反省させると犯罪者になります

すごくインパクトのあるタイトルですね。

反省させると犯罪者になります (新潮新書)/新潮社

¥778
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著者の岡本茂樹さんは、刑務所で囚人たちの更生を支援する活動をされています。
ボクはこれまで悪いことをしたら「反省」することがまず第一に大事なことだと思っていました。
その考えを疑うこともありませんでした。
でも、それが人をさらに抑圧して、もっと大きな犯罪として爆発してしまう可能性があることを知りました。
おそらく多くの方がそう思っているのではないでしょうか。
芸能人や有名企業が悪いことをすると、謝罪会見をします。
そして常に「反省」している態度を表明しています。
でも、本当の意味での「反省」はそんなにすぐにできるものではありません。
つまり「反省」しているふりをしているのですね。
その反省ぶりが上手であればあるほど危険なのだそうです。
これからは記者会見の見方も変わっていきそうです。

重大な罪を犯した人は、ずっと以前から我慢に我慢を重ねてきた人が多いそうです。
環境によって、自分の不満やストレスを吐き出すことができなかった人です。
しつけが厳しかったり、両親が離婚していたり、暴力がひどかったり…
そんな中で「強くならなくてはならない」「いい子でなければならない」「弱音を吐いてはならない」と思い込むようになって、何があっても我慢をするようになってしまう。
そんな人があるときちょっとした出来心で悪いことをしてしまうのは、助けを求めるサインです。
そのサインが出たときに、いきなり「反省しろ」と言われても、無理な話です。
ここでもまた我慢を強いられます。
この経験がのちに重大な犯罪につながってしまう、ということのようです。

では、そうした状況に遭遇した場合、親や学校はどのように対処したらいいのでしょうか?
そのヒントが具体的な実践例を挙げて説明されています。


以下、本書のまえがきの最後の部分です。

皆さんは、悪いことをしたときに、反省していませんか。「すみませんでした」とひたすら謝罪していませんか。「もう二度とやりません」と固い決意を口にしたことはありませんか。また、親であれば、子供から反省の言葉を引き出そうとしていませんか。反省や謝罪の言葉を言えばいいと思っていたり、悪いことをしたら反省させるのが当然だと思い込んでいたりする方は、ぜひ本書を最後まで読んでください。正しいと思っていた価値観が人を追い詰め大変な行き辛さを生ませていたり、逆に間違っていると思っていた考え方が健康的に生きるために必要なことであったりすることに気づきます。今、子供が非行をして悩んでいる方や、これから子育てをしようとする方にも、本書はお役に立てるものと信じています。学校の生徒指導に取り組まれている先生方にもぜひ読んでいただきたいです。