ちょっとした荷物を取りに、久々に今日実家へ帰ると、近所にあった
スーパーマーケットがつぶれていました。
子供の頃、何十回何百回と通った小さな店です。
幼稚園の頃、親に叱られ家から飛び出し、親が迎えに来るまで泣きながら
「篭城」した店であり、小学校の帰り道に友達と買い食いをした懐かしの店。
そうそう、中学生のとき初めて好きな女の子に送ったラブレターの切手を
買った店でもありました。
映画「ニューシネマパラダイス」に出てくる映画館のように、僕を育て
僕の少年時代の思い出がたっぷり詰まった店なのです。
古びたシャッターで閉ざされた店の前に立ち、しばらくいろいろな出来事を
思い出していました。
当時、真っ赤だった店の看板は、くすんだ朱色に色あせ、「鍵っ子」だった
僕を時には叱り、時にはテストの点数をほめてくれた店のおばさんは
もう5年前に亡くなっていました。
時間は残酷なほどに、早く過ぎていたのです。
「買ったら、お店で6枚切りの厚さに切ってもらってきてよ」
店が正月休みに入る、ちょうど今頃の季節は2斤分入った正月用の食パンを
買いに、いつも母親からおつかいに行かされたものです。
若い人には馴染みがないかも知れませんが、正月休みで店が閉まってしまう
僕の少年時代には暮れからお正月にかけて買い置きができるように、
通常の倍以上の量が入ったポテトチップスやチョコレートなどが売って
いました。
まだ年中無休24時間営業の店などない、遠い昔の話です。
お正月を迎える前に、兄弟でお菓子を食べ切り、「スーパーが開く5日まで
お菓子無しだからね」と、母親によく叱られました。
子供の僕に正月という暦の節目を感じさせてくれたものの一つに、
「正月用食パン」やお菓子の正月用パックなどが、あったのかも知れません。
自宅に帰る途中、近所のコンビニに寄りました。
明日は大晦日ですが、店内にはいつもと変わらぬ食パンが並び、
「正月用食パン」はありません。
年中いつでも買えるのですから、買い置き用の食パンなど必要ないのです。
コンビニや年中無休の店が出来て、生活は楽に、そして便利になりました。
しかし、「便利」というメリットは一方で、「正月の季節感を奪う」という
デメリットを生んでしまったのでしょうか?