡において迅速に通過するならともかく、反復航行を行う中国艦船の目的は何かと問いたくなる。また日本の固有の領土であり実効支配もしている尖閣諸島周辺において、中国(及び台湾)の漁船の領海侵犯のケースが増えているが、海上保安庁は警告や退去勧告を行っているだけである。日中間では本年2月に海洋調査に関する相互事前通報制度が合意されたが、その後も中国側の違反は後を絶っていない。
 本来沿岸防衛から出発した中国海軍は、その後逐次増強されてきた。21世紀の初頭の段階では、中国は「近海海軍」(おおむね千島列島、日本列島、台湾、フィリピン群島を結ぶ線の内側を主たる行動範囲とする)を構築中であり、また2050年頃迄には「遠洋海軍」を保有することを目標としているとされる。


 ・日本近海で活動していた中国艦の航跡

 日本近海で活動していた中国艦の航跡

 2000年5月14日、対馬周辺で活動中の中国海軍ヤンビン級砕氷艦兼情報収集艦1隻を海上自衛隊が確認。その後同艦は北上し、5月23日~26日に津軽海峡で周回後これを通過、房総沖、奄美大島北東海域で往復していることが、海上自衛隊の調査で明らかとなった。同艦は6月5日に奄美大島西北西海域で停泊しているのが確認された後、6月9日までに中国側の海域に消えた。


 ◇紛争となりうる潜在的な種
 中国のエネルギー資源への需要は毎年増加しているが、その特色は石炭の占める割合が減少し石油の比率が高まっていることだ。1996年から、中国はすでに原油の純輸入国となっている。また中国は海運、造船の分野でも、その拡大に努力しつつある。中国が戦略的立場に立って海洋大国を目指していることはロシア製の艦船や軍用機購入の拡大傾向一つをみても明らかである。
 海洋大国となる途上において中国はすでに南シナ海で南沙群島の領有に関し、ASEANの数ヶ国と対立している。中国はその領海法において尖閣諸島を中国領土と定めている。将来の中国における海洋政策の展開によっては、日中間に紛争となりうる潜在的な種があることの一例である。もとより如何なる紛争も平和的に解決することが日本の立場であるが、領土をめぐる対立のような場合、既成事実ができ上ってから急に対応するのでは間に合わない。
 外交の目的は自国の国益の確保のため他国との間に平和で互恵的な関係を築くことである。「友好」それ自体は目標ではなく、結果として生れればよいものにすぎない。中国の海洋における諸活動について、日本はできる限り将来起こりうる問題を先取りして冷静に判断を下し、中国にとって愉快でない内容であろうと、日本の立場や要望を率直に伝えて行かなければならない。


 2001年に日中間では、相手国近海における海洋調査の相互事前通報の枠組みがつくられ、中国側は「日本近海」での航行に事前通報することを受け入れていました。
 しかし、2001年7月9日、中国海軍海洋調査船「奮闘4号」が沖縄西方の日本EEZ内を通報なしで航行し、13日には同じく「科学1号」が通報内容と違った水域を航行したことが確認されています。

 また、「海氷」級砕氷・情報収集艦「海氷723」が2001年7月中旬、鹿児島沖の公海上で情報収集とも見られる活動をしていたことも確認されており、いずれのケースでも、中国側は日本に事前通告を行っていませんでした。


 遠洋海軍の建設を強く志向する中国にとって、日本列島~南西諸島は、外洋への出口を閉ざす、邪魔な存在でしかありません。

 相次ぐ事前通報無しでの海洋調査や、2004年11月10日に発生した、中国海軍「漢」級原子力潜水艦による石垣島周辺の日本領海侵犯事件などで、中国海軍の遠洋志向が高まっていることがよく分かります。


 今回の津軽海峡通過は、戦闘艦としては初めてと言うことです。


 中国海軍艦艇が、自国の基地から出航し、太平洋に出ようとすれば、自ずと日本列島南西側の日本周辺海域を通過することになります。

 しかし、今回津軽海峡を通過した(その前には対馬近海を遊弋している)と言うことの意味は、ひとえに日本に対する示威行動としか言いようがありません。


 明らかに日本への脅威となる行動です。



 ■政府は果敢に対処せよ


 相次ぐ新鋭艦の建造・就役や、空母建造計画の推進によって、中国による沿岸海軍志向は益々その度合いを強めています。

 中国の遠洋海軍が将来的に完成した折には、中国が主張する米中での太平洋の東西分割が、実際に起きてしまう危険性も出てきます。


 そうなった際、日本の最重要海洋交通路である南シナ海~東シナ海への中国海軍による圧力が益々強まる事となり、日本の安全保障政策上、甘受できない事態に陥ることは明白です。


 日本政府には、中国政府の海洋政策に対して受身の姿勢、あるいは同盟国アメリカを頼りにし切った姿勢で甘く接するのではなく、東シナ海ガス田問題や尖閣問題でのより積極的で果敢なアプローチを求められているのです。



 【参考HP】


 海洋政策研究財団HPニューズレター第33号 『中国の海洋活動』



 【参考書籍】



中国は日本を併合する

平松 茂雄



中国の戦略的海洋進出

平松 茂雄








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