猫の抜歯手術① 準備や手順
おつかれちゃん。
お久しぶりでございます。
先月末、オロゴンの抜歯手術が無事終了しました。
糖尿病の持病があるうえ、あと数ヶ月で18歳になるオロゴン。
恐らく、手術を選択しない世話人や、消極的な獣医さんの方が多いかもしれません。
高齢=麻酔は危険=手術しない。
という考え方には以前からちょっと同意できない部分もあったのですが、
今回、ドキドキしつつも手術をしてもらい年齢ではないと再認識しました。
身体の状態と手術環境、この2つの条件さえクリアすれば、
高齢であっても手術という選択肢は十分ありだと思います。
実際にはこの2つの条件をクリアするのが難しいですし、
そもそも手術しないに越したことはないのが大前提です。
って事で、この記事が参考になればと思います。
とりあえずの経緯を簡単に。
数年前からニョキニョキ伸びてきた左の犬歯。(挺出(ていしゅつ)って言います。)
2021年の10月に根元が膿んでしまったので抜歯をすることになりました。
手術当日、抜歯の為に麻酔処置を行っている最中、血圧が急降下して臨死体験。
なんとか生還したものの、ちょっと怖くなったので手術は保留になりました。
あれから数年経過した2024年の4月、なんと下の奥歯が欠けて歯髄が見えてるのを発見!
これは抜歯以外の選択肢がないので、モヤモヤしつつも手術決定です。
丁度そのタイミングで、1ヵ月に1回、外部から麻酔専門医に来てもらうと言う話が浮上してました。
なので麻酔専門医が来てる時に手術日を合わせましょうとなり、先日無事手術終了となった次第です。
手術日は5月29日の午後から。
まず、手術前にオロゴンの状態を麻酔科医と共有する必要があるので、
1週間前の5月22日に術前検査しました。
検査項目は、胸部レントゲン・麻酔前血液検査・凝固系血液検査。
この検査結果と検査以外のオロゴン情報を麻酔科医に送って手術に備えてもらいます。
多少基準値オーバーしてますが全然問題なしなので手術決定!
当日まで血糖値を少しでも安定させておくのが宿題でした。
ここで気になるのは手術当日と前日夜の食事やインスリンについて。
まず食事に関しては、前日の28日24時(29日0時)まではいつも通りに食べさせていいとの事。
24時以降の夜中は、リキッドもしくはペースト状のウェットフードなら朝の6時頃までOKでした。
なので、下記のような感じで食べてます。
12時間前から絶食と言われる獣医さんもいますので、それを考えたら食べまくりですねーw
① 0:08・・・ドライ5.0g
② 1:35・・・ウェット40g(ペースト状)
③ 6:30・・・ウェット40g(ペースト状)
通常インスリンは1.2~1.5単位打ってたので、麻酔科医からは0.5単位打ってくるように指示されてました。
3回食べさせて朝の血糖値が“403”でしたので、インスリン(トレシーバ)を0.5単位打ちました。
もし100前後~150くらいなら少なめに微調整すればいいと言われてましたが、
低くならないように夜中にウェットを食べさせたので朝のインスリンが打ちやすかったです。
これでお水以外は何も与えず、11時に病院へ。
12時頃に診察室に呼ばれて食事や体調などについて報告。
最終の術前検査の為に預けてウロウロしつつも時間が勿体無いので一旦帰宅。
お迎えは19時過ぎ。
で、預けてから実際にどんな流れで手術をしていたかというと・・・
① まず簡単な血液検査や血圧測定など。
② 問題なかったので麻酔導入で意識を朦朧とさせて・・・
③ アゴ付近に局所麻酔を打ち、身体に機器を繋ぎます。
④ 吸入麻酔をし、安定しているのを確認して抜歯手術開始。
⑤ 抜歯完了後、麻酔から覚醒させて3時間ほどは様子を見ます。
⑥ 問題なければ退院です。
この過程で一番重要になるのは“麻酔コントロール”です。
吸入麻酔の量をどれだけ減らせられるかと、術中にどこまで安定させられるかがポイント。
そうなると、手術では専門医でなくてもいいので麻酔専門の担当医が必要になります。
今までとこれからの手術のスタンダードの違いでしょうか。
今までは独りオペが一般的でしたが、そうなると術中の麻酔コントロールが難しくなります。
麻酔による血圧低下から循環血液量が減り、腎臓が虚血してダメージを負います。
ベテランのスペシャリストで「完璧にこなせる!」という獣医さんならいいですが、
できるだけ平常血圧に近い状態を維持して腎臓を守りながら手術しないと腎不全が心配になります。
これが今まで高齢での麻酔は避けたいとい言われてきた理由の1つです。
術中に血圧が下がりすぎて腎虚血から腎臓にダメージが残る事が多々あります。
高齢になればダメージを受けやすいのは確かですが、
血圧のコントロールをしっかりすればリスクは激減します。
で、麻酔薬による血圧低下のリスクを減らすには、低容量で行うことも必要。
吸入麻酔をいかに少なく出来るかも大きなポイントです。
それには、痛みによる覚醒を防ぐために局所麻酔をしっかり行います。
ここが甘いと吸入麻酔を増やさないとダメになるので、今回念入りに行ったそうです。
今回は前回と違い血圧が急降下することもなく、術後の覚醒もスムーズでした。
前回何が問題だったかというと、オロゴンが麻酔薬に反応しやすかった事。
麻酔専門医いわく、異常に効きやすい子だったので通常の半分以下の量で麻酔が効いたそう。
なので前回はアレルギーではなく、効きすぎたことが原因だったみたいです。
そういえば、普通に服用している抗生剤でもすぐお腹壊しますからねー
オロゴンは麻酔薬に限らず薬剤が効きやすいみたいです。
結局今回は上2本と下2本を処理しましたが、4本全部が抜歯ではありませんでした。
下2本の奥歯は抜歯で、上の2本は抜く事が困難だったので歯冠切除でした。
歯冠切除とは、歯槽骨(骨)と歯根(歯)が一体化して抜けない場合、
見えてる部分を削って歯茎を縫合する方法です。
詳しくは、後日別記事で書きますねー
で、無事帰宅したのが夜の21時頃。
麻酔も覚めてお腹も空いていたのでウェットフード食べて寝てしまいました。
当日の費用は想像よりはるかに安くて助かりましたー
麻酔専門医に単独でお願いしたら、プラス5万円くらいはかかるかも。
術後の経過も問題なく、先週、6月14日の金曜日に診察に行きました。
まだクチの中に違和感があるみたいで何か歯に挟まったような仕草はしますが、
とりあえず見た感じではちゃんと塞がってきているので大丈夫との事。
血液検査は数値が少し高い項目がありますが、問題にするほどでもなかったので一安心。
ちょっとBUNとカルシウムが高くなってるので腎臓系に気を付けるという事で終了です。
こんな感じでオロゴンの試練が終わりました。
オロゴン、おつかれちゃんやったねー
長くなりましたが、とりあえずのご報告でした。
吸収病巣からの抜歯についてはもう少し詳しい内容の記事を後日アップしますねー
でわでわ。