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ところが、血液による応急処置が間に合わないと、土や大気中の病原体がその傷口から、体内に侵入してきます。例えば破傷風は、破傷風菌という病原菌が傷口から体内に入り込んで、血液の流れに乗って強い毒素を撒き散らしながら全身を駆け巡り、最終的に私たちの命を奪ってしまうこともある病気です。
しかし、皮膚という最初の防御バリアを突破して体内の組織に潜り込んだ病原体に対して、全身免疫は次に、強力な第二の防御システムで対抗します。
このシステムを担う主役が、血液の中で活動している白血球です。
血液は、血管を通して体の隅々まで流れています。つまり、白血球は体の至る所で活動しているということです。
ここで、簡単に、この白血球について説明しておきましょう。
実は白血球とは、体の免疫システムを根本で支えている、非常に重要ないくつもの特殊な細胞をひとまとめにした呼び名です。
免疫システムの主役であるこれらの細胞は、別名、免疫細胞とも呼ばれます。
ただし免疫細胞の集団は、血液の中だけで活動しているわけではありません。
血液内で活動しているときは、総称して、白血球と呼ばれていますが、実は、血管と同じように全身に張り巡らされているリンパ管の中や、鼻、喉、気管支、腸など、体の中のあらゆる粘膜上でも多種多様な免疫細胞が盛んに活動しています。
中でも小腸と大腸には、免疫細胞が血液中よりはるかに大量に存在して活動していて、常に外敵が体内に侵入するのを防ぎ、私たちを病気から守ってくれているのです。
血液内で活動している免疫細胞を指す白血球には、その役割の違いによって、大きく次のような細胞があります。
まず、最も数が多いのは顆粒球という細胞で、白血球全体の約60パーセントを占めています。細胞の中に小さなつぶつぶ、顆粒が見えるので、こう呼ばれています。
顆粒球は、体内に侵入してきた病原体や古くなった体内の細胞の死骸など、体にとって異物となるものは何でも飲み込み、それらを消化酵素と活性酸素を使って分解してしまいます。
次に多いのが、白血球の中で最も重要なリンパ球と呼ばれる免疫細胞グループで、白血球全体の約35パーセントを占めています。
リンパ球はその役割によって、さらにT細胞、B細胞、キラーT細胞、ナチュラルキラー細胞といった様々な細胞に分けられます。
このリンパ球のグループは、まるで強力なサッカーチームのような連携プレイによって、病原体など、体内に侵入を試みるあらゆる外敵を攻撃し、殺して行きます。リンパ球はまさに免疫細胞の精鋭部隊で、私たち人間が進化の過程で獲得した免疫システムの究極の姿が、このリンパ球の働きに見てとれます。
はしかやおたふく風邪やインフルエンザに一度かかると二度と同じ病気にはかからない、つまり、体に免疫ができるのは実はリンパ球の卓越した能力のおかげです。
最後は白血球中の約5パーセントを占めるマクロファージという免疫細胞です。ちなみにマクロファージとは、ウィルスよりはるかに大きいマクロ、細胞を退治、ファージするという意味からつけられた名前です。
このマクロファージは白血球の中で最も大きな細胞で、食欲が非常に旺盛なので、病原体であろうと有害な化学物質であろうと、小さな砂粒であろうと、体にとって異物と見れば、何でも食べてしまいます。また、細胞の死骸のような体内の老廃物もきれいに食べて掃除してくれます。
このように相手が何であれ、貪るように食べてしまう大食漢であることから、別名、貪食細胞とか大食細胞とも言われています。
驚くべきことに、これら白血球と言う免疫細胞の集団は、病原菌やウィルス、有毒化学物質などの自分自身ではないものを、よそ者=外的=異物として認識する特別な能力を持っています。
ちなみに、このようなよそ者の細胞や化学物質等の毒素を、医学的に抗原と呼びます。ちょっと難しい言葉ですが免疫細胞が対抗する原因となるものの略と思ってぜひ覚えておいてください。