労働施策総合推進法が改正され、職場におけるハラスメント対策が義務になりました(中小企業については令和4年3月31日までは努力義務)。中小企業においても、来る義務化に向けて、対策を立てておきたいものです。ここでは、その対策の大まかなラインを示したいと思います。

 

対策は、大きく4つあります。

 

1 社長の強い意思表示

まずは、トップが、「ハラスメントをしてはいけない」という、強い意思表示をすることです。あとの柱の中心になる、最も重要なものです。

 

2 ハラスメント規程の作成

就業規則にその条文を加えるのでもいいですが、就業規則が膨大になってしまいます。別に規程を作る方が、すっきりしてわかりやすくなるのではないかと思います。

規程に盛り込むこととしては、

ハラスメントを禁止する旨の条文(目的)

ハラスメントをしてはいけないという、強い意思表示をします。

ハラスメントの定義

ハラスメントとはどういう行為や言動なのかを定義付けます。ハラスメントの定義については、厚労省のHPが参考になります。

禁止行為等

暴力や暴言、無視など、どういうことをしてはいけないのか、言ってはいけないのかについて決めます。

ハラスメント対策部署

通常は、人事部課長になりますが、会社の実情に合わせて決めることになります。

苦情相談窓口の設置

ハラスメントが起こった時、起こるおそれがあるときに、どこに言いに行けばいいかを決めます。

罰則規定

ハラスメントの行為者を処分するに当たっての取り決めです。

相手方の救済

休職やハラスメント行為者とかかわりがない部署への異動等、ハラスメントをされた人の救済措置について決めます。

再発防止

事例公表や社内研修等、再発を防止するために何をするかを決めます。

なお、ハラスメント規定については、厚労省のひな形が参考になるかと思います。

ハラスメント規程の作り方については、こちら。

 

 

 

 

3 相談窓口の設置

ハラスメントが起こったとき、起こりそうだと思った時に、気軽に相談できる窓口を設置します。面談による相談だけでなく、電話やメールなどでも、相談できるようにするとよいでしょう。なお、相談したという事実や内容の秘密は厳守されることは、いうまでもありません。

 

4 社内研修

ハラスメントは、知らないうちにやってしまうこともあります。「自分は絶対にやらない」と思っていても、思わぬところでハラスメントであると指摘されることもあります。まずは、ハラスメントとはどういうものか、管理職を含む職場全員が共通認識を持つ必要があります。また、ハラスメントにならない行動や言動を練習するのも、効果大です。

 

ハラスメント対策は、労務制度やハラスメント、メンタルヘルスなど多岐にわたって専門的な知識が必要です。ぜひ、専門家の知恵を借りながら、有効性のあるいい対策を立てていきましょう。もし、聞きたいことなどありましたら、お気軽にお問い合わせください。