下記にあるのは、今の20、30代の女性には、誰もが当てはまるケースです。セーフティネットが脆弱な日本の現状、ご参考ください。
◆平成25(2013)年10月7日 読売新聞 東京朝刊
若い女性の貧困 雇用悪化 未婚率も上昇
非正規雇用の増加や未婚・晩婚化に伴い、若い女性の貧困が深刻化してきた。かつては、すぐに結婚して家庭に入るとみなされ、若い女性の無職や低収入は問題視されなかった。しかし、こうしたライフコースを前提とした雇用環境のまま単身生活が長期化し、困窮状態に陥りがちだ。安倍政権は成長戦略として「女性の活躍」を掲げるが、まずは女性が経済的に自立できる環境作りが必要だ。
◇生活保護
「いずれ結婚して家庭に入り、普通の生活が送れると思っていたのに……」 都内でひとり暮らしをする女性(35)は、事務のパートで週3回、半日ずつ働きながら、生活保護を受給している。5年前、親の介護のために、短大を卒業してから続けてきた派遣社員を辞めた。
兄がいるが、親戚に「女の子が面倒をみるのが当然」と言われて、やむなく退職。友人との付き合いもなくなり、孤立感と介護疲れ、将来への不安などから、うつ状態になった。親をみとり、貯金を取り崩しながら生活してきたが、それも底をつき、生活保護を申請した。
今は回復し、自立を目指しているが、現実は厳しい。派遣時代の仕事は簡単な事務だけで、専門的な技能もなく、安定した仕事に就くのは難しい。しかも、年齢が上がるほど事務職の求人は減る。職歴の空白期間も不利になる。「将来、結婚してもしなくても、自分で生活できる力を身につけないと」。自分に言い聞かせるように、女性は話す。
「従来から多かったシングルマザーの貧困に加え、最近は若い単身女性にも貧困が広がっている」。若者の自立支援をしている「インクルージョンネットよこはま」の鈴木晶子理事は、こう指摘する。バブル崩壊後の不況下で格差が拡大し、貧困状態で暮らす人の割合を示す相対的貧困率は全体で16%(2009年)に上る。特に、女性の状況は深刻だ。
内閣府の「生活困難を抱える男女に関する検討会」報告書(10年)によると、ひとり暮らし世帯の貧困率は、全年齢層で女性が男性を大幅に上回り、女性の貧困率は最も低い20~30歳代でも30%を超えていた。「こうした傾向は従来からあるが、親の扶養から結婚して夫の扶養に移るまでの一時的なものとして問題視されてこなかった。それが、雇用情勢の悪化や未婚率の上昇で表面化してきた」と、集計した白波瀬佐和子・東大教授は説明する。
◇非正規雇用
女性の貧困の背景には、派遣社員やパートなどの非正規雇用の増加がある。12年には雇われて働く人の35・2%を占めるまでになり、特に女性では54・5%と男性(19・7%)の3倍近い。新卒で正社員になる道が狭まったうえ、正社員の雇用環境も厳しくなり、心身の不調などで退職して再就職で非正規雇用になるパターンも目立つ。 非正規雇用では教育訓練の機会も乏しく、昇給も少ない。女性は一層その傾向が強く、非正規雇用の女性の86%が年収200万円未満だ。正社員に転換できるかどうかにも男女差があり、転職後も非正規雇用という人が、男性6割に対して女性は8割にもなる。
雇用情勢の悪化は若者の結婚を困難にし、未婚・晩婚化を加速させた。女性の未婚率(10年)は25~29歳で60%、30~34歳で35%と、ともに20年前から20ポイント増。「結婚して家庭に入る」という従来型のライフコースに乗らない人が増えた。「いずれ結婚するつもりで派遣社員やアルバイトを続けてきた女性が、未婚のまま30歳代になる。そこで将来が不安になり、相談に来るケースが多い」と、インクルージョンネットよこはまの鈴木理事は話す。
生涯未婚率の上昇とともに、単身女性の貧困問題は今後さらに深刻化する恐れがある。シングルマザーも、依然として厳しい状況にある。都内のアパートに中学生の子ども2人と暮らす女性(40)は、パートで週4日働き、月収7万円。児童手当などの給付金と元夫からの養育費を加えて生計を維持している。
子どもが小さいうちは、短時間のパートしかできず、一時は生活保護も受けた。子育ては一段落したが、心配なのはこれからだ。今より収入のいい仕事に就けるあてはなく、年金などでも正社員とは格差が大きい。子どもの進学や自分の老後を考えれば不安は尽きない。「ダブルワークで収入を増やすしかない」と言う。総務省の調査(07年)によると、シングルマザーの非正規雇用率は20~50歳代の各年代で5割以上。貧困率は20歳代で80%、30歳代で70%だ。
◇就労支援
困窮する若年世代の女性を支えるためには、きめ細かな対策が求められる。女性の求職相談を受けているマザーズハローワーク東京(東京都渋谷区)では、未婚者を含めた女性にパソコン講習などを行い、キャリアアップを支援している。「専門性を身につけることが、自立につながる。相談者には、離婚で心に傷を負ったり、過去の職場でいじめに遭って自信を失ったりしている人も多い。
必要な場合はマンツーマンで担当者が相談に乗り、精神面も含めてサポートする必要がある」と、青木恵美子室長は話す。こうした就労支援に加え、非正規労働者の処遇改善や、男女の格差解消も課題だ。さらに、「若年の困窮層に安価な住宅を提供する仕組みが必要だし、結婚を望む男女のために自治体が交流の場を設けることも有効。これらは若年男性の支援にもなるし、少子化対策としても役立つ」と、白波瀬教授は指摘している。
〈相対的貧困率〉
国民一人一人の所得を上から順に並べた場合に、中央の人の半分(2009年は112万円)に満たない人の割合。OECD加盟国の平均は11%(10年)。
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