今回の記事の対象範囲
本稿で扱うのは、現地6月10日に行われた「予選」セッションです。FIA WEC公式スケジュールでは、6月10日にLMP2/LMGT3予選とハイパーカー予選が行われ、6月11日にハイパーポール1・2が別枠で実施される構成です。したがって、ここではハイパーポール結果を含めず、6月10日の予選で何が起きたかに絞って解説します。
予選の役割は、翌日のハイパーポールに進む車両を絞り込むことです。トヨタの説明によれば、10日の予選で上位15台がハイパーポール1へ進み、そこから上位10台がハイパーポール2で最終的な上位グリッドを争います。
ハイパーカー予選結果の要点
ハイパーカークラス予選の最速は35号車アルピーヌA424で、タイムは3分23秒135。2番手は12号車キャデラックVシリーズ.Rで3分23秒148、3番手は101号車キャデラックで3分23秒323でした。4番手20号車BMW、5番手38号車キャデラック、6番手15号車BMWまでが続き、上位6台をLMDh勢が占めています。
- トップ3:35号車アルピーヌ、12号車キャデラック、101号車キャデラック。1位と2位の差は0.013秒でした。
- トヨタ勢:8号車が8番手、7号車が12番手で、ともに予選通過を果たしました。
- 脱落組:93号車プジョー、83号車フェラーリ、94号車プジョーがハイパーポール進出圏外となりました。
しかもトヨタの発表では、トップから11位までが1秒以内に入る僅差でした。これは決勝前の一発タイムで明暗が分かれたものの、ロングランではまだ勢力図が流動的であることを示しています。
アルピーヌ最速、LMDh上位独占の意味
予選終盤は順位がめまぐるしく入れ替わる展開でした。motorsport.com日本版によれば、序盤は007号車アストンマーティンが基準タイムを作り、その後の最終アタック合戦で12号車キャデラックが首位に浮上。そこを35号車アルピーヌが最後に0.013秒だけ上回ってトップを奪っています。
注目すべきは、トップ6がアルピーヌ、キャデラック2台、BMW2台、もう1台のキャデラックという“LMDh天国”になったことです。予選一発の速さでは、少なくとも6月10日の時点でLMDh勢が非常に高い完成度を見せたと言えます。
- アルピーヌは地元フランス勢として最速通過し、話題性と勢いを同時に獲得しました。
- キャデラックは12号車と101号車がトップ3入りし、複数台で高い瞬発力を証明しました。
- BMWも4番手と6番手につけ、決勝へ向けて“ダークホース”ではなく本命級の存在感を示しました。
トヨタ2台通過の評価
トヨタは8号車が8番手、7号車が12番手。最速争いの中心ではなかったものの、2台とも次段階に進んだことは最低限以上の成果です。Car Watchによれば、8号車はトップから0.656秒差、7号車は0.771秒差で、上位とのギャップは決定的ではありませんでした。
チーム側のコメントも“まだ仕上げ切っていないが、長いレースへ向けた準備を優先している”というトーンが目立ちます。小林可夢偉はナイトセッションを走れたことと結果を「上々」としつつ、なお調整余地があると説明。ブエミも、予選で役割を果たした上でセットアップをさらに煮詰めたいと語っています。
- 7号車:通過はしたものの12番手で、決勝を意識した“守りながら進める予選”という印象でした。
- 8号車:8番手通過で、上位陣と大きく離されてはいません。トヨタ勢としてはより前向きに受け止められる位置です。
- 総合評価:ポール争いの主役ではなくても、24時間レースではグリッド差以上に安定性とミスの少なさが重要になります。
最大の波乱は83号車フェラーリ敗退
最大のニュースは、2025年ル・マン勝者である83号車フェラーリ499Pが17番手に沈み、予選で脱落したことでした。motorsport.com日本版はこれを“まさかのノックアウト”と伝えており、昨年勝者がハイパーポール前に姿を消したインパクトは非常に大きいです。
予選の流れを見ると、83号車は終盤に苦しい立場へ追い込まれ、コースオフもあって巻き返し切れませんでした。結果としてプジョー2台とともに予選敗退組となり、直近王者に対する市場の期待を大きく裏切る格好になっています。
一方、ファクトリーの50号車と51号車フェラーリは14番手・15番手で辛うじて通過しており、“フェラーリ全滅”ではありません。ただし、例年と比較すると余裕のない位置だったことは否定できません。
LMP2・LMGT3と日本勢の状況
LMP2クラスの予選トップは30号車デュケーヌ・チームの3分34秒662でした。2番手は37号車CLXモータースポーツ、3番手は343号車インターユーロポル・コンペティションです。
日本関連では、太田格之進が名を連ねる9号車プロトン・コンペティションがLMP2で10番手に入り、次段階へ進出しました。日本のファンにとっては、トヨタ勢に加えてLMP2の9号車も追いかける理由ができた予選でした。
- LMP2首位:30号車デュケーヌ・チーム。
- 日本勢注目:太田格之進が関わる9号車は10番手で通過。
- LMGT3:この検索環境ではLMGT3全順位の詳細本文は十分に取得できませんでしたが、クラス別予選が同日に行われたことは公式スケジュールでも確認できます。
6/11までのX・ネット反応の傾向
まず前提として、今回の検索環境ではX個別ポスト本文を体系的に抽出することが難しく、6月11日までの「X投稿そのもの」を網羅的に直接引用することはできませんでした。そのため、ここでは6月11日までに公開Web検索で確認できたコメント欄や公開反応をベースに、Xで広がりやすい論点を整理します。
反応1:アルピーヌ最速とLMDh優勢への驚き
公開記事・コメントの流れを見ると、「アルピーヌがトップ」「キャデラックとBMWも速い」という構図に驚く声が中心です。特に、予選トップ6がLMDh勢で占められた点は、“今年のル・マンは例年以上に勢力図が読みにくい”という見方につながっています。
反応2:83号車フェラーリ敗退は「最大のサプライズ」
昨年勝者の83号車フェラーリがノックアウトされた点は、もっとも反応が強いテーマでした。予選前の本命視が強かっただけに、“まさかここで消えるとは”という驚きが、各種コメント欄でも目立ちます。
反応3:トヨタへの期待とBoP議論
公開コメントには、「トヨタには経験と総合力で勝ってほしい」という期待と同時に、BoP(性能調整)への不満・疑念を示す声も見られました。これはXでも広がりやすい論点で、単なる予選順位だけでなく“なぜこの勢力図になったのか”まで議論が及んでいることを示します。
- ポジティブ寄り:「トヨタは通過できた」「24時間はまだ分からない」という冷静な見方。
- 驚き寄り:「83号車フェラーリ敗退は衝撃」「アルピーヌ最速は熱い」という展開面への反応。
- 論争寄り:「BoPがレースの見え方を左右しているのでは」という制度論。
決勝へ向けた見どころ
6月10日の予選だけを見ると、アルピーヌ、キャデラック、BMWが一発の速さで先行し、トヨタは確実に前進、フェラーリ83号車は痛恨の脱落という構図でした。ただし24時間レースは、予選順位だけで勝敗が決まる競技ではありません。トヨタ陣営も、コメントの中で一貫して“長いレースへの準備”を重視しています。
したがって、6月10日時点の評価は次の3点に集約できます。第一に、LMDh勢の一発の速さは本物。第二に、トヨタは優勝圏内を諦める位置ではない。第三に、83号車フェラーリ敗退によってレース全体のドラマ性が一気に高まった、ということです。6月11日までの時点で最も“熱量の高い話題”が予選だったのは間違いありません。