休日の日課である銭湯の帰り、スーパー「トップ」に寄った。

すると、入り口のところにタマネギとじゃがいもが

山積みされていた。

(スーパーなんかでよくありますね、

 サービス品というか、特売品を入り口前に

 山盛り陳列しているのを・・あれです。わざわざ説明するまでもないか。)




で、本日私の目当ては、夕飯のためのなんか食材と

切れている日用品ぐらいのもので、

その山積み商品たちには別段用はなく、

チラッと横目で見て店内に入ろうとしたら・・・

そこにいたのですね・・・人影が。




タマネギのネット(3個入り198円・・そんなに安くないぞトップ!)

を持って、顔とタマネギの距離はおそらく10センチ以内。

じっーと、タマネギを見つめている男性がいました。そこに。

「タマネギを買って来い!」とおそらく家の誰かに頼まれて

寒空の中、イヤイヤおつかいに来たお父さんとお見受けしました。

(なんせ、目ん玉を動かさない程度のチラッなので、

 そこまでしか認識できませんでした。

 というか、認識する必要もないのです。こんな普通の光景)

「父ちゃんも大変だ。今日はカレーかな。

 おせちが飽きたらカレーだな、やっぱり」

などと思いながら、私は気にもとめずに店内に消えた。




で、買い物を済ませて店から出てきたら

いたのですね!その男性が!

しかもまだ見ていたのです!そうタマネギを。

店に入る時からおそらく10分は経過していると思う。

その間、ずーと、この方、タマネギを見ていたのでしょうか?

10分ですよ!10分!

あーた10分間、タマネギ見つめ続けられますか?!

(おっと、つい興奮してしまいました。)




もうチラッどころではなく、ジトーと見たい!

私は愛車のチャリンコの前カゴに買い物袋を入れつつ

興味津々モードに入り、ジトーと彼を見ました。

最初見た時はもおつかい父ちゃんと思っていましたが、

ジトーと見ると、意外に若い。

ちょっと老けて見えるが、顔にまだあどけなさが残り、

たぶん20代半ば・・その男性は青年そのものであった。




だからこそ、なおさら不思議だ。

「夢と希望に満ちたこれからの日本を背負う青年が

 正月の3日の夜にタマネギなんぞを10分も見ていていいのか?!」

「タマネギ選びひとつできないでどうする!

 タマネギで10分以上かかっていたら、他のニンジンは20分か?

 ネギもシイタケも頼まれているだろ。こんなことなら朝までかかる。

 いつになったら我々はメシにありつけるんだ!オレオレ!!!」

(また興奮しちゃった)




ついついひとりで興奮してしまったが、

ここはひとまず落ち着こう。

もしかしたら、彼には彼なりの事情があるのかもしれない。

彼は名シェフで食材にこだわっているのかもしれない。

または、研究者でタマネギを見て、何か凄いアイデア、

はたまた定理、法則を発見したのかもしれない。

これは失礼した。申し訳ないことを言ってしまった。

(もちろん言ってません。ジトーだけです)




年末年始、職と家を失い、派遣村にあふれる

元派遣社員たちのニュースをさっきテレビで見たが、

今、若者たちは不況に悩んでいる。

タマネギでも悩んでいる。